華ノ道標-華罪捜査官-

山茶花

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やるべき事

潜む影

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三人は歩いて街を巡回していた。

怪しい人物は見当たらない。
警備依頼があっても平和な日があるのは良いことだ。



「こんにちは。もしかして、華罪捜査官の方ですか?」

「はい、そうです。
 警備依頼を受けています」

「最近物騒ですものね…
 よろしくお願いしますね」



気品のある女性が話しかけてきた。
着物姿で艶やかに歩く。


華罪捜査官に制服は無い。
しかし、捜査官の象徴である桜を模した柄の紺色の布を、利き手の手首に巻く決まりになっている。
その布を「濃紺の桜のうこん さくら」と呼ぶ。

目立つものではなく、袖を捲ってようやく見えるほどだ。



「えっ…なんで…?」

「どうした?」

「あの女性、
 私たちが華捜ってすぐに分かりましたよね」

「そうだな…」

「そういえば、前髪に隠れた左瞼に――」



梅乃があの女性の正体に気づいた時だった。



「危ないっ!!」


――――スパンッ!


女性が歩いて行った方向から、物凄い速度で梅乃の真横に鋭い矢が飛んできた。



「怪我はないか?」

「はい…!でも、あの人は――」

「ああ。華狩だ。
 恐らくこの矢も、俺たちを威嚇するためだろう」



梅乃は女性の前髪が風で舞った時、左瞼に華狩の印が見えたのだ。

三人がしている濃紺の桜を見て華捜と分かり、わざわざ話しかけに来たということ。


街にも溶け込み、悠長に歩いていた。

悪はすぐそこに居る。


だが矢が飛んできた方向には誰も見当たらず、華狩の女も姿を消した。



「誰がこれを…」

「あの女ではなく、仲間がいるんだろう」

「まだ華狩が潜んでいる可能性があるのですね」

「そうだ。注意深く探すぞ」

「はい!!」



だが矢がもう一度飛んでくることは無かった。

華狩のアジトを突き詰めようと、前田と梅乃、銀壱で分かれて華狩を捜すことにした。


梅乃はまだ力が弱い為、前田と一緒に、女性が歩いて行った方向へ。

銀壱は逆方向だ。



少し歩くと、前田が足を止める。



「前田さん?どうされました?」

「見ろ、矢についていた羽根だ」



落ちていたのは、先程の鋭い矢の先についていた鷲の羽根だった。

鷲の羽根を使った矢は高級品だ。

そんなものを華狩が使っているということは、華罪を犯し、金を稼いでいる証拠。


羽根が落ちていた周辺を見渡すが、人影がない。
建物からは明かりが漏れ、人々の話し声が聞こえる。



すぐそこに、美しい姿の悪さを企む華狩が居ることも知らずに、今日も街は夜を迎えた。
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