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第46話:ライバルが登場したが、変身の光(物理)で勝負がついた
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ここ数日、聖域周辺の村々では、奇妙な「ヒーロー」の話題で持ちきりだった。
「いやあ、助かったよ。ピンクのドレスを着た女の子が、壊れた橋を片手で直してくれたんだ」
「ウチなんて、畑を荒らす猪を『月に代わって土に還れ!』って叫んで、ピンク色のクワで地平線の彼方まで打ち飛ばしてくれたよ」
マジカル・フタバ(7歳)。
俺が冗談半分で許可した「魔法少女」活動は、予想以上に地域に貢献していた。
ただし、解決方法がすべて「物理」と「超火力」であることを除けば。
そんなある日。
聖域の上空に、巨大な影が落ちた。
ゴゴゴゴゴ……!
雲を割って現れたのは、全長100メートルはある巨大な魔導飛行船だった。
船体には、隣国とはまた別の、魔法先進国の紋章が描かれている。
「なんだ、回覧板でも持ってきたのか?」
「ジン殿、あれは戦闘艦ですぞ……」
俺とガストロンが見上げる中、飛行船から一人の少年が、魔法陣を使って優雅に降下してきた。
銀髪に青い瞳。歳はフタバと同じくらいか。
身に纏うのは、いかにも高そうな魔導士のローブだ。
「フッ……ここが噂の『聖域』か。魔力の質は悪くない」
少年は地面に着地すると、マントを翻して俺たちをビシッと指差した。
「僕は天才魔導少年、レオンハルト・ヴァン・アークライトだ! ここに『マジカル・フタバ』という名の、生意気な魔法使いがいると聞いてやってきた!」
……なるほど。
近隣で有名になりすぎたせいで、他国の天才児のライバル心を刺激してしまったらしい。
いわゆる「道場破り」だ。
「パパ、だれー?」
そこへ、ちょうどパトロール(畑仕事)から帰ってきたフタバが現れた。
泥だらけの普段着に、ポシェットを下げている。
「君がフタバか! 僕と勝負しろ!」
レオンハルトが叫ぶ。
「魔法先進国の天才である僕と、どちらが真の『魔法の申し子』か、決着をつけるんだ!」
フタバは小首を傾げたが、すぐに「勝負」という言葉に反応して目を輝かせた。
「いいよ! フタバ、まけない!」
「フッ、いい度胸だ。準備はいいか?」
レオンハルトが杖を構え、膨大な魔力を練り上げる。
子供とは思えない、天才特有の洗練された魔力だ。普通の冒険者なら即死レベルだろう。
だが、フタバは慌てて手を突き出した。
「まって!」
「なんだ? 命乞いか?」
「ちがうよ。……へんしん、まだだもん」
フタバはポシェットから、例の「魔法のステッキ(魔改造された棒きれ)」を取り出した。
「変身しないと、本気だせないの。待っててくれる?」
上目遣いでのお願い。
レオンハルトはフッと鼻で笑い、杖を下ろした。
「いいだろう。僕は紳士だからな。君が最高の万全な状態になってから、正面から叩き潰してやるよ。さあ、変身したまえ!」
……あ、死んだなこいつ。
俺はそっと、ガストロンと共に岩陰に隠れた。
レオンハルト君は知らないのだ。変身シーンこそが、魔法少女における最大の攻撃であることを。
「ありがと! いくよー!」
フタバがステッキを高く掲げた。
「マジカル・農耕・パワー! メイクアップ!!」
カッッッッッ!!!!!!
世界が白に染まった。
フタバを中心にして、核融合炉が暴走したような超高密度の「魔力光」が全方位に炸裂した。
ただの光ではない。
神の聖なる波動と、魔王の闇のオーラが混ざり合い、さらに俺の重力波が乗った、物理質量を持った閃光だ。
「え、なに……うわぁぁぁぁぁぁッ!?!?!?」
レオンハルトの余裕の声が、絶叫に変わった。
「め、目がぁぁぁ! 熱いぃぃぃ! なんだこの光!? 圧力が……ぐわぁぁぁッ!!」
ドゴォォォォンッ!!!
衝撃波がレオンハルトを直撃した。
彼は防御魔法を展開しようとしたが、そんなものは紙屑のように消し飛び、体ごと後方へ吹き飛ばされた。
そのまま、彼が乗ってきた上空の飛行船まで一直線にカッ飛び、船体に激突して撃墜させた。
ズズズンッ……!
墜落する飛行船。
黒焦げになって庭に落ちてくる天才少年。
光が収まると、そこには――
ピンクのフリフリドレスに着替え、ポーズを決めたフタバが立っていた。
「愛と野菜の魔法少女、マジカル・フタバ! 参上!」
シーン……。
目の前には、白目を剥いてピクピク痙攣しているレオンハルトが転がっている。
フタバは不思議そうに彼を見下ろした。
「あれ? お兄ちゃん、ねちゃったの? 勝負は?」
「……フタバ」
俺は岩陰から出て、娘の肩に手を置いた。
「もう勝負はついたんだ。お前の勝ちだ」
「えっ、ほんと!? やったー!」
フタバは無邪気に喜んでいる。彼女は気づいていない。
自分が放った「変身の余波」だけで、最強の天才を戦闘不能にしたことに。
その後。
ローズの回復魔法で蘇生したレオンハルトは、ガタガタと震えながらフタバに土下座した。
「ま、参りました……! 変身の光だけで僕を倒すなんて……格が違いすぎる!」
「お兄ちゃん、よわいね?」
「はい! 僕は井の中の蛙でした! どうか僕を……僕を弟子にしてください! 師匠!」
「ししょー?」
「そうです! あなたのその『覇気』を学びたいのです!」
こうして、フタバに初めての「弟子」ができた。
天才魔導少年レオンハルト。
彼は以後、母国に帰らず聖域に居候し、フタバの後ろをついて回る「魔法少女の付き人(兼荷物持ち)」として生きることになるのだった。
……ちなみに、彼の実家(皇帝)から「息子を返せ」と軍隊が来たが、フタバが「変身」しようとしただけで全員逃げ帰ったらしい。
「いやあ、助かったよ。ピンクのドレスを着た女の子が、壊れた橋を片手で直してくれたんだ」
「ウチなんて、畑を荒らす猪を『月に代わって土に還れ!』って叫んで、ピンク色のクワで地平線の彼方まで打ち飛ばしてくれたよ」
マジカル・フタバ(7歳)。
俺が冗談半分で許可した「魔法少女」活動は、予想以上に地域に貢献していた。
ただし、解決方法がすべて「物理」と「超火力」であることを除けば。
そんなある日。
聖域の上空に、巨大な影が落ちた。
ゴゴゴゴゴ……!
雲を割って現れたのは、全長100メートルはある巨大な魔導飛行船だった。
船体には、隣国とはまた別の、魔法先進国の紋章が描かれている。
「なんだ、回覧板でも持ってきたのか?」
「ジン殿、あれは戦闘艦ですぞ……」
俺とガストロンが見上げる中、飛行船から一人の少年が、魔法陣を使って優雅に降下してきた。
銀髪に青い瞳。歳はフタバと同じくらいか。
身に纏うのは、いかにも高そうな魔導士のローブだ。
「フッ……ここが噂の『聖域』か。魔力の質は悪くない」
少年は地面に着地すると、マントを翻して俺たちをビシッと指差した。
「僕は天才魔導少年、レオンハルト・ヴァン・アークライトだ! ここに『マジカル・フタバ』という名の、生意気な魔法使いがいると聞いてやってきた!」
……なるほど。
近隣で有名になりすぎたせいで、他国の天才児のライバル心を刺激してしまったらしい。
いわゆる「道場破り」だ。
「パパ、だれー?」
そこへ、ちょうどパトロール(畑仕事)から帰ってきたフタバが現れた。
泥だらけの普段着に、ポシェットを下げている。
「君がフタバか! 僕と勝負しろ!」
レオンハルトが叫ぶ。
「魔法先進国の天才である僕と、どちらが真の『魔法の申し子』か、決着をつけるんだ!」
フタバは小首を傾げたが、すぐに「勝負」という言葉に反応して目を輝かせた。
「いいよ! フタバ、まけない!」
「フッ、いい度胸だ。準備はいいか?」
レオンハルトが杖を構え、膨大な魔力を練り上げる。
子供とは思えない、天才特有の洗練された魔力だ。普通の冒険者なら即死レベルだろう。
だが、フタバは慌てて手を突き出した。
「まって!」
「なんだ? 命乞いか?」
「ちがうよ。……へんしん、まだだもん」
フタバはポシェットから、例の「魔法のステッキ(魔改造された棒きれ)」を取り出した。
「変身しないと、本気だせないの。待っててくれる?」
上目遣いでのお願い。
レオンハルトはフッと鼻で笑い、杖を下ろした。
「いいだろう。僕は紳士だからな。君が最高の万全な状態になってから、正面から叩き潰してやるよ。さあ、変身したまえ!」
……あ、死んだなこいつ。
俺はそっと、ガストロンと共に岩陰に隠れた。
レオンハルト君は知らないのだ。変身シーンこそが、魔法少女における最大の攻撃であることを。
「ありがと! いくよー!」
フタバがステッキを高く掲げた。
「マジカル・農耕・パワー! メイクアップ!!」
カッッッッッ!!!!!!
世界が白に染まった。
フタバを中心にして、核融合炉が暴走したような超高密度の「魔力光」が全方位に炸裂した。
ただの光ではない。
神の聖なる波動と、魔王の闇のオーラが混ざり合い、さらに俺の重力波が乗った、物理質量を持った閃光だ。
「え、なに……うわぁぁぁぁぁぁッ!?!?!?」
レオンハルトの余裕の声が、絶叫に変わった。
「め、目がぁぁぁ! 熱いぃぃぃ! なんだこの光!? 圧力が……ぐわぁぁぁッ!!」
ドゴォォォォンッ!!!
衝撃波がレオンハルトを直撃した。
彼は防御魔法を展開しようとしたが、そんなものは紙屑のように消し飛び、体ごと後方へ吹き飛ばされた。
そのまま、彼が乗ってきた上空の飛行船まで一直線にカッ飛び、船体に激突して撃墜させた。
ズズズンッ……!
墜落する飛行船。
黒焦げになって庭に落ちてくる天才少年。
光が収まると、そこには――
ピンクのフリフリドレスに着替え、ポーズを決めたフタバが立っていた。
「愛と野菜の魔法少女、マジカル・フタバ! 参上!」
シーン……。
目の前には、白目を剥いてピクピク痙攣しているレオンハルトが転がっている。
フタバは不思議そうに彼を見下ろした。
「あれ? お兄ちゃん、ねちゃったの? 勝負は?」
「……フタバ」
俺は岩陰から出て、娘の肩に手を置いた。
「もう勝負はついたんだ。お前の勝ちだ」
「えっ、ほんと!? やったー!」
フタバは無邪気に喜んでいる。彼女は気づいていない。
自分が放った「変身の余波」だけで、最強の天才を戦闘不能にしたことに。
その後。
ローズの回復魔法で蘇生したレオンハルトは、ガタガタと震えながらフタバに土下座した。
「ま、参りました……! 変身の光だけで僕を倒すなんて……格が違いすぎる!」
「お兄ちゃん、よわいね?」
「はい! 僕は井の中の蛙でした! どうか僕を……僕を弟子にしてください! 師匠!」
「ししょー?」
「そうです! あなたのその『覇気』を学びたいのです!」
こうして、フタバに初めての「弟子」ができた。
天才魔導少年レオンハルト。
彼は以後、母国に帰らず聖域に居候し、フタバの後ろをついて回る「魔法少女の付き人(兼荷物持ち)」として生きることになるのだった。
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