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フェンデルンの大聖堂で、殿下と純白のウェディングドレスを身に纏ったミーニャ、その周囲を私とカイン、ナターシャ嬢とフォルトが囲んでいる写真を眺める。
国を挙げて行う結婚式典の後、親しい者のみで会う時間を設けてもらった時の写真だ。
いつものように弾ける太陽のような笑顔を浮かべるミーニャも、同じように破顔する殿下もとても幸せそうで、見ているこちらまで笑顔になる写真だ。
殿下が正式にミーニャとの婚約を発表した際は城内も国内外も大きく困惑したが、不思議と反発する声は大きくなく、元使用人であり幼馴染と王子との大恋愛の物語は吟遊詩人の手によって、町娘達の憧れの的となった。
フェンデルンへ招集されていた令嬢達は国へ帰るもの、本当に好きな者と結ばれる者、また殿下の図らいで各国の有力者達を紹介され、婚姻する者と様々であった。
ナターシャ嬢はと言うと、フォルトと良い感じの雰囲気だと言うことを聞いて、驚いた。
なんでも、ナターシャ嬢の昔からの片想いであったそうで、殿下とミーニャ、私とカインの姿を見て勇気付けられ、彼にアタックをしたと言うこと。
フォルトは妹のように思っていた彼女からの懸想に驚いていたが、真面目に向き合っているとのことだ。
私はと言うと、フェンデルンからランバルドのレイフィールド伯爵家に移り住み、悠々自適な生活を送っている。
ミーニャ達と離れて暮らすことになったのは寂しいけど、文通もしているし、会いに行けない距離でもない。何より、カインとまた一緒に暮らせることが嬉しかった。
「マナカ……なんだこの部屋は」
「え?」
私の部屋を開けるなり、ベッドに寝転がる私を見て額に青筋を浮かべるカイン。
一体何事だと言うのだろう。
「なんで1日でこんなにも散らかせるんだと聞いているんだ。働かなくていいとは言ったが、最低限自分の身の回りのことくらいはな……」
「身の回りのことくらいは?」
私は気付いている。
寝転がる私が身に纏うワンピースが張り付いて浮き出たお尻のラインを、カインがチラ見していることに。
ついでに胸元にできた隙間から覗く、無い胸を寄せて作った谷間も強調しておく。
カインは扉を背後で閉めると、足の踏み場が無くなった私の部屋を横断し、目の前にやって来た。
「……なんだいカインくん」
「そう言う薄手の服、あまり着るなと言っただろ」
「だってフェンデルンと違って、ランバルドってあったかいし。もう夏も近いんだよ?」
「……」
「なんであまり着てほしくないのかね?」
パタパタと脚をばたつかせ、首を傾げる。
もう一押しな気がする。
「目のやり場に、困るだろ」
「……えっち」
気付くとカインは私の上にのし掛かり、私は彼に仰向けに押し倒されていた。
「片付けは良いの?」
「……あとで一緒に片付けてやる」
そう言って唇を奪われると、私はしめしめと内心ほくそ笑んだ。
かくして働きたく無い怠惰な私は、聖女を解雇された後、大好きな護衛の元で永久就職を果たしたのであった。
その後彼と仲睦まじく過ごした甲斐あり、レイフィールド伯爵家の血を継ぐものを錬成し、母親業という新たな仕事に就かざるを得なくなるのだが、それはまた別のお話。
<END>
国を挙げて行う結婚式典の後、親しい者のみで会う時間を設けてもらった時の写真だ。
いつものように弾ける太陽のような笑顔を浮かべるミーニャも、同じように破顔する殿下もとても幸せそうで、見ているこちらまで笑顔になる写真だ。
殿下が正式にミーニャとの婚約を発表した際は城内も国内外も大きく困惑したが、不思議と反発する声は大きくなく、元使用人であり幼馴染と王子との大恋愛の物語は吟遊詩人の手によって、町娘達の憧れの的となった。
フェンデルンへ招集されていた令嬢達は国へ帰るもの、本当に好きな者と結ばれる者、また殿下の図らいで各国の有力者達を紹介され、婚姻する者と様々であった。
ナターシャ嬢はと言うと、フォルトと良い感じの雰囲気だと言うことを聞いて、驚いた。
なんでも、ナターシャ嬢の昔からの片想いであったそうで、殿下とミーニャ、私とカインの姿を見て勇気付けられ、彼にアタックをしたと言うこと。
フォルトは妹のように思っていた彼女からの懸想に驚いていたが、真面目に向き合っているとのことだ。
私はと言うと、フェンデルンからランバルドのレイフィールド伯爵家に移り住み、悠々自適な生活を送っている。
ミーニャ達と離れて暮らすことになったのは寂しいけど、文通もしているし、会いに行けない距離でもない。何より、カインとまた一緒に暮らせることが嬉しかった。
「マナカ……なんだこの部屋は」
「え?」
私の部屋を開けるなり、ベッドに寝転がる私を見て額に青筋を浮かべるカイン。
一体何事だと言うのだろう。
「なんで1日でこんなにも散らかせるんだと聞いているんだ。働かなくていいとは言ったが、最低限自分の身の回りのことくらいはな……」
「身の回りのことくらいは?」
私は気付いている。
寝転がる私が身に纏うワンピースが張り付いて浮き出たお尻のラインを、カインがチラ見していることに。
ついでに胸元にできた隙間から覗く、無い胸を寄せて作った谷間も強調しておく。
カインは扉を背後で閉めると、足の踏み場が無くなった私の部屋を横断し、目の前にやって来た。
「……なんだいカインくん」
「そう言う薄手の服、あまり着るなと言っただろ」
「だってフェンデルンと違って、ランバルドってあったかいし。もう夏も近いんだよ?」
「……」
「なんであまり着てほしくないのかね?」
パタパタと脚をばたつかせ、首を傾げる。
もう一押しな気がする。
「目のやり場に、困るだろ」
「……えっち」
気付くとカインは私の上にのし掛かり、私は彼に仰向けに押し倒されていた。
「片付けは良いの?」
「……あとで一緒に片付けてやる」
そう言って唇を奪われると、私はしめしめと内心ほくそ笑んだ。
かくして働きたく無い怠惰な私は、聖女を解雇された後、大好きな護衛の元で永久就職を果たしたのであった。
その後彼と仲睦まじく過ごした甲斐あり、レイフィールド伯爵家の血を継ぐものを錬成し、母親業という新たな仕事に就かざるを得なくなるのだが、それはまた別のお話。
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