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黒羽族の悲劇が起こったばかりに苦労したラジルド。記憶には全くないが自分の両親が消滅された恨みは勿論あった。しかし、ラジルドは育ててくれた両親がいる。この両親が本当に出来た人達だった。
「恨みは何も生まない。ラジが本当の意味で復讐したいのなら生き抜きなさい」
「ラジが幸せになる事が一番の復讐だと思いなさい。人を殺めたり、人を騙したりそんな次元の低い所で争ってはいけないよ。見返してやる事こそが一番の復讐で早道。その為には努力をしないといけないよ。苦しくても立派な魔人になるんだ。ラジの本当のお父さんとお母さんに胸を張って自慢できる魔人になりなさい」
「もし、どうしても戦わないといけない時が来たら知恵を使いなさい。その為には勉強をしなさい。知識は裏切らないよ。激情に負けない強い心を持ちなさい。いいね」
そう言って育ててくれた両親に本当に感謝している。
そしてラジルドはその期待に応えるように本当に努力して来た。そして、その片隅で なぜ自分の本当の両親が殺されなければならなかったのかも成人して城に務める様になってから調べてみた。そして出した答えがそれだったのだ。
『自分の様な魔人が増えれば また争いの火種になる』ラジルドはそう考え 自分は一生独身なのだと思っていた。...香澄に出逢うまでは。
一生独身で居ると決めた事で 見るもの全てがモノトーンに映った。何もかもを諦めて 自分が存在している事すら否定して来た時期もあった。
『何の為に、誰の為に....』そう思うと堪らなく虚しくて 暴れ出したくなる時も勿論あった。
でも香澄に出逢って全てが変わった。
今までの自分の考えが とても幼稚で浅はかに見えた。
神様っているんだなって思えた(魔人だけど...)
自分を育ててくれた両親に本当に感謝した。
シャルラと合言葉を決めたあの日を境に、シャルラはプッツリと音信不通になってしまった。あの時シャルラの言っていた代わりの者も来なかった。
あの日からゆうに2ヶ月は過ぎていて、流石のラジルドもどうすれば良いのか思いあぐねていた時、突然彼は魔界にやって来た。
「ラジルドちゃ~ん」
ピラピラと舞いながら ラジルドの部屋の窓を叩くシャルラを見た時は、びっくりし過ぎて幻を見ているかと思ったくらいだ。
「あ~け~て~よ~」
そういってシャルラは手を振る。笑顔で...
「なっ...」
ラジルドは急いで窓を開けた。
「元気ぃ~?」
そう言いながら部屋を見渡したシャルラは「散らかってるね~」と言って、ラジルドの部屋のソファの上に山積みになっている書物を片付け出した。
「.....何かあったのか」
恐る恐る聞くラジルドに「ちょっとね~」なんて言いながら 座る場所を確保しようとしているシャルラ。「ラジルドちゃんも手伝って~」と言うシャルラを見て 慌てて一緒に書物をどけた。
ソファに無事に座れて「疲れた~」と言って一呼吸置いたシャルラが、
「待ち合わせの場所に行けなくってごめんね~」
と話し始めた。
「北が~香澄ちゃんをガッチリホールドしちゃてて~なかなか手放してくんないもんだからさ~、もう天界全域の問題にしちゃえって~エッセ様が言い出しちゃって~、僕忙しくなっちゃってさ~、行く暇が無かったの~」
「そんな事より...香澄はどうなった...?」
「えー僕が~どんなに大変だったか聞いてくんないの~?」
「香澄はどうなった?」
「ひどぉ~い、僕 頑張ったのにぃ~順序立てて話さないと~話が解んないじゃ~ん...って解ったって。睨むなよ~。怖いから~もぉ!」
シャルラの頬はプックリ膨らんでいる。
「簡潔に話せ!」
「転生する事になった~」
「は?」
「香澄ちゃ~ん」
「端折り過ぎだろ!お前は!」
下手な漫才みたいなノリツッコミ...。
「解った解ったって~もぉ怖いなぁ~」
そう言いながらも楽しそうなシャルラだ。
「香澄ちゃんね~、人間界に転生する事になったよ~。初めはね~一旦魔界に降りてからの転生って事だったんだけど~魔界に降りちゃったら~時間がかかるだろうって後で話が出てね~、北がね~まだ色々画策するかもだから~このまま天界から行くんだって~」
ラジルドはその説明を冷静に聞いていた。そして一言「.........そうか」と言った。
「ん~?ラジルドちゃん嬉しくないの~?」
「...香澄が...決めたのか?」
「うん。そうだね~、1日でも早くって言ってね~愛されてるね~ラジルドちゃん」
「.......」
「早く仕事戻りなよ~」
「...あぁ」
「ラジルドちゃんが居ないと仕事楽しくないからさ~」
ラジルドは男泣きしていた。本当は香澄に会いたかった。逢って声を掛けて 『迎えに行くから』って伝えたかった。しかし香澄は逢わないで行く事を選んだ。逢えば辛くなるのが解っているから。15年なんてあっという間だ...そう自分に言い聞かせた。
「...で、何時なんだ?」
「来週だって~。北がね~何を仕掛けてくるか解らないから~今度こそ東がガッチリ守るよ~」
「そうか...」
「ラジルドちゃん...香澄ちゃんを手放しちゃダメだよ~」
「あぁ」
「幸せになりなね~」
「あぁ」
「それからさ~ココからが大事な話なんだけど...」
神妙に話し出したシャルラに、
「解ってる」
そう一言だけ告げた。
「うん。よろしくね~それが条件~」
「あぁ」
「んじゃ行くね~」
「色々ありがとな」
シャルラはラジルドからお礼を言われて、びっくり眼でラジルドを見た。そして ニッコリ笑うと
「いいよ~ん じゃまたね~」
シャルラは飛び切りの笑顔を見せて、ピラピラと天界に帰って行った。
正直いって虚しい気持ちはある。
香澄は自分の力でココまで頑張って来た。
結局自分は何もしてやれなかった。
傍に居てやれなかったし、励ます事も出来なかった。ただ1人でヤキモキしただけだ...。
「クソッ」
そう言ってテーブルをガツンと叩くと早速ダジに連絡を取った。
自分が出来る事をする為に。
「明日から仕事行くから...」
前置きも無くそう伝えると「そりゃまた突然ですねぇ」ってダジが笑った。そして、
「早く戻って来てくれないと、てんてこ舞いで困ってるんだよね。覚悟してて、ビシッバシッ働いてもらうから...」
ダジの口角を上げて皮肉った笑い方が目に浮かんだ。
さぁ、香澄を迎えに行くまでシッカリ見張っとかなければ...。
今度こそ全身全霊で守らないと。
そう誓うラジルドだった。
「恨みは何も生まない。ラジが本当の意味で復讐したいのなら生き抜きなさい」
「ラジが幸せになる事が一番の復讐だと思いなさい。人を殺めたり、人を騙したりそんな次元の低い所で争ってはいけないよ。見返してやる事こそが一番の復讐で早道。その為には努力をしないといけないよ。苦しくても立派な魔人になるんだ。ラジの本当のお父さんとお母さんに胸を張って自慢できる魔人になりなさい」
「もし、どうしても戦わないといけない時が来たら知恵を使いなさい。その為には勉強をしなさい。知識は裏切らないよ。激情に負けない強い心を持ちなさい。いいね」
そう言って育ててくれた両親に本当に感謝している。
そしてラジルドはその期待に応えるように本当に努力して来た。そして、その片隅で なぜ自分の本当の両親が殺されなければならなかったのかも成人して城に務める様になってから調べてみた。そして出した答えがそれだったのだ。
『自分の様な魔人が増えれば また争いの火種になる』ラジルドはそう考え 自分は一生独身なのだと思っていた。...香澄に出逢うまでは。
一生独身で居ると決めた事で 見るもの全てがモノトーンに映った。何もかもを諦めて 自分が存在している事すら否定して来た時期もあった。
『何の為に、誰の為に....』そう思うと堪らなく虚しくて 暴れ出したくなる時も勿論あった。
でも香澄に出逢って全てが変わった。
今までの自分の考えが とても幼稚で浅はかに見えた。
神様っているんだなって思えた(魔人だけど...)
自分を育ててくれた両親に本当に感謝した。
シャルラと合言葉を決めたあの日を境に、シャルラはプッツリと音信不通になってしまった。あの時シャルラの言っていた代わりの者も来なかった。
あの日からゆうに2ヶ月は過ぎていて、流石のラジルドもどうすれば良いのか思いあぐねていた時、突然彼は魔界にやって来た。
「ラジルドちゃ~ん」
ピラピラと舞いながら ラジルドの部屋の窓を叩くシャルラを見た時は、びっくりし過ぎて幻を見ているかと思ったくらいだ。
「あ~け~て~よ~」
そういってシャルラは手を振る。笑顔で...
「なっ...」
ラジルドは急いで窓を開けた。
「元気ぃ~?」
そう言いながら部屋を見渡したシャルラは「散らかってるね~」と言って、ラジルドの部屋のソファの上に山積みになっている書物を片付け出した。
「.....何かあったのか」
恐る恐る聞くラジルドに「ちょっとね~」なんて言いながら 座る場所を確保しようとしているシャルラ。「ラジルドちゃんも手伝って~」と言うシャルラを見て 慌てて一緒に書物をどけた。
ソファに無事に座れて「疲れた~」と言って一呼吸置いたシャルラが、
「待ち合わせの場所に行けなくってごめんね~」
と話し始めた。
「北が~香澄ちゃんをガッチリホールドしちゃてて~なかなか手放してくんないもんだからさ~、もう天界全域の問題にしちゃえって~エッセ様が言い出しちゃって~、僕忙しくなっちゃってさ~、行く暇が無かったの~」
「そんな事より...香澄はどうなった...?」
「えー僕が~どんなに大変だったか聞いてくんないの~?」
「香澄はどうなった?」
「ひどぉ~い、僕 頑張ったのにぃ~順序立てて話さないと~話が解んないじゃ~ん...って解ったって。睨むなよ~。怖いから~もぉ!」
シャルラの頬はプックリ膨らんでいる。
「簡潔に話せ!」
「転生する事になった~」
「は?」
「香澄ちゃ~ん」
「端折り過ぎだろ!お前は!」
下手な漫才みたいなノリツッコミ...。
「解った解ったって~もぉ怖いなぁ~」
そう言いながらも楽しそうなシャルラだ。
「香澄ちゃんね~、人間界に転生する事になったよ~。初めはね~一旦魔界に降りてからの転生って事だったんだけど~魔界に降りちゃったら~時間がかかるだろうって後で話が出てね~、北がね~まだ色々画策するかもだから~このまま天界から行くんだって~」
ラジルドはその説明を冷静に聞いていた。そして一言「.........そうか」と言った。
「ん~?ラジルドちゃん嬉しくないの~?」
「...香澄が...決めたのか?」
「うん。そうだね~、1日でも早くって言ってね~愛されてるね~ラジルドちゃん」
「.......」
「早く仕事戻りなよ~」
「...あぁ」
「ラジルドちゃんが居ないと仕事楽しくないからさ~」
ラジルドは男泣きしていた。本当は香澄に会いたかった。逢って声を掛けて 『迎えに行くから』って伝えたかった。しかし香澄は逢わないで行く事を選んだ。逢えば辛くなるのが解っているから。15年なんてあっという間だ...そう自分に言い聞かせた。
「...で、何時なんだ?」
「来週だって~。北がね~何を仕掛けてくるか解らないから~今度こそ東がガッチリ守るよ~」
「そうか...」
「ラジルドちゃん...香澄ちゃんを手放しちゃダメだよ~」
「あぁ」
「幸せになりなね~」
「あぁ」
「それからさ~ココからが大事な話なんだけど...」
神妙に話し出したシャルラに、
「解ってる」
そう一言だけ告げた。
「うん。よろしくね~それが条件~」
「あぁ」
「んじゃ行くね~」
「色々ありがとな」
シャルラはラジルドからお礼を言われて、びっくり眼でラジルドを見た。そして ニッコリ笑うと
「いいよ~ん じゃまたね~」
シャルラは飛び切りの笑顔を見せて、ピラピラと天界に帰って行った。
正直いって虚しい気持ちはある。
香澄は自分の力でココまで頑張って来た。
結局自分は何もしてやれなかった。
傍に居てやれなかったし、励ます事も出来なかった。ただ1人でヤキモキしただけだ...。
「クソッ」
そう言ってテーブルをガツンと叩くと早速ダジに連絡を取った。
自分が出来る事をする為に。
「明日から仕事行くから...」
前置きも無くそう伝えると「そりゃまた突然ですねぇ」ってダジが笑った。そして、
「早く戻って来てくれないと、てんてこ舞いで困ってるんだよね。覚悟してて、ビシッバシッ働いてもらうから...」
ダジの口角を上げて皮肉った笑い方が目に浮かんだ。
さぁ、香澄を迎えに行くまでシッカリ見張っとかなければ...。
今度こそ全身全霊で守らないと。
そう誓うラジルドだった。
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