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橋を渡る者
胸を張れ
しおりを挟む訳華学校 入学式――
今日から梅乃と銀壱は、晴れて訳華学校の初等生となる。
入学式には親族の他、近隣の住民や在校生も出席し、厳粛な雰囲気の中、式が執り行われた。
桜は散り始めたが、風に揺れると風情がある。
「梅乃さん!銀壱!入学、おめでとう~」
親代わりの海藤が、いつもより煌びやかな着物姿で駆け寄る。
海藤も出席する為にお洒落をしたようだ。
訳華学校には制服がある。
女子は自分にある華墨の花柄の着物に学年色の袴を履く。初等生は紺色だ。
男子は上下黒色の学ラン、胸元と左腕にはそれぞれの華墨の花が刺繍される。
「学校へ行く時も、華隠織は忘れないでね。
これ、羽織に新調しておいたわ」
「ありがとうございます!」
「二人とも、制服似合ってるわね。
さあ、行ってらっしゃい!」
二人は、初等科の教室へ移動した。
訳華学校では入学と同時に学部分けをする。
その基準は、試験の成績と目指す職業。
梅乃の場合は、まだ目指す職業が決まっている訳では無いが、成績優秀であり、訳華を深く学びたいという理由から、「深層訳華学部」に所属することになった。
一方銀壱は元々華罪捜査官志望のため、「華罪研究学部」へ。
また、学年が上がる際に学部を変更することもできる。
二人は、それぞれの学部の教室へ分かれ、講師から授業や学校についての説明を受けた。
そして最後に学校長から初等生全員に言葉が贈られた。
「皆さんは今日から、日本や世界の未来を担う人材になるべく、この学校で勉強して頂きます。
時に辛く、苦しい日々が続くかもしれません。
しかしそれは皆さんが成長する為の階段だと思って
一日一歩でも前に進んでください。
そうすれば、必ず努力は報われます。
皆さんの輝く未来に期待しています」
梅乃はこの時、固く胸に誓った。
絶対にこの世から華罪を無くす、と。
自分のような被害者を出すまい、と。
そして、両親を絶対に救い出すことを。
銀壱も、言葉を交わさずとも同じ思いだった。
「…あの赤い太鼓橋を渡る者よ、胸を張れ。
きっと君たちは世界を救う」
そう呟いたのは、スーツを着こなす男。
訳華学校の校舎の外から初等生の教室を見つめていた。
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