子どもって

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はなしあい

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そして、なぜか1人で残された。羽賀は戻って来ると、自分の横の机から椅子を借り、それを羽賀と向き合うようにそれを置いた。「どうぞ」と言われ、少し高い目線の椅子に座った。

「中さん」
「ん?じゃなくて…『はい』」
羽賀は真面目な話をする時、名前に「さん」を付ける。意識的にこっちも気分がきちんとしなきゃってなる。いや、いつもしているんだけどね。
「基くんと何の話をしたの?」
「話はしていない」
「どういうこと?」
「…聞きたいことがある、って話しかけたら、それを聞く前に泣かれた」

実際には、基は大きな声を出したし、自分もしつこく話しかけた。でも、基に答えてもらっていないなら、それは言っても意味のないことだ。
「話しかけたことが、嫌だったのかも」
「基くんを見た感じでは、そういうわけじゃ、ないと思うけど…」
嘘は言っていないが、羽賀には分からないことが多かったからだろう。それ以上は追及されなかった。

「中さんは、自分のことをどう思う?」
問いかけの内容が、急に変わった。でも、特に思うことはなかった。
「どうって…。面倒な、子ども?」
ふふっと羽賀は笑った。
「それは、“自分が思う”じゃなくて、“回りから見られて”の想像じゃない?」
「うん。でも、ハズレじゃないと思うよ?」
そう思ってるんでしょ?そういう意味を込めて問いかける。

「そう…ね?どうだろうな、面倒じゃない子なんて、世の中にいるのかしら?」
逆に聞かれる。確かに、全く面倒をかけない子どもなんて、いないかもしれない。
言葉遊びのようなやり取りを、羽賀は楽しんでいるようだ。
父さんと話している既視感を感じながら、中は頷いた。

「いない…かな。でも、扱いづらいでしょ?」
「子どもに対して、“扱う”なんておかしい表現よ?お家の人から、そういうことを言われているの?」
羽賀は探るように聞いてきた。深い意味はないので、しっかりと目を合わせる。
「言われたことはない。頑固とか、ユニークって父さんからは言われるし、自立心が強いって母は言ってた」
昨日も言われたし。と、付け加えると羽賀は「そう」と安心したように頷いた。
この視線は知っている。家の家族が変わっていることで、「心配」している顔だ。保育園の先生からも、何回も聞かれたし、その度に何度も「違う」と否定してきたから。

「中さんは、回りの子といて、窮屈に感じることはある?」
静と元を思い出す。これにも、考えなくてもすぐに答えが出る。
「ない、と思う。でも、それはあの2人が“できた”人たちだから」
「できた、ねえ?」
「うん、もったいないくらい」
自分の言う2人は、羽賀が思う2人で間違いないはずだ。でも、羽賀は「もったいない、…か」と首を傾げた。

「まあ、確かに。中さんには、あのくらい独創的な子たちが、側にいた方が良いのかもね?貴方は将来、どんな大人になるのかしらね」
羽賀は、もう1度ふふっと笑った。
「子どもと話している気がしないわ」そう、おかしそうに付け加え、羽賀が立ち上がった。
「はい、じゃあ教室に戻ってください。話は終わりです」
自分も椅子から立ち上がる。同じだった視線が、自然と見上げるようになった。

「ね?学校への侵入者って、入っても何もしていないんだよね?」
質問の意味を考えてか、羽賀は口元に手を添えた。
「…今のところはね」
自分に合わせて、少し屈み羽賀ははっきり答えてくれた。
「それでも、見つかったら警察に連れていかれる?」
自分も自然と小さな声になった。
「そうね、黙って学校に忍び込むのは、決して良いことではないからね」
「そっか、確かに」
失礼しました。と職員室を後にする。
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