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第6話 観察
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なんだろう
なんだかこの人に慣れてきた自分がいる
Inkは食事の間、終始楽しそうにしていた
俺はというと
さっきの冗談なのか本気なのか分からないInkの一言が頭から離れないでいた
「あの…さっきの話なんですけど、本気なんですか?本気で俺のこと…」
「好きだ」
俺が言い終わるよりも先にInkはまっすぐな瞳で告げた
「なんだ、冗談だとでも?」
「…そんなこと言って、誰にでもそうなんでしょう?」
「そうとも限らないぞ?」
「またまたぁ…出会ったばかりの仕事相手にそんなこと言わないでしょう」
「ただの仕事相手という訳でもないだろう」
やれやれと言った具合に次に頼むメニューを決めながら当たり前のように言い放つInk
「…っ、こっちは記憶が曖昧なもんで」
あの日の夜について言及され思わずふて腐れるように応えてしまった
「酒が入ると大胆になるんだな」
「っ、今日は呑みませんよ!」
「むきになったRioも可愛いな。
妖艶な姿も捨てがたいが」
「セクハラです」
「ふっ」
Inkが吹き出した
その真顔は端正で色気があるのに、笑うと目尻は下がり甘い顔立ちになる
それにどこか少年っぽさも感じた
…可愛い。
って何を言ってんだ俺は!
沸き上がる衝動を抑えるのにエネルギーをいっぱい使った。
「…お腹すいた」
思わず声に出た。
それを逃すことなく耳に入れたInkが
再び笑い出す声が聞こえてきた。
…タイ人ってみんなこうなの?
思わずにはいられなかった。
次の日、RioはInkの会社"Misted Tropics"の本社前にいた
いまから本契約をしにInkの会社へ乗り込もうというところ
目の前には高さはそこまでないが横に広がる真新しい建物が見えている
壁はダークグリーンでできており窓ガラスに日光が反射している。上の階にはバルコニーだろうか一部つき出している部分に大小の植物が植えられている
直営店は7店舗だと聞いていたが、もしかして俺が想像しているより立派な会社なのでは…?
俺、身の丈に合わない人と契約しようとしてるんじゃないだろうな?そんな不安が頭をよぎったが、打ち合わせ前だ。
振り切って、気合いを入れ直す。
日本の百貨店とタイのラグジュアリーブランドの新プロジェクトがいよいよ始まるのだ
緊張と興奮でそわそわしていると、
一台の車が横付けしてきた
降りてきた男は昨日とは違い、自社ブランドのスーツを身にまとい上から下まで一切の隙がない装いでRioの前に現れた
いよいよ二人の男の挑戦がいま始まるのだ
…と意気込んで来たものの
「はぁ…何見てるんですか?」
「いや?美しいなと思って」
そう言って目の前の男は俺を会議室に案内し、一通り今回のプロジェクトについて説明をすると何をするでもなく肘をつき俺を見つめ始めた
この人は暇なのだろうか?
「…そろそろ先を進めて欲しいんですけど」
「そうだな」
ふむ、とやっと動き出したかと思うと秘書に何やら指示を出し俺の方に向き直る
「どこに行きたい?」
「はい?」
「こんな会議室で話し合ってもアイディアなんて浮かばないだろう」
「……」
じゃあなんで呼んだ
俺は心のなかでツッコんだ。
「どこでもいいんですか?」
「ああ」
「じゃあ、まずは店舗の方に行きたいです」
「よし、すぐに用意しよう」
今回のプロジェクトの内容はこうだ。
日本の南国、南九州の自然を反映したデザインのジャケット、パンツ、シャツ、ネクタイなどのトータルプロデュースをタイのスーツブランド"Misted Tropics"にお任せ、そして同ブランドの日本での販路拡大を促進する。あくまでWinWinな関係。
そこはビジネス、会議の内容に隙はなく
双方どちらにもメリットがある内容だ。
展示会で説明があったときと同じように特に問題はなさそうだ
あるとしたら、この俺のブランドに対する知識がまだ浅いということ
それではPRするにも手数が少なすぎて困るというもの
もっと知りたい、ブランドについても
この男についても…
なんだかこの人に慣れてきた自分がいる
Inkは食事の間、終始楽しそうにしていた
俺はというと
さっきの冗談なのか本気なのか分からないInkの一言が頭から離れないでいた
「あの…さっきの話なんですけど、本気なんですか?本気で俺のこと…」
「好きだ」
俺が言い終わるよりも先にInkはまっすぐな瞳で告げた
「なんだ、冗談だとでも?」
「…そんなこと言って、誰にでもそうなんでしょう?」
「そうとも限らないぞ?」
「またまたぁ…出会ったばかりの仕事相手にそんなこと言わないでしょう」
「ただの仕事相手という訳でもないだろう」
やれやれと言った具合に次に頼むメニューを決めながら当たり前のように言い放つInk
「…っ、こっちは記憶が曖昧なもんで」
あの日の夜について言及され思わずふて腐れるように応えてしまった
「酒が入ると大胆になるんだな」
「っ、今日は呑みませんよ!」
「むきになったRioも可愛いな。
妖艶な姿も捨てがたいが」
「セクハラです」
「ふっ」
Inkが吹き出した
その真顔は端正で色気があるのに、笑うと目尻は下がり甘い顔立ちになる
それにどこか少年っぽさも感じた
…可愛い。
って何を言ってんだ俺は!
沸き上がる衝動を抑えるのにエネルギーをいっぱい使った。
「…お腹すいた」
思わず声に出た。
それを逃すことなく耳に入れたInkが
再び笑い出す声が聞こえてきた。
…タイ人ってみんなこうなの?
思わずにはいられなかった。
次の日、RioはInkの会社"Misted Tropics"の本社前にいた
いまから本契約をしにInkの会社へ乗り込もうというところ
目の前には高さはそこまでないが横に広がる真新しい建物が見えている
壁はダークグリーンでできており窓ガラスに日光が反射している。上の階にはバルコニーだろうか一部つき出している部分に大小の植物が植えられている
直営店は7店舗だと聞いていたが、もしかして俺が想像しているより立派な会社なのでは…?
俺、身の丈に合わない人と契約しようとしてるんじゃないだろうな?そんな不安が頭をよぎったが、打ち合わせ前だ。
振り切って、気合いを入れ直す。
日本の百貨店とタイのラグジュアリーブランドの新プロジェクトがいよいよ始まるのだ
緊張と興奮でそわそわしていると、
一台の車が横付けしてきた
降りてきた男は昨日とは違い、自社ブランドのスーツを身にまとい上から下まで一切の隙がない装いでRioの前に現れた
いよいよ二人の男の挑戦がいま始まるのだ
…と意気込んで来たものの
「はぁ…何見てるんですか?」
「いや?美しいなと思って」
そう言って目の前の男は俺を会議室に案内し、一通り今回のプロジェクトについて説明をすると何をするでもなく肘をつき俺を見つめ始めた
この人は暇なのだろうか?
「…そろそろ先を進めて欲しいんですけど」
「そうだな」
ふむ、とやっと動き出したかと思うと秘書に何やら指示を出し俺の方に向き直る
「どこに行きたい?」
「はい?」
「こんな会議室で話し合ってもアイディアなんて浮かばないだろう」
「……」
じゃあなんで呼んだ
俺は心のなかでツッコんだ。
「どこでもいいんですか?」
「ああ」
「じゃあ、まずは店舗の方に行きたいです」
「よし、すぐに用意しよう」
今回のプロジェクトの内容はこうだ。
日本の南国、南九州の自然を反映したデザインのジャケット、パンツ、シャツ、ネクタイなどのトータルプロデュースをタイのスーツブランド"Misted Tropics"にお任せ、そして同ブランドの日本での販路拡大を促進する。あくまでWinWinな関係。
そこはビジネス、会議の内容に隙はなく
双方どちらにもメリットがある内容だ。
展示会で説明があったときと同じように特に問題はなさそうだ
あるとしたら、この俺のブランドに対する知識がまだ浅いということ
それではPRするにも手数が少なすぎて困るというもの
もっと知りたい、ブランドについても
この男についても…
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