華ノ道標-華罪捜査官-

山茶花

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訳華、のちに

挑戦者と仲間

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「今日は寿々しか居ないみたいだから、
 次は男子のほうに行きましょう」

「はい!」



海藤は男女共有で使う教室を挟んで反対側へ案内した。
普段、銀壱を含めた男子塾生が勉強する教室だ。

女子教室には寿々ひとりしか居なかったが、男子教室では三人の塾生が既に自習していた。



「おはようございます、先生」

「おはよう。れん、勉強は捗ってる?」

「えーっと…いつも通りです」



蓮と呼ばれる柔らかな笑顔が特徴の男子塾生は、銀壱の幼なじみである。

銀壱に誘われてこの桜塾へ入門した。



「新入生よ。こちら早河 梅乃ちゃん」

「よろしくお願いします!」

「僕は馬渡 蓮太郎まわたり れんたろうです。
 覚えにくいと思うので気軽に蓮って呼んでください」

「蓮は僕の幼なじみなんですよ」



蓮太郎は優しく、温厚な性格で人当たりがとても良い。

そんな先輩塾生に安心したのか、梅乃の肩の力も抜けたようだった。



梅乃は他の二人の塾生とも挨拶を交わし、身体を休ませるために下宿部屋へ戻った。

小さな部屋だが、一人で寝泊まりするのは初めてだ。

緊張がしっかりとほぐれるまでには時間がかかるだろう。


そこへ、扉を叩く音が響いた。



「私よ、入ってもいいかしら?」

「はい、どうぞ!」



様子を見に来たのは海藤だ。

桜塾には決まった時間割などが無く、塾生主体となり授業を割り振る。

海藤の他にも講師は所属しているが、今日は自習が主な課題となっているようだ。



「初めてのことばかりで疲れたでしょう」

「いえ、大丈夫です。
 皆さんも優しそうで勉強が楽しみです」

「そう。それは良かった。
 今日はゆっくりして、明日からは特訓ね!」



海藤はそう言い残すと、足早に去っていった。

梅乃が桜木に来た一番の理由、それは訳華学校の試験を受けて合格すること。

他の塾生たちも皆、同じ目標に向かって勉強に励んでいるが、受験生という意味では全員が仲間であり敵同士でもある。


試験日まで余裕は無い。
梅乃は明日、新たな一歩を踏み出すことになる。


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