33 / 63
過去と重なる
未来のために
しおりを挟む「真藤さん……」
「ごめんなさい。やっぱり、悲しいです…」
「そうですよね…
しかし、必ず悪は成敗されるべきです。
その為に、あなたが必要なのです」
真藤の涙は止まらなかった。
しかし梅乃にも、その気持ちは痛いほど分かった。
突然親が居なくなり、最初はとても戸惑った。
しばらく、真藤のすすり泣く声が部屋に響く。
少し落ち着くと、真藤が続ける。
「お母様が悪い人なら…
私も償わなければいけないと思います」
「ええ、そうですね。
あなたの償いは、お母様を更生させることです」
「更生…」
「まず、明日から本格的な捜査が始まります。
あなたが知っている事を全て話してください」
「分かりました」
真藤は非常に素直だった。
それから、梅乃と真藤は何気ない会話や談笑を続け、打ち解けていった。
時折、部屋の外に漏れる程の笑い声もあがった。
前田と銀壱も本部へ戻ってきていたが、その様子を聞いて、真藤を京のもとから連れ出して良かったと安堵した。
そして鹿戸の警備も今のところ問題ないようだ。
梅乃は、真藤が疲れて眠ってしまったため、部屋を離れて捜査会議に出席した。
「早河、真藤から何か新しい情報はあったか?」
「連れ出す時、語っていた事しか。
それと、彼女も勘づいていた、と」
「京が怪しいということか」
「はい。でも、育ての親ですし…
疑いたくなかったようですね。
明日以降、詳しく話してくれると思います」
「それは有難い」
捜査会議では、資料庫にあった相関図や過去の捜査報告書の内容を改めて確認し、更に詳しく調べ直すことになった。
と言っても、情報はそう多くはない。
銀壱が確保した龍華会の幹部や、真藤の話が最有力情報になるだろう。
だが、まだ銀壱や梅乃は新人捜査官だ。
基礎的な捜査の経験値があまりにも少ない。
また、配属先は「自由警備課 派遣捜査係」であり、どこからか依頼があれば出動しなければならない。
鹿戸の警備は他の者に任せられたが、今の仕事は依頼先の平和を守ること。
「前田さん。
僕たちはこの捜査を続けられますか?」
「難しいだろうな。
派遣捜査係は、ひとつの捜査に集中できない」
「どうすれば…」
「俺から本部長に話はするが、時間はかかると思う。
許可が下りるまでは派遣捜査係のままだ」
前田も、この二人の教育を任せられた以上、途中で辞めるわけにはいかない。
未来のために、二人を立派な捜査官に成長させなければ教育係として失格だ。
この一連の華罪事件を解決し、悪を滅ぼすことを使命とし、前田は本部長の元へ足を運んだ。
0
あなたにおすすめの小説
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる