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総力戦
大好きな声【梅乃】
しおりを挟む――ここに座ると、昨日の事のようにあの頃を思い出す。
「梅乃ちゃーん!早くー!」
「ちょっとまってー!」
早百合ちゃんはいつも遊びに行く時、私の手を取って凄い勢いで走る。
早百合ちゃんは柊次さんに似て面倒見が良く、幼い私を色々な場所へ連れて行った。
遊びも勉強も、ほとんど教えてくれたのは早百合ちゃん。
そして今の私に欠かせない『剣道』も。
剣道の稽古をする時の早百合ちゃんは、別人のようだった。
目つきは鋭く、姿勢は凛として格好良かった。
いつもはたくさん褒めてくれたり遊んでくれる優しい早百合ちゃんだけど、剣道だけはとても厳しかった。
上達しなくて悔し泣きをしたこともあった。
だけどそれも今となっては大切な思い出。
私が訳華学校に行くと決めた時、二人は背中を押してくれた。
両親が居なくなった不安と寂しさ、悲しさを二人は全部包み込んで、私を励ましてくれた。
それなのに、私は――
この町の警備に就いていたのにも関わらず、救えなかった。
二人の出血は酷かった。傷も深い。
もしかしたら、助からないかもしれない。
身近な人も守れずに、正義を語ってはいけない。
本当に悔しい。不甲斐ない。
『梅乃ちゃん、独りで抱え込まないで』
『そうだ。俺たちが傍にいる』
頭の中で、早百合ちゃんと柊次さんの声がこだまする。
落ち着く大好きな声。
いつもこうやって、語りかけてくれていたな。
いつまでも悲しんでいても仕方がない。
私は私の使命を果たさなければいけない。
「柊次さん、早百合ちゃん……
私、皆を絶対に守るから、だからどうか…!」
そうだ、私は【華罪捜査官】なのだから。
やるべき事は、もう分かっている。
犯人は、私が絶対に捕らえてみせる。
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