華ノ道標-華罪捜査官-

山茶花

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標的の花

証拠を掴め

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1週間後――


あの小さな村で血だらけで発見された男性は、前田たちの迅速な処置により一命を取り留め、後に村長であることが判明した。


村長は華捜本部の提携病院で適切な治療を受け、この1週間で話ができるまでに回復した。

しかし事件の時の記憶だけは未だ戻らないという。

実行犯が誰なのか、京や紫からの指示はあったのかも含め、捜査が進められた。




「あの日、京 美藤に会ったのです。
 血のついた着物を着ていました…」

「それは本当か!
 だとしたら完全に怪しいが」

「村長を搬送した後、
 庭の捜索で凶器は見つかりましたよね」



あの日、前田と銀壱は村長を救急隊へ託した後で現場周辺に怪しい人物や凶器が無いか調べていた。

ちょうど梅乃が京と話した頃だ。


そしてその時、凶器と思われる刃物が見つかった。
検査の結果、刃物には村長の血液の付着が確認されている。



「ああ。だが凶器には、
 村長以外の血液もついていたようだな…」

「まだ検査結果待ちですね」

「京は、会った時凶器は持っていませんでした。
 それから、誰がやったかは捜査すれば分かると」

「そんなことを言っていたのか」

「直感ですが…やはり京はあくまで手を汚さない、
 組織の下の人間に指示した可能性が高いと思います」



京とあの時直接話したのは梅乃だけ。
その梅乃の直感はとても信用出来るものだ。

前田も梅乃の推理に納得していた。

京が言っていた「捜査すれば分かる」というのは、恐らく凶器についていたもう一つの血液を検査すれば実行犯が分かるということだろう。

自分の為、兄である紫の為なら下の人間も利用し切り捨てる、そういう奴なのだ。


前田たちはひとまず凶器の検査結果を待つことにした。



「着物に血がついていたっていうのも、
 少し気になるな」

「…前田さん!検査結果が来ました」

「えーっとこれは…前科がある龍華の幹部か。
 ん?この顔どこかで…」

「見た事ありますか?」

「思い出した。桜木で鷲ヶ峰 寿々を追いかけた時、
 この男が現れて話しかけていたんだよ」



検査結果の用紙に載っている顔写真から、前田は桜木での事件を思い出した。

蔵の前で寿々に話しかけていた大柄のスーツ姿の男は、前科のある龍華会の幹部だったのだ。

その幹部の男が今回の殺人未遂事件に関わったということになる。


すると、前田の無線機が着信した。



「研究室の卯月うつきだ。
 そっちに検査結果を送ったが届いたか?」

「ああ、見た。早かったな」



卯月は、この華捜本部の研究室に属する研究員だ。
前田とは古い付き合いで同期採用だった。

研究室では凶器や現場の血液など、専門的な分野の捜査を行う。



「それから、現場の痕跡を全部調べたんだが
 もう一人、その場に居たんじゃないかと」

「村長と幹部と、あと一人か?」

「そうだ。長い髪の毛が落ちていたんだよ。
 勿論、捜査官以外のな」



この状況からして、落ちていた髪の毛は京のものである可能性が高い。
しかし、京の情報は前科もなく数少ない。

髪の毛が京のものである証拠を見つけなければ、そこに居た証明が出来ないのだ。



「誰かはだいたい想像つくが…
 立証ができん」

「俺も話は聞いたよ。
 その材料があれば検査は簡単なのだが」

「策を練る。話はその後だ」



前田は無線を切った。

策と言っても、方法は二つ。
京を逮捕するか、会いに行って髪の毛を採取するか。

しかしどちらも現実的ではない。


そしてまた、無線機が鳴る。



「こちら本部 連絡室」

「はい、前田です」

「応援依頼だ。鹿戸の警備人数を増やす。
 至急、出動せよ」

「了解!」

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