華ノ道標-華罪捜査官-

山茶花

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過去と重なる

猶予と訓練

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――コンコンコン


「失礼します」

「おお、前田くんじゃないか」

「ご無沙汰しております」



本部長室へ前田が訪れると、本部長は笑顔で歓迎した。
前田と本部長は握手を交わす。


前田は元々、本部長補佐だった。

その役職を約3年間全うしたが、ある事件がきっかけで解任され、自由警備課に配属された。



「あれ以来だな…上手くやれているか?」

「はい。そこそこです」

「今日は何か頼みがあるんだろう?
 顔に書いてある」



本部長は笑みを浮かべながら聞く。

3年間毎日隣で仕事をしてきて、お互いのことをよく分かっているようだ。

いつも梅乃たちに厳しい前田も、本部長の前では苦笑いだ。



「実は…龍華会と華狩の関連なのですが、
 僕と新人二人で確保した奴が居まして」

「報告があった龍華の幹部か?」

「はい。それから、京の拾い子も連れ出しました」

「それはかなりの成果だな。
 その捜査を任せて欲しい、そういう事だな?」

「ええ。新人はまだまだ青いのですが、
 今回の捜査で良い経験を積めると考えました」



前田は真剣に梅乃たちと捜査を続けさせてほしいことを本部長に頼み込んだ。


しかし、教育係としての懸念もあった。

このままだと基本的な捜査の実力を上げることは難しくなる。
果たしてそれが梅乃たちの為になるのか、と。



「…難しい問題だ。
 申し訳ないが、半年間の猶予をくれないか」

「猶予とは?」

「最低限の、新人育成期間だ。
 半年間、育成を君に任せる」

「半年後、この捜査に戻ってよいということですか」

「ああ。だから半年で、二人を
 劇的に成長させて欲しい」



華罪捜査官の新人は通常、1~2年かけてじっくり経験を積ませ、そうしてやっと一人前になれる。


前田の能力を認めている本部長は、新人教育を半年に短縮し成果をあげれば、またこの捜査に戻すと提案したのだ。


本部長も、新人育成を考えての最終手段だと言う。

前田はそれに従うことを約束した。



再び二人は握手を交わすと、前田は梅乃たちへ本部長との話し合いの結果を告げに向かった。

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