Goddess

あくび

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「結婚しよう...」

アンの目が驚きのあまり大きく開いた。
唇が離れると「ロザっ....」と言いかけたアンの唇がまた塞がれた。

離れてもまた...。離れてもまた...。
何度も何度も唇が降ってくる。離れていた月日を埋めるように。

「ロザウェル...はぁ...」

余りにも甘い。甘すぎて蕩けてしまいそうな感覚に お腹の辺りが、胸の辺りが、手が、足が、キュンっと疼いた。

ロザウェルはアンの黒髪の中に指を入れ、アンの頭を固定すると耳を舌で舐めた。
唇はそのまま下に降りてきて顎で止まり、また上に向かって舐めて行く。

「んぁ...はぁ...」

服の上からアンの体に似合わない大きい胸を揉み、唇はアンの唇を探して移動する。
ロザウェルの息使いが耳に響いて、アンの泉は湧き上がっていた。

「んぁぁぁ...」

言葉ごとまたロザウェルの唇に飲まれてしまい、息継ぎをする間中、甘い吐息が漏れる。

「んあ...ぁぁ...」
「はぁ...アン...」

首筋を舐めて、鎖骨を舐めて、下に下にとロザウェルの舌が、唇が移動し、アンの服が脱がされた。

ピンク色の乳首は興奮からかピンっと上を向き、ロザウェルはそれをじーっと見つめた後、パクリと口の中に入れた。

アンの体がビクビクっと跳ねると、上目使いでアンの表情を見ながら 乳首を舌で転がす。

「ぁっ...あっ...ぁぁぁ...」
「アン...気持ちいい?」

アンはコクコク頷くと、背を反らせ、胸を前に突き出した。
ロザウェルは一旦口を離し、アンの唇に食らいついて来た。ロザウェルの舌が縦横無尽にアンの口内で激しく暴れた後、耳元で

「アン...好きだ...」

と言いながらアンをベットに向かってゆっくりと倒して行った。

*

ロザウェルに翻弄されて、喘ぐ事しか出来ないアン。
ロザウェルはアンの中で必死に込み上げてくるものと戦っていた。
意識を逸らしても、目に映るのは愛しいアンの悶える顔。

顎を逸らし、胸を突き出し、腰はロザウェルの動きに合わせて艶めかしく動いていた。

「ロザウェルっ...あぁぁ...んはぁ...くぅ...」

唇を噛み締めて、泣きそうな顔をしてロザウェルの攻撃を華奢な体で受け止めているアンを見ているだけでゾクゾクと支配欲が湧き上がってきて堪らなくなる。

「愛してるっ...アンっ...アンっ..あぁぁ...」

ロザウェルは限界に達し、ラストスパートに掛かる。

「ああ...ダメぇ...ぁぁぁ...んぁぁぁ...」

ロザウェルは盛大にアンの再奥で放った。
アンの体がビクンっビクンっと波打ち、ロザウェルの物を最後まで搾り取ろうと絡み付いた。

*

「ダメぇ...あぁ...いっちゃうぅぅぅ...」

アンはロザウェルの上に乗り、下から突き上げられていた。
久しぶりのアンの中は分身が溶けてしまうんじゃないかと思う程良い。

「イケっ...アン...イケっ」
「んはぁ...くぅぅぅ...」

グニョグニョと絡まりながら、ギュウギュウと締め付けられている。
アンは後ろに弓なりに仰け反ってビクビクと跳ねている。
ロザウェルは慌てて起き上がり アンをそのまま倒すとガンガンっと突きまくった。

「ダメぇ...ぁぁ...イッてるのぉ...イッてるのぉぉ...」
「あぁぁぁ...やばい...くぅぁ...」

その日、立て続けに3回出した後、朝起きてからもう1度アンを抱いた。
そして、ロザウェルは後ろ髪を引かれる思いでアンの家を後にした。

起きてるのか意識が飛んでいるのか...反応の無いアンの頬に口付けると

「また夜に来る」

と言い残してロザウェルは出て行った。
アンは起き上がれず「鍵を...」と思いながらも意識を手放した。

*

ハロルドの処遇の件で執務室に訪れていたスフィルはロザウェルを呆れて見ていた。
この何年か、死にそうな顔をしながら政務をこなしていた親友は水を得た魚の様に生き生きと仕事をしていた。

「スフィル!昨日はご苦労だった」

何のねぎらいやっ!っと突っ込みたくなるのをグッと我慢し「お疲れ...」と返しながら親友に昨日の話をしながらも仕事ぶりを眺めていると、同時に幾つもの案件をバッサバッサと捌いていた。

ロザウェルの手元の速い事速い事...。
テキパキと指示を与えては、第三部隊の訓練にまで顔を出し、剣の稽古までつけた後

「久しぶりにいい汗をかいた」

と爽やかな笑顔を振りまき 部屋に戻って行った。

「ほぉ~.....」

スフィルは思わず大笑いしてしまった。

*

コンコン

15時を過ぎた辺りで執務室に来客だった。
神殿の神殿長カファサが幾人かの伴を連れてロザウェルの元に訪れた。

「殿下、お話が御座います...」
「カファサ。どうした。何かあったか?」
「殿下、良き知らせで御座います。女神が降臨されました」
「は.........」

女神降臨。
この国の逸話であり、伝説でもあり、この国の誰もが知っている寝物語。

「女神...?」

【災い起こりて国が荒れる時、女神は現れしこの国を、導き民に幸せをもたらす】

「何も災いなど無いだろう...」
「災いが起こる前触れでしょうな」

この国は今は平和で安定している。
気候も安定していて、災害も無く、他国との争い事も無い。
疫病が流行り、国が弱っている隙を見て 他国が侵略しようとしていた時期もあったが、見事に国は復興し 今は何の心配事も無かったはずだ。

「前触れで女神は現れるのか...?」
「しかし、女神は降臨されました。今 神殿で手厚く保護しておりますのは女神の使いの者。殿下、お目通りをお願い致します」
「.....解った。スフィルを呼んでくれ」

ロザウェルは嫌な予感を胸の奥に追いやって 席を立つと神殿長の後に付いて神殿に向かった。城から馬で約10分程行った所に神殿はある。


むかしむかし...で始まるお伽噺だと思っていた。
ロザウェルはその女神の末裔だとも言われている位に遠い昔のお話。

この国は3つの国に囲まれた内陸にあり、土壌が良く、気候が安定していて作物が良く実る事で 昔はよく他国に狙われていた。
そんな時に女神が現れ、国の士気が上がり持ち堪えたと言う内容だ。

東の国に大風を吹かせ、西の国の地を揺らし、北の山を凍らせて侵入を拒んだと言う。
王は女神と結婚し民も幸せになった。おしまい。と言うお伽噺。

ロザウェルとスフィルは神妙な面持ちで神殿の奥に入って行った。

そこには、ここいらでは珍しくないブロンドの髪の少女が座っていた。
神殿で着せられた白い服を来て、ソファに座りアーガ(神殿で働く者)と話をしている。

「エリージャ様、よろしいかな」

神殿長が穏やかな笑みを浮かべて室内に入って行った。

少女は神殿長を見るとニッコリ微笑んで、その後に視線が動いてロザウェルを見た。
少女はロザウェルから目を離さなかった...と言うよりはロザウェルに釘付けだった。

少女の名前はエリージャ。19歳だと言う。

「女神が降臨したとは 本当か?」
「本当で御座います」
「その女神は何処にいる?」
「今は姿を隠しておられます」
「何故 姿を隠す必要がある?」
「女神様のご意思ですので、お考えがあるのかもしれません」
「何か災いが起こるのか?」
「多分」

ロザウェルとスフィルは顔を見合わせた。

「エリージャちゃん。どんな災いだって女神様は言ったの?」
「.....」

エリージャはスフィルの方を見ようともしない。
『ハイハイ...無視ですか...』スフィルはそう思うと小さくため息をついた。

「エリージャ、スフィルの問いに何故答えない」
「私は下々の者とは話が出来ませんので...」

ロザウェルも呆れて声が出なかった。

「女神はどんな災いが来ると言っていたんだ?」
「天変地異が起こると...」
「天変地異が起こると...?」
「はい」
「神殿長、この者を女神の使いだと言い張る証拠は何処にある?」
「はい、只今...エリージャ様、例のものをお見せして頂けますか?」

それは携帯電話だった。
しかし、今此処で見ている者には誰にも解らない。

「それはなんだ?」
「これは女神様より預かった大事な物ですので触ってはいけません。これは、遠くの人と話せる道具。女神様の指示をこれで仰ぎます」
「女神と連絡が取れるのかっ!」
「はい、判断に迷った時に これに女神様よりお告げが降ります」
「.....他には?」

エリージャは1冊の本らしき物を出して来た。

「これはなんだ?」

見たことのない文字が並んでいた。

「これは 女神様より預かった教典です」
「なんと書いてあるのだ」
「ではまず1章から...正しい真理を行いなさい。世界の宗教の統一と解釈」
「は?...世界?.....本当にそんな事が書いてあるのか?」
「はい。世界の宗教統一と書いてあります」
「女神がそれを行えと?」
「はい」
「そんな馬鹿なっ...!」
「殿下、それは女神への冒涜です」

カファサが静かにロザウェルを諭した。

「女神は世界を侵略しろと言ってるんだぞ!」
「侵略では無いです。統一です」
「はっ。それを侵略って言うんじゃないのか?」
「目的が違います。正義です。女神こそがこの世界を救うのです」

話にならない...。
こんなのが、こんな話がまかり通る訳がない。

「すまないが、馬鹿馬鹿しくて聞いていられない。申し訳無いが失礼する」

ロザウェルは踵を返して部屋を出て行こうとした。

「女神様は教団に力が無い事を嘆いておられます」

ロザウェルがハッと振り向いた。

「女神様はご意思が伝わら無い事を非常に残念に思っておいでです」
「スフィル、帰るぞ」
「お待ち下さい!」
「女神と直接話がしたい。それ以外は聞く耳を持たん」

ロザウェルはスフィルと共に神殿を出て行く。

「なんだか...雲行きが怪しいね~」
「戦を起こせだと?起こして言い訳無いだろう!普通に解るぞ!」
「今に始まった事じゃ無いけど...神殿側が権力を握る気満々。プンプン匂う」
「俺はこのまま父上に報告に行く。お前は 誰かと一緒にあの女の素性を調べてくれ」
「了解、司令官殿」
「1人でするなよ。必ず3人で組め」
「任せて~」

城に着いて2人は別れた。

*

「ぁぁ...カファサ、んあっ...そこっ...そこなのぉ...」

神殿部の奥深いカファサの私室の更に奥の寝室では 艶かしい声が響いていた。
エリージャの泉にはカファサの指が3本入り、グッチョグッチョと音が鳴り響く。そして時折ピチャピチャと舌を使う音も聞こえる。

「エリージャ...気持ちいいか...」
「気持ちいい...ぁぁ...カファサ...もっと...もっとして...」

カファサはエリージャの泉から指を抜いた。「あんっ....」エリージャの不満そうな声がした。

カファサは大きくなった男根をエリージャの口元に持って行った。
エリージャはカファサの顔を見上げながら、男根を下から上に舐めあげる。

「いいぞ...エリージャ...ぁぁ...気持ちいい...」

エリージャは口を大きく開けたまま舌を出し、カファサの先端部分をペロペロと舐める。

「はぁ...いい...咥えてくれ...」

喉の深くまで咥えると、口をすぼめて男根を吸いながら上下に扱いた。
カファサもそのまま倒れてエリージャの泉に顔を埋める。

「世界の王は貴方です...んぁっ...カファサ...んんっ...女神様が...そう仰っています」
「そうか...毎日の祈りが通じたのか...ぁぁ...堪らん。出そうだ...入れるぞっ」
「来てっ...中で出してっ...」

グチュウ...と音が響き、カファサの大きくなった物が出入りをする。

「ぁぁ...貴方の為です。カファサ...ぁぁぁ...もっと奥に...」
「堪らん...気持ちがいい...」
「ずっと性欲を...我慢なさって来たのでしょう?...んはぁ...いっぱい...いっぱい...してぇ」
「ぁぁぁ...んぁ...くっ...くぅぅ...」

ドクドクと長い射精だった。
己の開放がこんなに気持ちが良い事だなんて...
この歳で女の良さを知ったカファサは止められなかった。

元々、神殿では沢山の出家した人間が働いている。
神に使える身。清らかな心と身体を持っていなければならないと言うのが常識だった。

カファサは勿論 営みの経験は無かった。
穢れは宗教が1番嫌う物だからだ。

だが、エリージャが現れてから変わった。
エリージャは女神はそんな事は望んでいないと諭した。

「先ずは宗教の改革」

そう言って、今までの考えを根底から覆した。

「己の開放、自我の目覚め、女神様は欲を抑える等 望んではおりません」

そう言うと性と欲の開放を促した。

「欲にも様々ありますが、どうして欲を抑えないといけないのですか?欲をコントロールすれば良いのです」

衝撃だった。今までの自分の在り方は何だったんだろうか...。

「だからこそ、その努力を女神様は買われたのですよ」

そう言いながらエリージャは服を脱いで行った。
カファサは動けなかった。ゆっくりと近付いて来るエリージャを拒めなかった。
エリージャはカファサの逸物に手を添えると、少し大きくなっている物を手の平で擦った。

『気持ちがいい...』
「カファサ様、私はこれから先の世が不安なんです...カファサ様がしっかりと女神様のご意思を伝えてくれますよね?」

顔を赤らめて、上目使いの涙目で、自分の分身に手を添えている女。
カファサは興奮した。
元々支配欲の強い男である。心の中が『この女を征服したい...』と言う気持ちで一杯になるのに時間は掛からなかった。

「大丈夫ですよ。私と共に前へ進みましょう」

神殿の中では、カファサとエリージャだけでは無く、今では様々な男女が夜になると交じり合い、アッチからもコッチからも艶かしい声が上がっていた。

*

エリージャの持っていた本は日本の中学生が持つ歴史の本であった。
そのページは「フランス革命」のページで「民衆を導く自由の女神」がフランスの国旗を高く掲げて民衆を導いている絵が載っていた。

「女神が民衆を導いて改革を行うと言う予言です」
「女神が...」

宗教の統一を謳い、その為の戦争、その為の弾圧、その為の処刑を本を見せながらエリージャは自分の都合良く、己の解釈で説明をして行く。

問題は、何故エリージャが 日本の教科書や携帯電話を持っているのかと言う事...。

そしてそれらを見て 神殿で働く彼らまたは彼女らが何を思ったかと言う事...。

神殿長のカファサは宗教の絶対的な地位を狙っていた。
今、この国でカファサの位置付けは只の神殿長。
何の権力も無ければ 何の権限も無い。女神降臨は昔からカファサが信じていた事だった。だからこの世界に身を投じて、神殿長まで登り詰め、女神降臨を声高々に唱えて来た。

しかし、この国の王を初め全ての者が 女神降臨を歯牙にもかけず、王子はアッサリと結婚し、そして離婚をした。

「悔しい...」この思いだけが心に強く残った。

朝晩の祈りで、祭壇の前で女神に祈るのは世界の平和でも この国の平和でも無い。

この国での権力を...。この世界での絶対的な地位を...。
そんな思いを毎日女神に一心に願う。

そして、エリージャを見つけた。
彼女の持っていた奇妙な鞄の中からは、見た事も無い道具やら、本やら、色々入っていた。

「もしかして...女神降臨...」

そう言うと、エリージャは少し吃驚した顔をした後に 顔を赤らめて頷いた。
カファサは歓喜に震えた。
まさかと思いながらも手足が震えた。

もしもこの女が女神降臨を偽っていたとしても「自分も騙された...」と言えば良い。この女を使ってこの国を、民を、変えて行けば良い。と思った。

チャンスが巡って来た。

この国を、この世界を牛耳る欲がカファサの中でムクムクと大きくなり、果てしなく広がり、そして賽は投げられた。

エリージャは頭が良い。そして女としても最高だ。
皇太子に女神を抱かせるのはいささか不本意ではあるが、裏で自分が牛耳っていると思えば腹立たしさも多少は気が紛れる。

女神は自分の一心の願いを聞いてくれたのだ。

『目にものを見せてやる...』

カファサが闇に足を踏み入れた瞬間だった。








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