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総力戦
守るべきもの
しおりを挟む「おい!!早河!銀壱!」
「前田さんっ!!」
前田は、無線機でのやり取りから数分で現場へ到着した。
必死に走って来たからか、汗だくになりながら梅乃と銀壱の名前を叫んでいた。
血だらけで発見された柊次と早百合は、前田が来た時には既に救急隊によって本部へ搬送されていた。
「怪我をしていたのは二人だけか…?」
「はい。僕達で町を見て周りましたが、
他に負傷者はいませんでした」
「それなら良かった。二人の無事を祈ろう。
銀壱も、早河もよく頑張ったな」
前田のその言葉に、梅乃と銀壱は涙を流さずには居られなかった。
前田は自身の両手を、俯く二人の頭の上に置いて言葉を続けた。
「留守にして悪かった。決して自分を責めるなよ。
…俺たちは正義だ。誰の命も奪わせない」
「前田さん……」
「早河。お前は無力なんかじゃない。
これからやるべきことはたくさんあるだろう」
「はい…!」
特に落ち込んでいた梅乃に、前田が優しく声をかけた。
そして梅乃と銀壱は、前田の指示で不審者の捜索をする為、再び町を巡回することになった。
やはりどこを見ても怪しい人影は無い。
柊次と早百合が襲われたことの現実味が失われていくほどだった。
その頃、前田は部下の心配をしながらも、今回の襲撃について本部と連絡を取りながら捜査していた。
本部長から聞いた『内通者』の話と、前田の不在を狙ったような事件。
繋がっていると考えるのが普通だろう。
しかしまだ『内通者』のことは、本部長から口止めされている。
相談できるのは、本部長と危機管理課の下総だけだ。
それから、前田の頭の中には本部長の印象深い言葉が巡っていた。
『早河 梅乃くん。
きっと、紫や京の狙いは彼女だろうから、
守ってやってほしい――』
それは、梅乃が華罪捜査官になるずっと前から、前田には分かっていたこと。
しかし危険にさらされているのは梅乃だけではない。
早河家に関わった柊次や早百合は既に負傷しているわけで、他の地域でも警戒を緩めることはできない。
前田は一人、考えに行き詰まり頭を抱えていた。
「お疲れ様です。隈無く捜しましたが、
不審者は全く…」
早河の屋敷で手帳を眺めていた前田に、巡回から戻った銀壱が話しかけた。
いつも穏やかな表情の銀壱の眉間には、深い皺が寄っていた。
「そうか…お疲れ。
あれ、早河はどうした?一緒じゃないのか?」
「少し、一人になりたい、と。
きっと庭に居るはずです」
「わかった。そりゃそうだろうな。辛いよな」
とはいえ、前田は梅乃が狙われていることを分かっていて目を離す訳にはいかない。
梅乃の様子を見るため、前田はそっと縁側から庭を覗いた。
梅乃は一人、庭石に腰掛けて顔を上げ、流れる雲を呆然と見つめていた。
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