転生先で動く推しカプのスケベを見て興奮していたら友人と妙な関係になった話

小村辰馬

文字の大きさ
20 / 20

【番外編】★訓練学校でできた友人が可愛くてたまらない話 -4-

しおりを挟む
訓練学校を卒業し、晴れて竜騎士となった俺とフェリシアはその後も変わらず良好な友人関係を築けていた。そう、"全く""何も""変わらずに"だ。訓練学校での数年間、フェリシアによる無意識の誘惑の数々に耐え続けた俺の鋼の意志には賞賛を贈りたい。勿論俺とて健康な若年の男子だ。何度かぐらついた瞬間はあったが……。それでも踏み止まる事ができたのは、それだけフェリシアは自分にとって、一時の衝動なんかで関係の均衡を崩せる程軽い存在じゃなかったからだ。フェリシアの傍にいられるのであれば、それ以上の関係を望むことはない。そう思っていた。

ある夜フェリシアが宿舎を抜け出すのを目撃した。目撃した、というより予想通り現れた、と言う方が正しいか。その日アシュリーヌとマルクス殿下が密会することを聞いたフェリシアの様子を見た俺は、その夜散歩する振りをして張っていたところ案の定、と言った所だ。待ち伏せして後を付けるなど、我ながら来るとこまで来てしまっているとは思う。
けれどこれ以上フェリシアが不毛な片恋慕を続け、己の身を削る姿は見たくなかったのだ。これが本当にマルクス殿下達を盗み見る目的であれば、連れ戻すつもりだった。

連れ戻すつもりだったのだが……

「ひゃぁッ……マルクス様まってンンンぅっ」
「んっ……アシュリーヌ……かわいい……」

見事におっぱじまってしまった。
いやまあ確かに若い男女の夜の逢瀬となれば、やることは一つだろう。フェリシアが断固として帰ろうとしないから、ならば満足するまで俺も隣に居座ってやろうと意地になってしまったのだが。
いやこれはもう、ものすごく気まずい。
何が楽しくて好きな女が片恋慕する男と友人が睦み合う姿を、当の好きな女と盗み見しなければならないのか。俺達が隠れている生垣の向こうで情事を繰り広げている二人が、見知った顔であることも尚更だ。まともに彼らの様子なんて直視できたもんじゃない。
顔に灯る熱を振り払う様に視線を逸らすが、二人の嬌声や生々しい水音が嫌でも耳に入ってしまう。
この異様な状況下で、フェリシアは一体何を思うのだろうか。ここに残ると言った以上、引っ込みがつかなくなっているだけではないか。
そうであれば引き摺ってでもこんな場所からは撤退すべきだ。フェリシアにとっても俺にとっても、この状況は百害はあれど一利なんて無い。声をかけようと頭一つ分ほど下にあるフェリシアを見下ろした。

しかし予想に反して、フェリシアの視線は庭園の中央で快楽を貪り合う二人に釘付けで。頬は上気し、僅かに潤んだ様に見えるその瞳は落胆や哀傷の色は見て取れず、むしろ爛々と喜悦の炎を燃やしている様に見えた。

こいつ、もしかして興奮してんのか……?
自分の好きなやつと、自分の親友がやらしいことしているのを見て? ……どんな神経していやがるんだ。

その表情はこれまでに見た事がない、紛れもない"女"そのもので。呆気に取られる思考とは裏腹に、反射的に己の全身の血が沸き立つのを感じた。顔が熱い。心臓の音がうるさい。

「ね、ねえノアーー」

不意にこちらを振り返ったフェリシアだが、俺と視線がかち合うなり瞠目してすぐに口を閉ざした。続けようとしていた言葉は、驚きで喉の奥に飲み込まれてしまったようだ。
それもそうだろう。きっと俺もフェリシアと同じく、一度たりと気取らせたことの無い情欲に満ちた男の顔をしていただろうから。

「あんッ……ぁあっ、ぁああッ……」

アシュリーヌの甘い声が響く異様な空間の中、あからさまに熱を孕んだ視線でフェリシアを見据えると、びくりと僅かに肩が震えるのが見えた。
庭園から届く明かりだけでも分かる程度にはしっかりと朱に染まった頬も、迷い子のようにそわついた表情も、艶っぽく潤んだ瞳も、可愛くてしょうがない。
フェリシアが欲情しているのは、マルクス様に対してだ。そりゃ想い人があれだけ乱れている姿をみれば、こんなにも蕩けた可愛らしい顔にだってなるだろう。自分以外の人物がフェリシアをこんな表情にさせている事実に、酷く胸がざわついた。

「……お前も、あんなふうにされたかったりするのか」
「……へ?」

いや待て。俺は今から何を言おうとしている?
なんのためにこれまでの数年間、必死にフェリシアの良き友でいるために耐えてきたんだ。それを全て無に返す気か?
けれど、これでフェリシアに触れられるなら、それでも俺のことを嫌わないでいてくれるなら、これ以上の事はない。この際こいつの気持ちが俺へ向いていなかろうと、一時でも俺だけを感じて、俺だけを見てくれるとしたら。
アシュリーヌの痴態を再び見たからか、更に赤らんだフェリシアの頬に指を滑らせる。びくっと一瞬体を強張らせたものの、手を振り払われることはない。そのまま明らかに緊張した様子のフェリシアの頬を優しく撫でてやると、僅かに体の強張りが解れたのを感じた。
しかしフェリシアの柔肌を堪能する余裕など俺には到底無い。格好付けてはいるものの心臓はばっくばくの今にもはち切れそうな程だし、顔面なんてきっとフェリシア以上に茹で蛸状態だ。

「俺はマルクス様にはなれないけど……」

引き返すなら今しかない。
だが俺の長年募らせた情欲と、今の状況のフェリシアなら俺を拒む事は無いだろうという根拠の無い自信は、呆気なく理性様を最後の砦から突き落としやがった。

「お前が許してくれるのなら……俺を使ってくれて構わない」


* * *

我ながら、ずる賢さしか無い誘い文句だった。
フェリシアの恋心も素直さも、何もかもを利用して、自分が最も傷付くことのない最低の手段だ。
罪悪感が無いわけじゃない。行為を終えたその時、間違い無く俺はフェリシアと一線を超えてしまったことを酷く後悔すると思う。
けれどそれらを全て代償にしてもお釣りが来てしまう程に、今置かれている状況はまさに夢のようなものだった。

「のっのあ……! それ、変になるから、やめっ……ンンッッ、ひぁっん……」

フェリシアが俺の腕の中で、俺の一挙一動に健気に反応しながら、甘い声で鳴いている。
俺が、あのフェリシアにこんな可愛い声を上げさせているのだ。その現実を噛み締めては悦びで目眩がしそうになる。
色気やら性欲やらから無縁のように見えたフェリシアの嬌声の破壊力は凄まじいもので、一声聞くだけで俺の分身は律儀にその都度頭を擡げていた。それはもう発情期真っ盛りの10代かよっていう勢いで。

しかし耳に触れた時の反応が一際明るかったからわざと重点的に攻めていたが、ここまで弱かったのか……。

耳介に沿ってわざと焦ったく舐め上げ、時折り唾液を絡ませて音を立ててやると、フェリシアはびくびくと震えながらいやらしい声を漏らしてくれた。かわいい。

長年片恋慕し続けていたにも関わらず、まだ知らないこいつの一面があった。これはマルクス様も誰も知らない、俺だけが知っているフェリシアの弱点だ。
勝手な優越感と興奮に煽られた俺は、更にフェリシアの弱いところを舐めしゃぶった。もっともっと俺しか知らないフェリシアの顔が見たい。その一心でフェリシアのイイところを探り続けるが、正直頭の中はもう沸騰寸前で、興奮により全身の血管が爆ぜ切れるんじゃないかと言うほどだった。

「あっあっ、ひゃぁンッ! んっ……んんッ!」

そりゃもう好きで好きでしょうがない女が、目の前であられもない姿を晒してこんな風に喘いでいるのを目の当たりにして、どうにかならない男はいないだろう。今にもギリギリのところで踏みとどまっていた理性が決壊して、己の欲のままにフェリシアを犯してしまい兼ねない程だった。

「の、ノア……あのね、そろそろ、下、も、弄ってほしいな……なんて」

控えめだが確かにその形を主張する形の良い乳房を曝け出したまま、己の内腿を擦り合わせながら、頬を赤らめて上目遣いでこんな風に可愛らしくおねだりされて、襲い掛からなかった俺の鋼の理性を褒め称えてほしい。
いやこれはもう流石に、襲われてしまっても文句は言えないんじゃないかとも思ったが。
相手はあのフェリシアだ。あくまでマルクス様との情事を妄想して、自分が気持ちよくなることしか考えていないのだろう。俺がフェリシアを性的な目で見ている事だとか、俺にどうこうされるとか、そんなことは1mmも考えていないからこそ、こんなお願いができてしまうのだ。
胸の奥がチリついたものの、俺のどうしようもない息子は元気なままで。俺はただ言われるがままに、フェリシアの秘所へ胸を高鳴らせながら手を伸ばすことしか出来なかった。

「ひゃっ」

フェリシアの下着の中は既にぐしょ濡れで、俺の指はあっという間に滑りを帯びた分泌液に絡め取られた。
殆どはマルクス様達の様子を観察していたからかもしれないが、しっかりと濡れていたことにやはり胸は踊ってしまう。
そのまますっかり湿った茂みを掻き分けながら、割れ目へ指を滑らせる。びくびくと分かりやすく跳ねる体から察するに、きちんと感じてはいるのだろう。愛液を塗りつけるように指をスライドさせると、ぬちゅぬちゅといやらしい音が辺りに響き渡り、それがフェリシアから発せられているかと思うと興奮でどうにかなりそうだった。

「はッ……あっ、あっ、やぁあ……ンンッ……のあ、のあァ……」

気付けば背後からフェリシアを抱きすくめる様になっていたが、すっかり熱に浮かされていた俺は照れる間も無く、目の前の愛しい人の体を貪るのに夢中だった。
既に飲み込まれた俺の指をきつく締め付けながら、一生懸命に俺の名前を呼ぶフェリシアに腰の疼きが止まらない。最早荒ぶる息を隠そうともせずに、真っ赤に染まった耳殻を啜ってはすっかり勃ち上がった乳首を捏ね回し、愛液でぐしょぐしょになったフェリシアの中を擦り上げた。
フェリシアもきちんと感じてくれている様で、抱き締める俺の腕を快感から逃げる様に必死で掴んでいる様子が可愛くてたまらない。

「ひぁあんッ! ひゃ、ぁあん……はぁ、んんッ」

何度想像したか分からないフェリシアのナカは想像以上にとろとろに蕩けていて、俺の指を何度も締め付けては幾重にも重なったヒダが逃がすまいと擦り上げてきた。
この中に今にも暴発しそうな己の剛直をぶち込んだら、一体どれだけ気持ちが良いだろうか。
何度もそんな考えが過ったが、その度に普段のフェリシアの笑顔がちらつき、既の所で理性が引き戻されるのだった。
ここまでの行為に至る衝動はあれど、結局の所俺は、焦がれてやまない相手に嫌われる勇気も、気持ちを伝える度胸も無い臆病者なのだ。

結局その夜、フェリシアと一線を超えることなく一人宿舎に戻った俺は、先程の情事を思い返してはギンギンに昂った己自身を慰めるに留まったのであった。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

獣人の世界に落ちたら最底辺の弱者で、生きるの大変だけど保護者がイケオジで最強っぽい。

真麻一花
恋愛
私は十歳の時、獣が支配する世界へと落ちてきた。 狼の群れに襲われたところに現れたのは、一頭の巨大な狼。そのとき私は、殺されるのを覚悟した。 私を拾ったのは、獣人らしくないのに町を支配する最強の獣人だった。 なんとか生きてる。 でも、この世界で、私は最低辺の弱者。

男嫌いな王女と、帰ってきた筆頭魔術師様の『執着的指導』 ~魔道具は大人の玩具じゃありません~

花虎
恋愛
魔術大国カリューノスの現国王の末っ子である第一王女エレノアは、その見た目から妖精姫と呼ばれ、可愛がられていた。  だが、10歳の頃男の家庭教師に誘拐されかけたことをきっかけに大人の男嫌いとなってしまう。そんなエレノアの遊び相手として送り込まれた美少女がいた。……けれどその正体は、兄王子の親友だった。  エレノアは彼を気に入り、嫌がるのもかまわずいたずらまがいにちょっかいをかけていた。けれど、いつの間にか彼はエレノアの前から去り、エレノアも誘拐の恐ろしい記憶を封印すると共に少年を忘れていく。  そんなエレノアの前に、可愛がっていた男の子が八年越しに大人になって再び現れた。 「やっと、あなたに復讐できる」 歪んだ復讐心と執着で魔道具を使ってエレノアに快楽責めを仕掛けてくる美形の宮廷魔術師リアン。  彼の真意は一体どこにあるのか……わからないままエレノアは彼に惹かれていく。 過去の出来事で男嫌いとなり引きこもりになってしまった王女(18)×王女に執着するヤンデレ天才宮廷魔術師(21)のラブコメです。 ※ムーンライトノベルにも掲載しております。

暴君幼なじみは逃がしてくれない~囚われ愛は深く濃く

なかな悠桃
恋愛
暴君な溺愛幼なじみに振り回される女の子のお話。 ※誤字脱字はご了承くださいm(__)m

男として王宮に仕えていた私、正体がバレた瞬間、冷酷宰相が豹変して溺愛してきました

春夜夢
恋愛
貧乏伯爵家の令嬢である私は、家を救うために男装して王宮に潜り込んだ。 名を「レオン」と偽り、文官見習いとして働く毎日。 誰よりも厳しく私を鍛えたのは、氷の宰相と呼ばれる男――ジークフリード。 ある日、ひょんなことから女であることがバレてしまった瞬間、 あの冷酷な宰相が……私を押し倒して言った。 「ずっと我慢していた。君が女じゃないと、自分に言い聞かせてきた」 「……もう限界だ」 私は知らなかった。 宰相は、私の正体を“最初から”見抜いていて―― ずっと、ずっと、私を手に入れる機会を待っていたことを。

義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話

よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。 「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』

透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。 「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」 そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが! 突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!? 気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態! けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で―― 「なんて可憐な子なんだ……!」 ……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!? これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!? ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆

幼馴染の勇者に「魔王を倒して帰ってきたら何でもしてあげる」と言った結果

景華
恋愛
平和な村で毎日を過ごす村娘ステラ。 ある日ステラの長年の想い人である幼馴染であるリードが勇者として選ばれ、聖女、女剣士、女魔術師と共に魔王討伐に向かうことになる。 「俺……ステラと離れたくない」 そんなリードに、ステラは思わずこう告げる。 「そうだ‼ リードが帰ってきたら、私がリードのお願い、一つだけなんでも叶えてあげる‼」 そんなとっさにステラから飛び出た約束を胸に、リードは村を旅立つ。 それから半年、毎日リードの無事を祈り続けるステラのもとに、リードの史上最速での魔王城攻略の知らせが届く。 勇者一行はこれからたくさんの祝勝パーティに参加した後、故郷に凱旋するというが、それと同時に、パーティメンバーである聖女と女剣士、そして女魔術師の話も耳にすることになる。 戦いの昂りを鎮める役割も担うという三人は、戦いの後全員が重婚の認められた勇者の嫁になるということを知ったステラは思いを諦めようとするが、突然現れたリードは彼女に『ステラの身体《約束のお願い》』を迫って来て──? 誰がどう見ても両片思いな二人がお願いをきっかけに結ばれるまで──。

処理中です...