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天幕に物資を運び入れると、大きく伸びをする。
昇格試験から数週間後。
ヴァルトレア王国の北西部の山林にて、魔物が大量発生し、大規模討伐の作戦が立案された。
件の地は王都から距離があるため、駐屯地を置いての任務である。私の所属する第二部隊も作戦に参加していた。
「フィオナ副隊長、これどこに運び入れたら良いんでしたっけ」
「ああ、それは外でいいよ。ありがと」
麻袋に入った物資を持ってきたクルトに指示をすると、彼がじっとこちらを見つめて来る。な、なんだ。
「なに、どうしたの」
「や、フィオナ副隊長が第二部隊に残ってくれてよかったなーって」
「? どういうこと?」
「だって試験に受かってたら別の隊を持つことになるじゃないっすか。俺副隊長の下居心地良いし、所属が別れるの寂しかったんですよね。あ、落ちたこと自体が喜ばしい訳じゃないっすよ! 副隊長が出世することはもちろん応援してます!」
「分かってるよ。そっか、うん。少し気が楽になったよ、ありがとう」
昇格試験に落ちたことを結構引き摺っていたので、ちょっと元気出た。それを察して、クルトも励ましてくれたのかもしれない。なんて良い子。
思わず彼の高い位置にある頭を撫でると、クルトが「子供扱いしないでくださいよー」と困ったように笑った。
「あ、ユリウスさん」
クルトの声に思わず振り返ると、この天幕の前を通行しようとしていたらしいユリウスが、立ち止まってこちらを見ていた。ガン見していた。物凄く不機嫌そうな顔で。
いや不機嫌な顔をしたいのはこっちの方なんだけど。
先日の一件のこともあり、私は分かり易くフイと顔を背けてやった。
「クルト、武具の整理しよ」
「いいんすか。ユリウスさんまだこっち見てますけど」
「いいの。あんな奴放っておいて」
今回の任務は、ユリウスの受け持つ第二師団第三部隊との共同任務だった。よりによって、奴の隊と協力することになるとは、不服である。
* * *
「ご存知の通り、今回の敵はマンイーターだ。昨今の気温上昇により繁殖が加速して、大量発生している。頭部の花の雌蕊部分に備わる、鋭い牙を携えた巨大な口に気を付けろ。複数生えた蔓に捕縛され、そのまま食された人間は数知れない。心してかかれよ」
ギリアム隊長の号令により、第二部隊の面々が力強く応じた。
第二部隊は40名。今回は8名で一小隊を五隊作り、そこにそれぞれ1名ずつ第二師団の隊員が付く形で任務にあたる。
「へへ、副隊長の隊だなんて俺ラッキーだな~しかも第二師団の担当がメリエッタさんだなんて、両手に華じゃないっすか!」
「はいはい、お遊びじゃないんだから。真面目に取り掛かってね、クルト」
「わかってますよっと、」
そう言ってなんやかんや確実に敵を仕留めるクルトに安心して、私も改めて警戒体勢を取る。
ギリアム隊長がいないこの小隊では、自分がトップだ。皆が危険に晒されないよう、責任を持って動かないと……。
近くの茂みが動き、顔を向けると、マンイーターが複数体現れた。
その姿は醜悪で。顔ほどもある花弁の中心に、人の顎を思わせる口が開き、鋭い牙が不揃いに並んでいる。花弁が風もないのに揺れ、その奥で舌のような肉片が脈打つ。体は蔓と茎で構成され、地面を這うもの、木に絡みつくもの、中には人の胴ほどもある太い蔓を幹のように伸ばし、花の“顔”を高く掲げている個体もいた。
あの蔓に捕まらないようにしないと。
周囲の者と連携を取りながら蔓による攻撃を回避し、時には蔓自体を切り落とし、巨大な花弁を乗せた首を剣で断ち切る。
数が多いのと、リーチが長い程度で、本体はそれ程強くはない。
ここはより多くの敵を倒して、武功を挙げるチャンスかもしれない。そう考えると、剣を握る手に力が入った。
禍々しい緑色の返り血を浴びながら、次々現れる敵を切り落としていると、不意にこの世の物とは思えない、地を這う重低音が聞こえた。まるで地響きだ。
この音の先に頻出している目の前の個体達とは別のーー何かがいるに違いない。それを倒せたら私はーー
「あ、ちょっと副隊長!?」
「この先に何かいる……! もしかしたらこいつらのボスかも!」
「でも一人で行くのは危険ですって!」
「まだこの辺りにも敵は多いから! クルト達はそっちをお願い!」
「ああ~、行っちゃった。一回突っ走るとこれだからなぁ副隊長は」
クルトが何か言っていた気がするが、急がねばならない。取り逃せば、私の手柄を、評価を、手に入れられる千載一遇のチャンスが、水の泡と化してしまう。
私は途中出現する個体を切り捨てながら、森の奥へ向かって足を早めた。
* * *
森の奥に辿り着くと、マンイーターの親玉がそこにいた。
脈打つ蔓は地面を無数に這い回り、巨大な花弁は肉厚で、中心には人の全長ほどもある巨大な裂け目――口があった。
おぞましいその姿に思わず身震いするが、怖気付いている場合ではない。こいつさえ倒せば、他の個体討伐がぐっと楽になる筈だ。ゆえに、その功績も大きいに違いない。
私は、急所である顔の部分へ炎魔法を立て続けに放った。放たれた炎は矢のように一直線に飛び、マンイーターの花弁へと突き刺さる。次々に生じる爆発音とともに、火柱が立ち上った。肉厚な花弁が焼かれ、甘ったるかった花の香りが、焦げた脂と腐臭に変わる。
攻撃は確かに当たっている。しかし耐久力が高いのか、なかなか攻撃の成果が見えず、弱ったそぶりを見せてくれない。
焦ったさに焦燥していたせいで、私の背後から密かに回り込んだ蔓が、勢いよく背中に振り下ろされることに気付くことができなかった。
「フィオナ副隊長!」
ドンッ
頬に地面の冷たい感触。気付くと地面に押し倒されていた私が上体を起こし、振り返ると、背中を血塗れにしたクルトが倒れ伏していた。
何ということだ。私を追ってここまで来てくれたのだろう。クルトが、私を庇ってマンイーターの蔓に背中を引き裂かれたらしい。
「クルト! しっかりして」
「ううぅ……いってぇ……」
意識はあるようだ。
しかし安心するのは早い。かなりの出血量だ。このまま彼を置いておくのは予後に影響するだろう。
「フィオナさん、クルトさん!」
「メリエッタさん! よかった、助かりました」
そこに幸いにもメリエッタが合流してくれた。
彼女はマンイーターの親玉を見るなり、顔面を蒼白にして、口元を押さえた。
「すみません、クルトが怪我をしてしまって……私がこいつの相手をしますので、メリエッタさんはクルトをなるべく遠くへ連れて避難して、誰かと合流できたら、傷の治療をお願いできますか?」
「わ、分かりました。応援も要請いたします」
「あ、応援は――」
「?」
言い掛けて、かぶりを振る。
「いえ、何でもありません。よろしくお願いします」
私はこの期に及んで何を考えているんだ。
私が戦績のことばかり考えて突っ走ったせいで、クルトが怪我をしたというのに。集団で行動していれば、こんなことにはならなかったかもしれないのに。
ユリウスの言っていた通りだ。私は、隊長失格だ。
自分の利益ばかり考えて、その結果周囲がどう言った被害を被るか考えられていない。こんな私、試験に落ちて当然だ。
「うわっ!?」
突然視界が反転する。蔓に足首を締め上げられ、体勢を崩した。
しまった……! 油断した。
地面に叩きつけられた衝撃で、息が詰まる。すぐに起き上がろうとしたその腕に、さらに蔓が絡みついた。
「…っ…離れろ……!」
剣を振り上げようとするが、腕ごと締め上げられ、力が入らない。
腰に、太腿に、次々と蔓が巻きつき、身体が浮かされる。ずるり、と引きずられる感覚。
視線の先で、巨大な花の口が、ゆっくりと開いた。牙が噛み合い、粘ついた音を立てる。そこから溢れ出す甘ったるい香りが、喉の奥にまとわりついた。
「うっ……」
花の香りに、何かしらの作用があるのだろう。頭がぼうっとして、思考が鈍っていく。
無理矢理意識を保とうとするけれど、蔓は容赦なく締まり、私の身体を獲物として持ち上げていく。
風魔法を発動しようとしても、頭が回らなくて術式を組めない。
ま、まずい……食べられる……
私の人生これで終わりなの?
まだ、騎士として大成する夢を成し得ていないのに。それに、ユリウスとだって――
痛みに耐えるべく、ぐっと瞼を閉じる。
けれどその時は訪れず、代わりに私の衣服の中へ蔓が侵入してきた。
え、な、なに……!? お腹開かれる!?
恐ろしい想像をしてゾッと胃の奥が竦み上がるが、身構えても痛みは襲って来ず。何故か蔓は胸元と股間の部分へ纏わりついてきた。
「んっ……!?」
下着の中にまで侵入してきた蔓が、割れ目と、胸元の突起を掠めた。ヒヤリとした生っぽい感触に、思わず声が漏れる。
う、うそ、こいつ……!?
そのまま蔓は乳頭に絡み付き、器用に扱き上げ始めた。時に締め付け、時に弾かれ両胸の先っちょで鋭い快感が爆ぜる。
また同時に、蔓の滑らかな柔い表面部分で、私の花弁を前後にスライドしてくる。にゅちにゅちと細やかに動く度、気持ち良いお豆の部分が擦れて、これまた直接的な刺激が響いた。
「あっ……、やっ、…やめ、……! ん、んんっ、」
何ということだろう。この魔物、獲物で遊び始めやがった。何をもって私に快感を与えているのか分からないけれど、行っているこれは完全なる愛撫で。その証拠に気持ちいい部分を弄られた私は、情けない声が漏れるのを抑えられない。
しかもなんだか感覚が……
ずぷぷぷ……と蔓が私の秘めた蜜穴に侵入してきた。本来なら嫌悪感を感じるであろうこの行為も、何故かアソコは歓喜に戦慄いており。
待ってましたと言わんばかりに、えっちな涎を垂らしながら早く早くと蔓をナカへ迎え入れている。肉壁を擦りながら侵入してくる感覚は格別で、あまりの気持ちよさに私は背中を弓形に逸らしながら、早速絶頂を迎えてしまった。
おかしい、あまりにも気持ちが良すぎる。やっぱりこの花の香りが、何らかの催淫作用を施しているんだ。
「ぁ、……っ、あああっ、ぁん、ぁあっ!」
ぢゅぽっぢゅぽっぢゅぽっ
蔓が抽挿を開始した。容赦ない激しいピストン運動。蔓がお腹の裏側を抉り、子宮口へ激突する度、愛液が溢れ出すのを感じる。
蔓で吊り上げられていて、踏ん張る地面が無いのも余計に快感を増幅させて、私は膝を曲げ、爪先を突っ張らせながら、背後から穿って来る蔓の猛攻からの快感を直に受けていた。
こんな、魔物にこんな好き勝手されるなんて……、屈辱すぎる……でも、気持ち良いよぉ……!
「ひっ、うぅうっ! …っ、あああっ! だめぇっ、乳首といっしょだめぇっっ!」
乳首を思いっきり扱かれながら、膣穴をじゅぷじゅぷ高速で穿たれ、思わず舌を突き出しながらまたイく。
休む間も無く、吐精も、疲労も無い魔物からの攻撃は続き、何度もイかされた私のおまんこはもうぐずぐずだ。
挙げ句の果てにはお尻の穴にまで侵入してきて、2穴同時に犯される。Gスポットを前からも後ろからも抉られ、下腹部で強烈な刺激が爆発した。
また絶頂を迎える私に、今度は更にもう一本細い蔓が追加され、クリを扱き上げ始めた。強すぎる快感が電撃のように破裂し、強烈な排尿感に襲われたかと思うと、ぷしゃっっっと、潮が噴き出て地面へと落下する。
だ、だめ、しんじゃう、イきすぎてしんじゃう……
「フィオナ!!」
ぼんやりとした意識の中で、聞き覚えのある声が一筋の光のように響いた。
涙でぼやけた視界で地面の方を見下ろすと、目を瞠ったユリウスが、こちらを見上げていた。
「ゆ、ゆりう、す……?」
「……っくそ! ……待ってろ今助け――」
「……あ゙っ、ひっっ、だめ、ッ、またイぐっっ! おまんこ壊れるっ! ……やだ、っ…ゆ、ゆりうす、みないでぇえっ!」
ぷしゃぁあっっしょぉおおおぉぉぉぉ
ごちゅっ、と奥を穿たれると同時にクリを思いっきり抓られると再び絶頂を迎えて、潮が噴き出し、ユリウスに降り注いだ。
そんな中でもお構いなく、マンイーターは続けて私の膣穴とお尻の穴をぢゅぷぢゅぷとほじり続ける。
も、だめ、アソコが、おしりが、バカになる……
私、このままこいつに犯され続けて死ぬのかな……こんなことなら、ユリウスに嫌いだなんて言うんじゃなかった……
次の刹那、私を締め上げていた蔓が、一斉に焼き切られた。熱と光が弾け、拘束が解けた身体が、重力に引かれて落ちる。
「――っ!」
しかし地面に落ちた痛みは襲って来ず、代わりに見えるのは白い隊服。夜色の髪が視界を掠める。誰かの腕が、私を己の胸元へ引き寄せた。
「……無茶をするな、馬鹿」
「ゆりう、す……?」
ぼやけた視界の中、ユリウスが私を見下ろしていた。助かったのか? まだ頭がクラクラして、思考が覚束ない。
「……どうして、ここに――」
「――っ!」
私が言い終えるより前に、彼は私を背後へ突き飛ばすように庇った。その直後だった。
――ぐしゃり、と嫌な音が響いた。
ユリウスの身体が、わずかに揺れる。
何が起きたのか理解する前に、視界に、彼の腹部を貫く蔓が映った。白い隊服が、じわりと赤錆色へと変色していく。
「……え……?」
時間が、止まったようだった。
「ユリウス……?」
呼んでも、彼はすぐにこちらを振り向かない。
歯を食いしばり、震える息を吐きながら、片手で蔓を掴み、引き抜いた。足元がふらつき、膝が落ち掛けている。
嘘。うそうそうそ、どうしよう、どうしようどうしよう、
その場から地面が無くなったかのように、感覚が覚束なくなる。どちらが空で、どちらが地面かも分からない。
早く回復をしなきゃ……でも今この場で回復魔術を使えるのはユリウスだけで、それにも時間は要する。そもそもマンイーターはまだ生きている。けれど私はとても戦える状況じゃ無いし、立ち上がれるかも怪しい。それに意識が、もう――
一体どうすれば――
目の前が真っ暗になる。
「……フィオナ」
突如、ユリウスの姿だけが、目の前に鮮明に現れた。
「今度は、俺が助けるから」
腹部を押さえながら、けれども視線はまっすぐ、私を力強く見据えていた。
私は最後に彼を視認すると、そのまま朦朧とする思考の中、意識を手放した。
昇格試験から数週間後。
ヴァルトレア王国の北西部の山林にて、魔物が大量発生し、大規模討伐の作戦が立案された。
件の地は王都から距離があるため、駐屯地を置いての任務である。私の所属する第二部隊も作戦に参加していた。
「フィオナ副隊長、これどこに運び入れたら良いんでしたっけ」
「ああ、それは外でいいよ。ありがと」
麻袋に入った物資を持ってきたクルトに指示をすると、彼がじっとこちらを見つめて来る。な、なんだ。
「なに、どうしたの」
「や、フィオナ副隊長が第二部隊に残ってくれてよかったなーって」
「? どういうこと?」
「だって試験に受かってたら別の隊を持つことになるじゃないっすか。俺副隊長の下居心地良いし、所属が別れるの寂しかったんですよね。あ、落ちたこと自体が喜ばしい訳じゃないっすよ! 副隊長が出世することはもちろん応援してます!」
「分かってるよ。そっか、うん。少し気が楽になったよ、ありがとう」
昇格試験に落ちたことを結構引き摺っていたので、ちょっと元気出た。それを察して、クルトも励ましてくれたのかもしれない。なんて良い子。
思わず彼の高い位置にある頭を撫でると、クルトが「子供扱いしないでくださいよー」と困ったように笑った。
「あ、ユリウスさん」
クルトの声に思わず振り返ると、この天幕の前を通行しようとしていたらしいユリウスが、立ち止まってこちらを見ていた。ガン見していた。物凄く不機嫌そうな顔で。
いや不機嫌な顔をしたいのはこっちの方なんだけど。
先日の一件のこともあり、私は分かり易くフイと顔を背けてやった。
「クルト、武具の整理しよ」
「いいんすか。ユリウスさんまだこっち見てますけど」
「いいの。あんな奴放っておいて」
今回の任務は、ユリウスの受け持つ第二師団第三部隊との共同任務だった。よりによって、奴の隊と協力することになるとは、不服である。
* * *
「ご存知の通り、今回の敵はマンイーターだ。昨今の気温上昇により繁殖が加速して、大量発生している。頭部の花の雌蕊部分に備わる、鋭い牙を携えた巨大な口に気を付けろ。複数生えた蔓に捕縛され、そのまま食された人間は数知れない。心してかかれよ」
ギリアム隊長の号令により、第二部隊の面々が力強く応じた。
第二部隊は40名。今回は8名で一小隊を五隊作り、そこにそれぞれ1名ずつ第二師団の隊員が付く形で任務にあたる。
「へへ、副隊長の隊だなんて俺ラッキーだな~しかも第二師団の担当がメリエッタさんだなんて、両手に華じゃないっすか!」
「はいはい、お遊びじゃないんだから。真面目に取り掛かってね、クルト」
「わかってますよっと、」
そう言ってなんやかんや確実に敵を仕留めるクルトに安心して、私も改めて警戒体勢を取る。
ギリアム隊長がいないこの小隊では、自分がトップだ。皆が危険に晒されないよう、責任を持って動かないと……。
近くの茂みが動き、顔を向けると、マンイーターが複数体現れた。
その姿は醜悪で。顔ほどもある花弁の中心に、人の顎を思わせる口が開き、鋭い牙が不揃いに並んでいる。花弁が風もないのに揺れ、その奥で舌のような肉片が脈打つ。体は蔓と茎で構成され、地面を這うもの、木に絡みつくもの、中には人の胴ほどもある太い蔓を幹のように伸ばし、花の“顔”を高く掲げている個体もいた。
あの蔓に捕まらないようにしないと。
周囲の者と連携を取りながら蔓による攻撃を回避し、時には蔓自体を切り落とし、巨大な花弁を乗せた首を剣で断ち切る。
数が多いのと、リーチが長い程度で、本体はそれ程強くはない。
ここはより多くの敵を倒して、武功を挙げるチャンスかもしれない。そう考えると、剣を握る手に力が入った。
禍々しい緑色の返り血を浴びながら、次々現れる敵を切り落としていると、不意にこの世の物とは思えない、地を這う重低音が聞こえた。まるで地響きだ。
この音の先に頻出している目の前の個体達とは別のーー何かがいるに違いない。それを倒せたら私はーー
「あ、ちょっと副隊長!?」
「この先に何かいる……! もしかしたらこいつらのボスかも!」
「でも一人で行くのは危険ですって!」
「まだこの辺りにも敵は多いから! クルト達はそっちをお願い!」
「ああ~、行っちゃった。一回突っ走るとこれだからなぁ副隊長は」
クルトが何か言っていた気がするが、急がねばならない。取り逃せば、私の手柄を、評価を、手に入れられる千載一遇のチャンスが、水の泡と化してしまう。
私は途中出現する個体を切り捨てながら、森の奥へ向かって足を早めた。
* * *
森の奥に辿り着くと、マンイーターの親玉がそこにいた。
脈打つ蔓は地面を無数に這い回り、巨大な花弁は肉厚で、中心には人の全長ほどもある巨大な裂け目――口があった。
おぞましいその姿に思わず身震いするが、怖気付いている場合ではない。こいつさえ倒せば、他の個体討伐がぐっと楽になる筈だ。ゆえに、その功績も大きいに違いない。
私は、急所である顔の部分へ炎魔法を立て続けに放った。放たれた炎は矢のように一直線に飛び、マンイーターの花弁へと突き刺さる。次々に生じる爆発音とともに、火柱が立ち上った。肉厚な花弁が焼かれ、甘ったるかった花の香りが、焦げた脂と腐臭に変わる。
攻撃は確かに当たっている。しかし耐久力が高いのか、なかなか攻撃の成果が見えず、弱ったそぶりを見せてくれない。
焦ったさに焦燥していたせいで、私の背後から密かに回り込んだ蔓が、勢いよく背中に振り下ろされることに気付くことができなかった。
「フィオナ副隊長!」
ドンッ
頬に地面の冷たい感触。気付くと地面に押し倒されていた私が上体を起こし、振り返ると、背中を血塗れにしたクルトが倒れ伏していた。
何ということだ。私を追ってここまで来てくれたのだろう。クルトが、私を庇ってマンイーターの蔓に背中を引き裂かれたらしい。
「クルト! しっかりして」
「ううぅ……いってぇ……」
意識はあるようだ。
しかし安心するのは早い。かなりの出血量だ。このまま彼を置いておくのは予後に影響するだろう。
「フィオナさん、クルトさん!」
「メリエッタさん! よかった、助かりました」
そこに幸いにもメリエッタが合流してくれた。
彼女はマンイーターの親玉を見るなり、顔面を蒼白にして、口元を押さえた。
「すみません、クルトが怪我をしてしまって……私がこいつの相手をしますので、メリエッタさんはクルトをなるべく遠くへ連れて避難して、誰かと合流できたら、傷の治療をお願いできますか?」
「わ、分かりました。応援も要請いたします」
「あ、応援は――」
「?」
言い掛けて、かぶりを振る。
「いえ、何でもありません。よろしくお願いします」
私はこの期に及んで何を考えているんだ。
私が戦績のことばかり考えて突っ走ったせいで、クルトが怪我をしたというのに。集団で行動していれば、こんなことにはならなかったかもしれないのに。
ユリウスの言っていた通りだ。私は、隊長失格だ。
自分の利益ばかり考えて、その結果周囲がどう言った被害を被るか考えられていない。こんな私、試験に落ちて当然だ。
「うわっ!?」
突然視界が反転する。蔓に足首を締め上げられ、体勢を崩した。
しまった……! 油断した。
地面に叩きつけられた衝撃で、息が詰まる。すぐに起き上がろうとしたその腕に、さらに蔓が絡みついた。
「…っ…離れろ……!」
剣を振り上げようとするが、腕ごと締め上げられ、力が入らない。
腰に、太腿に、次々と蔓が巻きつき、身体が浮かされる。ずるり、と引きずられる感覚。
視線の先で、巨大な花の口が、ゆっくりと開いた。牙が噛み合い、粘ついた音を立てる。そこから溢れ出す甘ったるい香りが、喉の奥にまとわりついた。
「うっ……」
花の香りに、何かしらの作用があるのだろう。頭がぼうっとして、思考が鈍っていく。
無理矢理意識を保とうとするけれど、蔓は容赦なく締まり、私の身体を獲物として持ち上げていく。
風魔法を発動しようとしても、頭が回らなくて術式を組めない。
ま、まずい……食べられる……
私の人生これで終わりなの?
まだ、騎士として大成する夢を成し得ていないのに。それに、ユリウスとだって――
痛みに耐えるべく、ぐっと瞼を閉じる。
けれどその時は訪れず、代わりに私の衣服の中へ蔓が侵入してきた。
え、な、なに……!? お腹開かれる!?
恐ろしい想像をしてゾッと胃の奥が竦み上がるが、身構えても痛みは襲って来ず。何故か蔓は胸元と股間の部分へ纏わりついてきた。
「んっ……!?」
下着の中にまで侵入してきた蔓が、割れ目と、胸元の突起を掠めた。ヒヤリとした生っぽい感触に、思わず声が漏れる。
う、うそ、こいつ……!?
そのまま蔓は乳頭に絡み付き、器用に扱き上げ始めた。時に締め付け、時に弾かれ両胸の先っちょで鋭い快感が爆ぜる。
また同時に、蔓の滑らかな柔い表面部分で、私の花弁を前後にスライドしてくる。にゅちにゅちと細やかに動く度、気持ち良いお豆の部分が擦れて、これまた直接的な刺激が響いた。
「あっ……、やっ、…やめ、……! ん、んんっ、」
何ということだろう。この魔物、獲物で遊び始めやがった。何をもって私に快感を与えているのか分からないけれど、行っているこれは完全なる愛撫で。その証拠に気持ちいい部分を弄られた私は、情けない声が漏れるのを抑えられない。
しかもなんだか感覚が……
ずぷぷぷ……と蔓が私の秘めた蜜穴に侵入してきた。本来なら嫌悪感を感じるであろうこの行為も、何故かアソコは歓喜に戦慄いており。
待ってましたと言わんばかりに、えっちな涎を垂らしながら早く早くと蔓をナカへ迎え入れている。肉壁を擦りながら侵入してくる感覚は格別で、あまりの気持ちよさに私は背中を弓形に逸らしながら、早速絶頂を迎えてしまった。
おかしい、あまりにも気持ちが良すぎる。やっぱりこの花の香りが、何らかの催淫作用を施しているんだ。
「ぁ、……っ、あああっ、ぁん、ぁあっ!」
ぢゅぽっぢゅぽっぢゅぽっ
蔓が抽挿を開始した。容赦ない激しいピストン運動。蔓がお腹の裏側を抉り、子宮口へ激突する度、愛液が溢れ出すのを感じる。
蔓で吊り上げられていて、踏ん張る地面が無いのも余計に快感を増幅させて、私は膝を曲げ、爪先を突っ張らせながら、背後から穿って来る蔓の猛攻からの快感を直に受けていた。
こんな、魔物にこんな好き勝手されるなんて……、屈辱すぎる……でも、気持ち良いよぉ……!
「ひっ、うぅうっ! …っ、あああっ! だめぇっ、乳首といっしょだめぇっっ!」
乳首を思いっきり扱かれながら、膣穴をじゅぷじゅぷ高速で穿たれ、思わず舌を突き出しながらまたイく。
休む間も無く、吐精も、疲労も無い魔物からの攻撃は続き、何度もイかされた私のおまんこはもうぐずぐずだ。
挙げ句の果てにはお尻の穴にまで侵入してきて、2穴同時に犯される。Gスポットを前からも後ろからも抉られ、下腹部で強烈な刺激が爆発した。
また絶頂を迎える私に、今度は更にもう一本細い蔓が追加され、クリを扱き上げ始めた。強すぎる快感が電撃のように破裂し、強烈な排尿感に襲われたかと思うと、ぷしゃっっっと、潮が噴き出て地面へと落下する。
だ、だめ、しんじゃう、イきすぎてしんじゃう……
「フィオナ!!」
ぼんやりとした意識の中で、聞き覚えのある声が一筋の光のように響いた。
涙でぼやけた視界で地面の方を見下ろすと、目を瞠ったユリウスが、こちらを見上げていた。
「ゆ、ゆりう、す……?」
「……っくそ! ……待ってろ今助け――」
「……あ゙っ、ひっっ、だめ、ッ、またイぐっっ! おまんこ壊れるっ! ……やだ、っ…ゆ、ゆりうす、みないでぇえっ!」
ぷしゃぁあっっしょぉおおおぉぉぉぉ
ごちゅっ、と奥を穿たれると同時にクリを思いっきり抓られると再び絶頂を迎えて、潮が噴き出し、ユリウスに降り注いだ。
そんな中でもお構いなく、マンイーターは続けて私の膣穴とお尻の穴をぢゅぷぢゅぷとほじり続ける。
も、だめ、アソコが、おしりが、バカになる……
私、このままこいつに犯され続けて死ぬのかな……こんなことなら、ユリウスに嫌いだなんて言うんじゃなかった……
次の刹那、私を締め上げていた蔓が、一斉に焼き切られた。熱と光が弾け、拘束が解けた身体が、重力に引かれて落ちる。
「――っ!」
しかし地面に落ちた痛みは襲って来ず、代わりに見えるのは白い隊服。夜色の髪が視界を掠める。誰かの腕が、私を己の胸元へ引き寄せた。
「……無茶をするな、馬鹿」
「ゆりう、す……?」
ぼやけた視界の中、ユリウスが私を見下ろしていた。助かったのか? まだ頭がクラクラして、思考が覚束ない。
「……どうして、ここに――」
「――っ!」
私が言い終えるより前に、彼は私を背後へ突き飛ばすように庇った。その直後だった。
――ぐしゃり、と嫌な音が響いた。
ユリウスの身体が、わずかに揺れる。
何が起きたのか理解する前に、視界に、彼の腹部を貫く蔓が映った。白い隊服が、じわりと赤錆色へと変色していく。
「……え……?」
時間が、止まったようだった。
「ユリウス……?」
呼んでも、彼はすぐにこちらを振り向かない。
歯を食いしばり、震える息を吐きながら、片手で蔓を掴み、引き抜いた。足元がふらつき、膝が落ち掛けている。
嘘。うそうそうそ、どうしよう、どうしようどうしよう、
その場から地面が無くなったかのように、感覚が覚束なくなる。どちらが空で、どちらが地面かも分からない。
早く回復をしなきゃ……でも今この場で回復魔術を使えるのはユリウスだけで、それにも時間は要する。そもそもマンイーターはまだ生きている。けれど私はとても戦える状況じゃ無いし、立ち上がれるかも怪しい。それに意識が、もう――
一体どうすれば――
目の前が真っ暗になる。
「……フィオナ」
突如、ユリウスの姿だけが、目の前に鮮明に現れた。
「今度は、俺が助けるから」
腹部を押さえながら、けれども視線はまっすぐ、私を力強く見据えていた。
私は最後に彼を視認すると、そのまま朦朧とする思考の中、意識を手放した。
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