10 / 63
訳華、のちに
青を目指して
しおりを挟む翌朝――
この日、塾生たちはまず校舎の中央にある男女の共有教室へ集められた。
そこへ海藤が姿を見せた。
「皆さん、おはようございます。
新入生も入ったことですので、改めて皆さんの能力を見極めるための模擬試験を行います」
突然の発表であったが、梅乃を含め塾生たちは動揺しなかった。
訳華学校の試験日が近づく中、自分の能力を知る良い機会と捉えたのだろう。
「この試験の結果をみて、皆さんを階級分けします。
階級ごとに一緒に勉強をして切磋琢磨してください」
階級は三つ設けられ、上から 青・赤・黄 と色で分けられる。
試験官は海藤一人で、この日来ていた6名の塾生を一人ずつ観察する。
模擬試験の部門は二つ。
訳華をどれだけ知っているかを見る知識試験。
それから、基本的な護身術ができるかという実技試験。
訳華学校の試験内容を模している為、ここで青色階級に入ることができれば、合格の可能性も高まる。
毎年、抜き打ちでこの模擬試験は行われているが、青色階級に入ることができる者は極めて少ない。
「梅乃ちゃんは得意分野ある?」
「私は…訳華の知識には自信があります」
「すごいね!」
隣の席に座った寿々が元気に話しかけてくる。
梅乃は緊張しながらも、興奮気味に答えた。
桜木に来るまで、梅乃は独学で訳華を必死に勉強していた。
そうは言っても、訳華に隠された本当の意味や人々の傾向など詳細まで知っている訳では無い。
あくまでも華墨に対しての訳華を知識として覚えただけに留まっていて、梅乃自身もどれだけ覚えているかをまだ把握できていないのだ。
「私は体動かすほうが勉強より得意なんだよね」
「じゃあ、護身術も…?」
「自信って程じゃないけど、得意!」
寿々は肩を鳴らしながら話す。
彼女は勉強が苦手なものの運動神経は抜群。
特に素早い動きができるため、護身術は得意分野なのだ。
「では、模擬試験を開始します。
まずは知識試験です。…始めっ!」
海藤の声が教室に響くと、塾生たちは一斉に問題を解き始めた。
各々の真剣な横顔に、海藤の優しい眼差しが注がれていた。
果たして、梅乃はこの模擬試験をどのようにして突破するのか――
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
アリエッタ幼女、スラムからの華麗なる転身
にゃんすき
ファンタジー
冒頭からいきなり主人公のアリエッタが大きな男に攫われて、前世の記憶を思い出し、逃げる所から物語が始まります。
姉妹で力を合わせて幸せを掴み取るストーリーになる、予定です。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
【完結】瑠璃色の薬草師
シマセイ
恋愛
瑠璃色の瞳を持つ公爵夫人アリアドネは、信じていた夫と親友の裏切りによって全てを奪われ、雨の夜に屋敷を追放される。
絶望の淵で彼女が見出したのは、忘れかけていた薬草への深い知識と、薬師としての秘めたる才能だった。
持ち前の気丈さと聡明さで困難を乗り越え、新たな街で薬草師として人々の信頼を得ていくアリアドネ。
しかし、胸に刻まれた裏切りの傷と復讐の誓いは消えない。
これは、偽りの愛に裁きを下し、真実の幸福と自らの手で築き上げる未来を掴むため、一人の女性が力強く再生していく物語。
異世界カントリーライフ ~妖精たちと季節を楽しむ日々~
楠富 つかさ
ファンタジー
都会で忙しさに追われる日々を送っていた主人公は、ふと目を覚ますと異世界の田舎にいた。小さな家と畑、そして妖精たちに囲まれ、四季折々の自然に癒されるスローライフが始まる。時間に縛られず、野菜を育てたり、見知らぬスパイスで料理に挑戦したりと、心温まる日々を満喫する主人公。現代では得られなかった安らぎを感じながら、妖精たちと共に暮らす異世界で、新しい自分を見つける物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる