華ノ道標-華罪捜査官-

山茶花

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過去と重なる

未来のために

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「真藤さん……」

「ごめんなさい。やっぱり、悲しいです…」 

「そうですよね…
 しかし、必ず悪は成敗されるべきです。
 その為に、あなたが必要なのです」



真藤の涙は止まらなかった。
しかし梅乃にも、その気持ちは痛いほど分かった。

突然親が居なくなり、最初はとても戸惑った。


しばらく、真藤のすすり泣く声が部屋に響く。

少し落ち着くと、真藤が続ける。



「お母様が悪い人なら…
 私も償わなければいけないと思います」

「ええ、そうですね。
 あなたの償いは、お母様を更生させることです」

「更生…」

「まず、明日から本格的な捜査が始まります。
 あなたが知っている事を全て話してください」

「分かりました」



真藤は非常に素直だった。

それから、梅乃と真藤は何気ない会話や談笑を続け、打ち解けていった。

時折、部屋の外に漏れる程の笑い声もあがった。


前田と銀壱も本部へ戻ってきていたが、その様子を聞いて、真藤を京のもとから連れ出して良かったと安堵した。

そして鹿戸の警備も今のところ問題ないようだ。


梅乃は、真藤が疲れて眠ってしまったため、部屋を離れて捜査会議に出席した。



「早河、真藤から何か新しい情報はあったか?」

「連れ出す時、語っていた事しか。
 それと、彼女も勘づいていた、と」

「京が怪しいということか」

「はい。でも、育ての親ですし…
 疑いたくなかったようですね。
 明日以降、詳しく話してくれると思います」

「それは有難い」



捜査会議では、資料庫にあった相関図や過去の捜査報告書の内容を改めて確認し、更に詳しく調べ直すことになった。

と言っても、情報はそう多くはない。

銀壱が確保した龍華会の幹部や、真藤の話が最有力情報になるだろう。



だが、まだ銀壱や梅乃は新人捜査官だ。
基礎的な捜査の経験値があまりにも少ない。

また、配属先は「自由警備課 派遣捜査係」であり、どこからか依頼があれば出動しなければならない。


鹿戸の警備は他の者に任せられたが、今の仕事は依頼先の平和を守ること。



「前田さん。
 僕たちはこの捜査を続けられますか?」

「難しいだろうな。
 派遣捜査係は、ひとつの捜査に集中できない」

「どうすれば…」

「俺から本部長に話はするが、時間はかかると思う。
 許可が下りるまでは派遣捜査係のままだ」



前田も、この二人の教育を任せられた以上、途中で辞めるわけにはいかない。

未来のために、二人を立派な捜査官に成長させなければ教育係として失格だ。


この一連の華罪事件を解決し、悪を滅ぼすことを使命とし、前田は本部長の元へ足を運んだ。
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