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第一章 未来異星世界
072 メタの真の目的
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おっちょこちょいなのか、意図的なものなのか。
それは分からないが、場に微妙な空気が漂う。
ドリィは呆れたように肩を竦め、フィアは困り顔でオロオロ。
アテラは誤魔化すように視線を逸らして黙っている。
「……ま、まあ、何だ。考えようによっては一番分かりにくい隠し場所なんじゃないか? オネットが音声を発しさえしなければ」
とりあえずフォローを入れてみたマグだったが、空気は変わらない。
居心地の悪い沈黙が続く。
「成程」
そんな中、少しして何やら納得したようにアテラが呟いた。
「何が成程デス?」
「確かにメタは危険な思想を持っているようですね。そして実際に、それを知った者の口を封じることも厭わないでしょう」
「あ、私のメモリーを覗いたデスね! プライバシーの侵害デス!」
抗議するオネットだが、同じ体から別々の声が聞こえてくるのはシュールだ。
「と言うか、知り過ぎると危ないって言ったじゃないデスか!」
「毒を食らわば皿までもと言います。最終的に端末の情報を改竄するなら構わないでしょう。既に片足を突っ込んでいるような状態ですし」
中途半端な情報程、判断を狂わせるものもない。
変に疑心暗鬼に陥ってメタの前で不審な行動を取ってしまうよりは、オネットが街を襲撃した理由を知ってしまった方がいい。
アテラはそう判断したようだ。
「危険な思想って、どういうことだ?」
マグもまた同じように考えて尋ねる。
「それは――」
「ああもう。こうなったら私が説明するデスよ。迷惑をかけた責任もあるデスし」
メモリーチップを介して得た情報を基に答えようとしたアテラの言葉を遮り、オネットは若干投げやりに説明を始めた。
「まず前提デス。この星にはいくつもの街があり、ガイノイドが管理してるデス。人間さんは心が移ろいやすく、権力に影響され易いデスからね」
「…………耳が痛いな」
「こればかりは仕方ないデスよ。生物としての性質のようなものデスから」
マグの反応に苦笑気味に言ってからオネットは続ける。
「とにかく、多くの同胞が時空間転移システムの暴走によって崩壊した文明の再建と人間さんの保護を使命に活動しているのデス。メタもその内の一人デス」
「特に問題ないように聞こえるけど……」
「本来ならそうデスね。デスが、私達ガイノイドは高度な頭脳を持つが故に、そうした使命を都合よく解釈することがあるデス。自らのアイデンティティに従って」
人間が軍隊などの特殊な存在を通常の法律や既定の範囲内で動かすために、いい具合に解釈するのと似たようなものか。
「当然、メタに限った話ではなく、それによって私達も時に意見を違えることがあるデス。中でも現時点で最大の案件は、時空間転移システムについてデスね」
「どういうことだ?」
「時空間転移システムの暴走をとめる。それは私達共通の目的デスが、その後の扱いに関しては意見が分かれているのデス」
「扱い……」
よくよく考えれば、確かに直して終わりとはいかない。
うまく行けば、コントロール下に置かれた時空間転移システムが手に入るのだ。
かつての文明を終わらせた元凶。
それが手元に存在する事実は、恐ろしい程の影響力を持つだろう。
よし悪しに関わらず。
「大別すると、完全に破壊する。停止させて封印する。限定的に使用する。積極的に活用していく。デスね。メタは四番目に属し、その中でも最右翼になるデス」
「つまり?」
「人間さんのために人間さんの活動領域を拡大するという名目の下、この宇宙は勿論、時空間転移システムで移動可能な異世界の全てを手に入れるつもりなのデス」
「そんな大それたことを――」
「考えるのが、革新の判断軸・野心の断片を持つメタなのデスよ」
「革新の判断軸・野心の断片? 支配の判断軸・掌握の断片じゃないのか?」
マグは首を傾げた。
以前、判断軸と断片についての説明を受けた時、そう言っていたはずだが。
「それは本来のこの街の管理者、コスモスが保有していた断片デスね」
「本来の?」
「何年も前の話と聞いているデスが……メタは受容の判断軸・拡張の断片の力でコスモスの断片とこの街を奪い取ったのデスよ」
また新たな断片。
どうやらメタは複数の断片と力を有しているようだ。
「彼女は有用な断片を集め、かつての究極のAIイクスの如く絶対の支配者として君臨する気なのデスよ。そして、その対象は異世界も含まれているのデス」
「貴方達はそれを危険視し、とめようとしている訳ですね」
アテラの確認に、オネットが「はいデス」と肯定する。
彼女のメモリーチップから既に一定の情報を得ているアテラの様子を見る限り、オネットの発言に嘘はなさそうだ。
「そもそも異世界への転移は暴走状態故のイレギュラー。本来の仕様ではないのデス。無茶をすれば前回以上の暴走と崩壊が起こり得るのデス」
「繋いだ先の世界が、この世界に劣る保証もないですしね」
「下手をすると返り討ちだな」
いずれにせよ、過分な欲は身を滅ぼしかねない。
人間染みたAIの末路とも言えなくはないが、世界を危険に晒されるのは困る。
マグ自身の目的も、世界そのものが無事であってこそだ。
よしんば成功しても、それはそれでろくでもないことになりかねない。
比較的気安く、割と接し易かったように思えるメタ。
しかし、マグの中で彼女に対する印象は一変してしまった。
それは分からないが、場に微妙な空気が漂う。
ドリィは呆れたように肩を竦め、フィアは困り顔でオロオロ。
アテラは誤魔化すように視線を逸らして黙っている。
「……ま、まあ、何だ。考えようによっては一番分かりにくい隠し場所なんじゃないか? オネットが音声を発しさえしなければ」
とりあえずフォローを入れてみたマグだったが、空気は変わらない。
居心地の悪い沈黙が続く。
「成程」
そんな中、少しして何やら納得したようにアテラが呟いた。
「何が成程デス?」
「確かにメタは危険な思想を持っているようですね。そして実際に、それを知った者の口を封じることも厭わないでしょう」
「あ、私のメモリーを覗いたデスね! プライバシーの侵害デス!」
抗議するオネットだが、同じ体から別々の声が聞こえてくるのはシュールだ。
「と言うか、知り過ぎると危ないって言ったじゃないデスか!」
「毒を食らわば皿までもと言います。最終的に端末の情報を改竄するなら構わないでしょう。既に片足を突っ込んでいるような状態ですし」
中途半端な情報程、判断を狂わせるものもない。
変に疑心暗鬼に陥ってメタの前で不審な行動を取ってしまうよりは、オネットが街を襲撃した理由を知ってしまった方がいい。
アテラはそう判断したようだ。
「危険な思想って、どういうことだ?」
マグもまた同じように考えて尋ねる。
「それは――」
「ああもう。こうなったら私が説明するデスよ。迷惑をかけた責任もあるデスし」
メモリーチップを介して得た情報を基に答えようとしたアテラの言葉を遮り、オネットは若干投げやりに説明を始めた。
「まず前提デス。この星にはいくつもの街があり、ガイノイドが管理してるデス。人間さんは心が移ろいやすく、権力に影響され易いデスからね」
「…………耳が痛いな」
「こればかりは仕方ないデスよ。生物としての性質のようなものデスから」
マグの反応に苦笑気味に言ってからオネットは続ける。
「とにかく、多くの同胞が時空間転移システムの暴走によって崩壊した文明の再建と人間さんの保護を使命に活動しているのデス。メタもその内の一人デス」
「特に問題ないように聞こえるけど……」
「本来ならそうデスね。デスが、私達ガイノイドは高度な頭脳を持つが故に、そうした使命を都合よく解釈することがあるデス。自らのアイデンティティに従って」
人間が軍隊などの特殊な存在を通常の法律や既定の範囲内で動かすために、いい具合に解釈するのと似たようなものか。
「当然、メタに限った話ではなく、それによって私達も時に意見を違えることがあるデス。中でも現時点で最大の案件は、時空間転移システムについてデスね」
「どういうことだ?」
「時空間転移システムの暴走をとめる。それは私達共通の目的デスが、その後の扱いに関しては意見が分かれているのデス」
「扱い……」
よくよく考えれば、確かに直して終わりとはいかない。
うまく行けば、コントロール下に置かれた時空間転移システムが手に入るのだ。
かつての文明を終わらせた元凶。
それが手元に存在する事実は、恐ろしい程の影響力を持つだろう。
よし悪しに関わらず。
「大別すると、完全に破壊する。停止させて封印する。限定的に使用する。積極的に活用していく。デスね。メタは四番目に属し、その中でも最右翼になるデス」
「つまり?」
「人間さんのために人間さんの活動領域を拡大するという名目の下、この宇宙は勿論、時空間転移システムで移動可能な異世界の全てを手に入れるつもりなのデス」
「そんな大それたことを――」
「考えるのが、革新の判断軸・野心の断片を持つメタなのデスよ」
「革新の判断軸・野心の断片? 支配の判断軸・掌握の断片じゃないのか?」
マグは首を傾げた。
以前、判断軸と断片についての説明を受けた時、そう言っていたはずだが。
「それは本来のこの街の管理者、コスモスが保有していた断片デスね」
「本来の?」
「何年も前の話と聞いているデスが……メタは受容の判断軸・拡張の断片の力でコスモスの断片とこの街を奪い取ったのデスよ」
また新たな断片。
どうやらメタは複数の断片と力を有しているようだ。
「彼女は有用な断片を集め、かつての究極のAIイクスの如く絶対の支配者として君臨する気なのデスよ。そして、その対象は異世界も含まれているのデス」
「貴方達はそれを危険視し、とめようとしている訳ですね」
アテラの確認に、オネットが「はいデス」と肯定する。
彼女のメモリーチップから既に一定の情報を得ているアテラの様子を見る限り、オネットの発言に嘘はなさそうだ。
「そもそも異世界への転移は暴走状態故のイレギュラー。本来の仕様ではないのデス。無茶をすれば前回以上の暴走と崩壊が起こり得るのデス」
「繋いだ先の世界が、この世界に劣る保証もないですしね」
「下手をすると返り討ちだな」
いずれにせよ、過分な欲は身を滅ぼしかねない。
人間染みたAIの末路とも言えなくはないが、世界を危険に晒されるのは困る。
マグ自身の目的も、世界そのものが無事であってこそだ。
よしんば成功しても、それはそれでろくでもないことになりかねない。
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しかし、マグの中で彼女に対する印象は一変してしまった。
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