49 / 50
ほうこく
しおりを挟む
「てなわけで、犯人は自分から告白しに行って、学校に侵入した方法も解決。基たちは、母の実家に戻って行って、全部解決。一件落着って感じかな?良かった、スッキリ出来て…」
言い終わる自分の表情に、変わりはないつもりだ。だけど、父さんは違っていたらしい。
「ちょ、ちょっと!…ちょっと待って中!君は、何を言っているのか、分かっているのかい?」
父さんの顔が近付いた。
「うん、基が元気になって良かった」
「違う、そこじゃないよ。3日も通信をしないで、何事かと思ったら、またそんなことをして…。本当に、中に何かあったのかと、ママと相談していたんだよ?」
言いながらも、父さんは納得したように呟いた。
「学校への不審者騒ぎ。犯人は、卒業生…か。確かにありうる話だけど…」
「うん」
「ガラスが割られていたことについては、どうなったのか…」
話しながら、父さんは手元にあるタブレットを操作していた。
「えーっと…、これか。『学校に告白し、警察に自首。中学生は書類送検』って、これだけか?もっと、原因とか、その後の対応とか…」
画面の向こうの父さんは、久しぶりに会うのに、そのことには触れなかった。
「良いかい中?学校のガラスを割るような子たちに関わって、君が怪我をしていたら、どうするつもりだったんだい?」
父さんは険しい顔だったけれど、心配をしているようだった。
だから、それには触れない。
「うん、でも話してみたら、そんなに悪い人たちじゃなかったよ?ガラスを割っても、怖い人じゃなかったし。…そういうの、ヘンケンって言うんだってよ?」
心配されるのが嫌なわけじゃないけれど、他人事のように言うと父さんは、大きく息を吐いた。
「それはそうなんだけど、何を悠長なことを」
「ま、それでうまくいったんだから、それで良しとしてよ?」
画面から下がった父さんが、困ったように笑った。
「入学してからすぐにあった、変質者の時もそう言ったよね、中?」
覚えていたけれど、首を傾げる。
「そうだったかもね?」
「『防犯ブザーがあって、その人は捕まったんだし、何も被害はなかったんだから、良しとしてよ??』ってさ」
一言一句同じセリフを言い、父さんは脱力したように椅子にもたれた。
「中、このことも、ママには言わない方がいいだろうね」
「倒れちゃうから?」
父さんは「いいや?」と笑う。
「そうじゃない。今度こそ心配で、家から出なくなっちゃうよ?それでも良い?」
父さんの言葉に、しばらく考える。
そんな自分に、父さんは面白そうに言葉を続けた。
「ママのことだ。可愛い中のために、毎日張り切って主婦をしてくれるだろうね。今まで出来なかった分の反動も含めて、ステキなママをしてくれると思うよ?毎回の食事に、朝夕の学校への送り迎え、毎日のように先生との情報交換、宿題の付き添い、遊んでいてもちゃんと見守っていてくれるだろうし、家に帰ってからも、それは続くだろう。お風呂も一緒で、そうそう、夜の添い寝まで喜んでしてくれるだろうなぁ」
料理研究家って、細かい手順が得意だからね。分刻みでスケジュールが組まれているんだろうなぁ?と重ねて言う呟きに、少し困った。
それは、嬉しいという気持ちもそこに含まれていたから。
素直に喜んで良いものか、仕事をする母がすごくイキイキしていることも、自分は知っている。
言い終わる自分の表情に、変わりはないつもりだ。だけど、父さんは違っていたらしい。
「ちょ、ちょっと!…ちょっと待って中!君は、何を言っているのか、分かっているのかい?」
父さんの顔が近付いた。
「うん、基が元気になって良かった」
「違う、そこじゃないよ。3日も通信をしないで、何事かと思ったら、またそんなことをして…。本当に、中に何かあったのかと、ママと相談していたんだよ?」
言いながらも、父さんは納得したように呟いた。
「学校への不審者騒ぎ。犯人は、卒業生…か。確かにありうる話だけど…」
「うん」
「ガラスが割られていたことについては、どうなったのか…」
話しながら、父さんは手元にあるタブレットを操作していた。
「えーっと…、これか。『学校に告白し、警察に自首。中学生は書類送検』って、これだけか?もっと、原因とか、その後の対応とか…」
画面の向こうの父さんは、久しぶりに会うのに、そのことには触れなかった。
「良いかい中?学校のガラスを割るような子たちに関わって、君が怪我をしていたら、どうするつもりだったんだい?」
父さんは険しい顔だったけれど、心配をしているようだった。
だから、それには触れない。
「うん、でも話してみたら、そんなに悪い人たちじゃなかったよ?ガラスを割っても、怖い人じゃなかったし。…そういうの、ヘンケンって言うんだってよ?」
心配されるのが嫌なわけじゃないけれど、他人事のように言うと父さんは、大きく息を吐いた。
「それはそうなんだけど、何を悠長なことを」
「ま、それでうまくいったんだから、それで良しとしてよ?」
画面から下がった父さんが、困ったように笑った。
「入学してからすぐにあった、変質者の時もそう言ったよね、中?」
覚えていたけれど、首を傾げる。
「そうだったかもね?」
「『防犯ブザーがあって、その人は捕まったんだし、何も被害はなかったんだから、良しとしてよ??』ってさ」
一言一句同じセリフを言い、父さんは脱力したように椅子にもたれた。
「中、このことも、ママには言わない方がいいだろうね」
「倒れちゃうから?」
父さんは「いいや?」と笑う。
「そうじゃない。今度こそ心配で、家から出なくなっちゃうよ?それでも良い?」
父さんの言葉に、しばらく考える。
そんな自分に、父さんは面白そうに言葉を続けた。
「ママのことだ。可愛い中のために、毎日張り切って主婦をしてくれるだろうね。今まで出来なかった分の反動も含めて、ステキなママをしてくれると思うよ?毎回の食事に、朝夕の学校への送り迎え、毎日のように先生との情報交換、宿題の付き添い、遊んでいてもちゃんと見守っていてくれるだろうし、家に帰ってからも、それは続くだろう。お風呂も一緒で、そうそう、夜の添い寝まで喜んでしてくれるだろうなぁ」
料理研究家って、細かい手順が得意だからね。分刻みでスケジュールが組まれているんだろうなぁ?と重ねて言う呟きに、少し困った。
それは、嬉しいという気持ちもそこに含まれていたから。
素直に喜んで良いものか、仕事をする母がすごくイキイキしていることも、自分は知っている。
0
あなたにおすすめの小説
星降る夜に落ちた子
千東風子
児童書・童話
あたしは、いらなかった?
ねえ、お父さん、お母さん。
ずっと心で泣いている女の子がいました。
名前は世羅。
いつもいつも弟ばかり。
何か買うのも出かけるのも、弟の言うことを聞いて。
ハイキングなんて、来たくなかった!
世羅が怒りながら歩いていると、急に体が浮きました。足を滑らせたのです。その先は、とても急な坂。
世羅は滑るように落ち、気を失いました。
そして、目が覚めたらそこは。
住んでいた所とはまるで違う、見知らぬ世界だったのです。
気が強いけれど寂しがり屋の女の子と、ワケ有りでいつも諦めることに慣れてしまった綺麗な男の子。
二人がお互いの心に寄り添い、成長するお話です。
全年齢ですが、けがをしたり、命を狙われたりする描写と「死」の表現があります。
苦手な方は回れ右をお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
私が子どもの頃から温めてきたお話のひとつで、小説家になろうの冬の童話際2022に参加した作品です。
石河 翠さまが開催されている個人アワード『石河翠プレゼンツ勝手に冬童話大賞2022』で大賞をいただきまして、イラストはその副賞に相内 充希さまよりいただいたファンアートです。ありがとうございます(^-^)!
こちらは他サイトにも掲載しています。
14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート
谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。
“スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。
そして14歳で、まさかの《定年》。
6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。
だけど、定年まで残された時間はわずか8年……!
――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。
だが、そんな幸弘の前に現れたのは、
「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。
これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。
描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。
アリアさんの幽閉教室
柚月しずく
児童書・童話
この学校には、ある噂が広まっていた。
「黒い手紙が届いたら、それはアリアさんからの招待状」
招かれた人は、夜の学校に閉じ込められて「恐怖の時間」を過ごすことになる……と。
招待状を受け取った人は、アリアさんから絶対に逃れられないらしい。
『恋の以心伝心ゲーム』
私たちならこんなの楽勝!
夜の学校に閉じ込められた杏樹と星七くん。
アリアさんによって開催されたのは以心伝心ゲーム。
心が通じ合っていれば簡単なはずなのに、なぜかうまくいかなくて……??
『呪いの人形』
この人形、何度捨てても戻ってくる
体調が悪くなった陽菜は、原因が突然現れた人形のせいではないかと疑いはじめる。
人形の存在が恐ろしくなって捨てることにするが、ソレはまた家に現れた。
陽菜にずっと付き纏う理由とは――。
『恐怖の鬼ごっこ』
アリアさんに招待されたのは、美亜、梨々花、優斗。小さい頃から一緒にいる幼馴染の3人。
突如アリアさんに捕まってはいけない鬼ごっこがはじまるが、美亜が置いて行かれてしまう。
仲良し3人組の幼馴染に一体何があったのか。生き残るのは一体誰――?
『招かれざる人』
新聞部の七緒は、アリアさんの記事を書こうと自ら夜の学校に忍び込む。
アリアさんが見つからず意気消沈する中、代わりに現れたのは同じ新聞部の萌香だった。
強がっていたが、夜の学校に一人でいるのが怖かった七緒はホッと安心する。
しかしそこで待ち受けていたのは、予想しない出来事だった――。
ゾクッと怖くて、ハラハラドキドキ。
最後には、ゾッとするどんでん返しがあなたを待っている。
「いっすん坊」てなんなんだ
こいちろう
児童書・童話
ヨシキは中学一年生。毎年お盆は瀬戸内海の小さな島に帰省する。去年は帰れなかったから二年ぶりだ。石段を上った崖の上にお寺があって、書院の裏は狭い瀬戸を見下ろす絶壁だ。その崖にあった小さなセミ穴にいとこのユキちゃんと一緒に吸い込まれた。長い長い穴の底。そこにいたのがいっすん坊だ。ずっとこの島の歴史と、生きてきた全ての人の過去を記録しているという。ユキちゃんは神様だと信じているが、どうもうさんくさいやつだ。するといっすん坊が、「それなら、おまえの振り返りたい過去を三つだけ、再現してみせてやろう」という。
自分の過去の振り返りから、両親への愛を再認識するヨシキ・・・
クールな幼なじみの許嫁になったら、甘い溺愛がはじまりました
藤永ゆいか
児童書・童話
中学2年生になったある日、澄野星奈に許嫁がいることが判明する。
相手は、頭が良くて運動神経抜群のイケメン御曹司で、訳あって現在絶交中の幼なじみ・一之瀬陽向。
さらに、週末限定で星奈は陽向とふたり暮らしをすることになって!?
「俺と許嫁だってこと、絶対誰にも言うなよ」
星奈には、いつも冷たくてそっけない陽向だったが……。
「星奈ちゃんって、ほんと可愛いよね」
「僕、せーちゃんの彼氏に立候補しても良い?」
ある時から星奈は、バスケ部エースの水上虹輝や
帰国子女の秋川想良に甘く迫られるようになり、徐々に陽向にも変化が……?
「星奈は可愛いんだから、もっと自覚しろよ」
「お前のこと、誰にも渡したくない」
クールな幼なじみとの、逆ハーラブストーリー。
児童絵本館のオオカミ
火隆丸
児童書・童話
閉鎖した児童絵本館に放置されたオオカミの着ぐるみが語る、数々の思い出。ボロボロの着ぐるみの中には、たくさんの人の想いが詰まっています。着ぐるみと人との間に生まれた、切なくも美しい物語です。
トウシューズにはキャラメルひとつぶ
白妙スイ@1/9新刊発売
児童書・童話
白鳥 莉瀬(しらとり りぜ)はバレエが大好きな中学一年生。
小学四年生からバレエを習いはじめたのでほかの子よりずいぶん遅いスタートであったが、持ち前の前向きさと努力で同い年の子たちより下のクラスであるものの、着実に実力をつけていっている。
あるとき、ひょんなことからバレエ教室の先生である、乙津(おつ)先生の息子で中学二年生の乙津 隼斗(おつ はやと)と知り合いになる。
隼斗は陸上部に所属しており、一位を取ることより自分の実力を磨くことのほうが好きな性格。
莉瀬は自分と似ている部分を見いだして、隼斗と仲良くなると共に、だんだん惹かれていく。
バレエと陸上、打ちこむことは違っても、頑張る姿が好きだから。
王女様は美しくわらいました
トネリコ
児童書・童話
無様であろうと出来る全てはやったと満足を抱き、王女様は美しくわらいました。
それはそれは美しい笑みでした。
「お前程の悪女はおるまいよ」
王子様は最後まで嘲笑う悪女を一刀で断罪しました。
きたいの悪女は処刑されました 解説版
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる