白い息吹とココロの葉

カモノハシ

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 次の日は、ひときわ寒い朝だった。
 星のささやきはもちろん、ダイヤモンドダストが周囲を舞っていて、世界が私を祝福しているような、そんな美しい光景が広がっていた。
 それなのに、私は気が重かった。昨日の学校でのやり取りをずっと引きずっていたからだ。
朝比奈あさひなさん、私、今日用事あって。そこの掃除ささっと終わらせちゃうから、ごみ捨てだけ頼んでもいい?」
 HR後の掃除で、同じ場所の担当になった雁谷かりやさんからそう言われて、私は答えた。
「あ、うん。――でも、それでいいの?」
 私は『急いでいるなら掃除も代われるけれど、ごみ捨てだけでいいの?』という意味で言ったつもりだった。けれど、彼女はなぜか気分を害したようで、いらだたし気にほうきを動かした。
「……悪かったわね。やればいいんでしょ、やれば」
 雁谷さんはそう言っていつもより念入りに掃除をすると、私の手からごみ箱を奪い取って焼却所へ向かっていった。何が起こったのかわからず、呆然としていた私は、そこに至ってようやく、誤解されたのかもしれないことに気づいたのだ。
 たぶん『掃除をそんな風に適当にしていいのか?』という意味に受け取られたのだろう。
(そんなつもりじゃなかったのに……)
 その出来事から今朝までずっと、「あのとき、星のささやきが聞こえていたら」なんて、詮無いことを考えている。
 私は、雪をきしませ踏み固めながら、もう何度目かのため息をついた。
 今までも、こんなことがよくあった。
 よかれと思って言った言葉が予期せぬ誤解を生み、相手に嫌われたり反感を買ったりする。誤解されたことに気が付いたときにはすでに関係はこじれていて、弁解したところで修復するのは困難だった。
 そんなことが積み重なって、私は話すのが苦手なのだと思い当たった。そうして次第に、会話をしなくなっていった。今では、クラスで「暗い子」認定されている。
 ――そんな私でも、星のささやきがあれば。
 相手にどう誤解されたかすぐにわかれば、傷の浅いうちに対処できる。そのために心の声が聞こえるようになったのだと、最初はもろ手を上げて喜んだのだ。
 実際は、学校に着く頃には氷のような寒さが和らぐせいで、役には立たなかったけれど。
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