EX級アーティファクト化した介護用ガイノイドと行く未来異星世界遺跡探索~君と添い遂げるために~

青空顎門

文字の大きさ
97 / 128
第二章 ガイノイドが管理する街々

097 抜け道

しおりを挟む
「おとー様っ! 全力稼働します!!」

 どうやら断片フラグメントの劣化コピーは、数を束ねることによってオリジナルに迫るような威力を出すことができるらしい。
 その負荷を直に受けとめたフィアは焦燥に塗れた声で叫び、軋み上げるような甲高い高周波音が発生する程に胸のジェネレーターを駆動させ始めた。

「リミッター解除! 出力全開!!」

 合わせて、マグ達を守るシールドの輝きが急激に増して強固になっていく。
 とは言え、この状態は長く維持させることはできない。
 フィアの冷却能力が追いつかず、下手をすれば熱暴走してしまうためだ。
 だからマグは即座に彼女の傍に寄り、肩に手を触れて超越現象PBPを発動させた。
 そして、その復元の力を応用してフィアの身体を万全な状態に戻し続け、安全稼働できる限界以上の出力を無理矢理継続させる。
 おかげで、数十体の人型機獣から一点集中するようにして放たれた光線によってシールドを破られることなく、一先ず均衡を作り出すことができた。
 しかし――。

「……まずいわね」

 その状況を前にして、ドリィが険しい表情と共に告げる。
 同期を逆手に取られる攻撃を防ぐための対策、レーザービームライトの波長を絶え間なく変えるという手段も破られ、攻撃することができない状況。
 しかも、敵もまた相応のシールドで守られているため、断片フラグメントによる影響を受けていない攻撃の有効性は極めて低い。
 膠着を保とうとしてもジリ貧になってしまうだけだ。
 実際、人型機獣達はシールドを稼働させてにじり寄ってくる。
 シールド同士をぶつけ合わせてフィアを消耗させ、レーザーを防ぐのに割くことのできるリソースを減らそうと言うのだろう。
 そのようなことになれば、敵の攻撃を防ぎ切れなくなってしまう可能性が高い。
 あるいは、退路がある内に撤退を選ぶべきかもしれない。

「…………近くに大型のエレベーターがあったデスね」

 そんな中、オネットが確認するように小さく呟く。

「この機獣達を運搬するためのものでしょう」
「なら、アテラさん」
「…………成程。この状況では、それが最善ですね」

 迷宮遺跡の管理コンピューターに内容を気取られないようにするためだろう。
 二人は要となる部分を互いの電子頭脳内でのみやり取りをし、それからアテラは納得したように一つ頷いてマグに視線を向けた。

「旦那様。私に任せて下さいますか?」
「策があるのか?」
「はい」
「……危険な橋を渡る訳じゃないよな?」
「状況が状況なので危険ではないとは言えません。しかし、旦那様のものであるこの身を傷つけるような真似はしません」

 マグの問いかけに、アテラは当然のこととして落ち着いた口調で応じる。

「……分かった。頼む」
「承知しました」

 彼女が頷いた直後、頭部に備えられた歯車が回転し出した。
 先史兵装PTアーマメント【アクセラレーター】。
 使用者の時間を加速させる装置だ。

「フィア。同期を」
「はい! おかー様!」

 そしてアテラの指示にフィアが答えた瞬間。
 アテラの姿がぶれ、目の前から消え去る。
 どうやらマグ達を覆うシールドの範囲から出たようだ。
 この大広間に来るまで【アクセラレーター】は使用していない。
 人型機獣も、この迷宮遺跡の管理コンピューターも、今この瞬間だけは彼女の姿を追うことはできないはずだ。
 ……しかし、彼女が持つ武装では人型機獣達の防御を突破することはできない。
 どれだけ加速しようとその事実が変化することはない。
 よしんば破壊することができたとしても、また新たな人型機獣が大量に生産されて襲いかかってくるだけだ。

「どうするつもりなんだ? アテラ……」

 信頼はある。
 だが、敵を欺くために情報共有ができず、どうしても心配が声色に滲む。

「ん?」

 数秒後。唐突に光線がやんだ。
 何があったのかと目を凝らす。
 すると、人型機獣達は一斉に一方向へと移動しようとしていた。
 目の前の侵入者よりも重大な脅威に感づいたかの如く。
 しかし、それらはまたすぐさま行動を変える。
 突如として動きをとめ、ぐるりと再びマグ達の方を向き――。

「な、何だ? 一体……」

 忠誠を誓う騎士の如く一糸乱れぬ動きで跪いた。
 その異様な光景を前にして、マグは戸惑いを抱かざるを得なかった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

サイレント・サブマリン ―虚構の海―

来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。 科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。 電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。 小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。 「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」 しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。 謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か—— そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。 記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える—— これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。 【全17話完結】

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

処理中です...