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第2章 求めと疎み
4.
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「あの……」
まず、なにから口にすればいいのかわからない。自分から聞いてほしいと言ったのに。
カナミは焦燥にかられた。
そんなカナミを、ゆったりとした眼差しでスルドは見つめている。
「なんでも、思いついたところから。……関係のない話からでもかまいませんよ」
「関係のない話から――?」
「そこから本題に繋がっていったりもしますからね」
ぽちゃぽちゃとしたスルドの頬が、ふんわりと持ち上がる。それに心をなごませて、カナミはステンドグラスの窓に顔を向けた。
「どうして窓がステンドグラスなんですか? それに、お城の庭に食堂があるなんて不思議です」
「それは、ここが秘密の食堂だからですよ」
「秘密の食堂?」
キラリと少年のように目を光らせたスルドが、前かがみになって口元に手を当てた。つられたカナミが前にのめって耳を近づけると、小声で教えられる。
「ここは、やんごとない方々がこっそりと、己をくつろげ本心で過ごすための場所なのです」
「えっ――?」
「まあ、秘密の会合なんかにも使われますが。……ですから、外から中の様子が見られないように、ステンドグラスになっているんですよ」
へえ、とカナミは室内を見回す。
「はじめはもっと別の……、庭の散策の休息所として造られたそうですがね。戦がはじまり、城内にどんな不穏分子が潜んでいるかわからないという状況になったとき、外に話が漏れないように会議をするための場所として使われるようになった、と聞いております」
「そうなんですか。――あの、戦争ってもう終わっているんですよね」
「先々代のときに和平交渉がなされて、無事に終結しました。すさんだ世を先代が落ち着かせ、地盤が固まったところでクラベス様が王位を継がれたのですよ」
「クラベスはどうして、私を妻になんて言うんですか。――だって、自分で言うのも変ですけど、私、どこの誰かもわからないじゃないですか。あやしいでしょう?」
はは、とスルドは快活な声を立てた。
「そのように疑っている人間が城内にいるから、クラベス様はここを教えたんでしょう。ここなら、クラベス様の信任の厚い者しか来られませんから。先王のころに火消しをしたはずの、争いの火種がまだくすぶっていると考える者も、すくなくありませんしね」
カナミは眉根を寄せて、頭を働かせた。
「……それって、クラベスの命を狙う人がいたりとか、そういうことですか」
「そこまでは……。ただ、権力争いというものは、いつの時代でもあるもののようですよ」
(だからクラベスは、誰ともつながっていない私を妻にすると言っているの? でも、それじゃあ私じゃなくても、そういう人なら誰でもいいってことになる)
チクリとカナミの胸が痛んだ。沈んだカナミに、スルドがお茶を勧めた。カップを手にし、口をつけたカナミは、お茶の苦味がそのまま自分の気持ちのように思えて、ますます苦しくなる。
「クラベスは私じゃなくても、漂着した女なら誰でもいいんですね」
ちいさな声が、重たく落ちる。
「カナミ様は、どうして海から――」
「スルド!」
スルドの言葉を、勢いよく開かれた扉とともに飛び込んできた声が遮った。驚いたカナミが目をまるくして扉を見ると、きっちりと首の詰まったジャケットにひざ丈のブーツ、細身のパンツに太いベルトを締め、腰に長剣を佩いている青年が立っていた。薄紫のさらりとした髪に、細い顎。切れ長の瞳には、苛立ちがチロチロと燃えている。
(誰だろう)
ぼんやりと見つめていると、青年はツカツカとカナミに近づき、いきなり頭をわしづかみにした。
「わっ」
「……どうやら、間違いなく天然の黒髪のようだな」
毛の根元をまさぐられるのが、くすぐったい。
「なんなんですかっ」
腕を振って抵抗しながら顔を上げると、想像していたよりもずっと顔が近かった。精悍な顔つきに驚きが広がり、開かれた茶色の瞳にカナミが映る。思わず顔を赤くしたカナミに、青年はあわてて「これは失礼」と身を引いた。
「クラベス様の傍に、あやしげな女が現れたと聞いて……。どこかの差し金かと思ったのです。申し訳ない」
膝をついた青年に頭を下げられ、カナミはうろたえた。
「いえ、あの……、そんな、やめてください」
イスから降りて顔を上げるよう身振りで示せば、にこりと青年が笑った。花がほころぶようなその笑顔に、カナミの胸がドキリとする。
(ちょっと、クラベスに似てる……)
クラベスの笑みが愛らしい素朴な花だとしたら、青年の笑みは大輪の豪奢な花というところか。本質は似ているのに受ける印象の違う笑みに、カナミは引き込まれた。
「私はチェレスタ。王直属の近衛騎士です」
「そうなんですか。――だから、身元がわかんない私を調査しに来たんですね」
(パンデイロさんは普通に受け入れてくれたけど、チェレスタさんの反応のほうが正解かも。いきなり王様が素性の知れない女を連れてきて、妻にするとかなんとか言ってるんだもんね)
「調査というか……、王の望みを知っている者が、神託を利用して己が手の者を送り込んだのではないかと。――いや、失礼しました」
「いえいえ。あやしいって思うの、当然ですから」
そんなに恐縮されると、かえって居心地が悪い。カナミは両手を振って笑顔を見せた。安堵したチェレスタの目じりが下がる。
(やっぱり、クラベスに似てる)
「あの――」
「まさか、本当に神託の女が流れ着くとは思いませんでした。けれどそうならこの国も安心です。どうぞ、王を支え導いてください」
「えっ、あ、はい……」
「それでは。――邪魔をしたな、スルド」
「いいえ。また、ごゆっくりお越しください」
チェレスタは立ち上がると、スルドにほのかな笑みを向け、さっさと出て行ってしまった。ポカンとしたカナミはイスに座り直して、スルドに聞く。
「あの、いまの……」
「はい?」
「ちょっと、クラベスに似てるなぁって思ったんですけど」
いとこかなにかなのかなとカナミは予想する。にこにことしたスルドは軽くうなずき、小声で言った。
「クラベス様の弟君ですよ。母君はクラベス様とおなじ先王の正妻ですので、似ているのも道理かと」
なるほど、とカナミがチェレスタの姿を追うように扉に顔を向けると、スルドが声を落とした。
「ただし、そのことは公然の秘密と言いますか。あまり口にはなさらないようにしてくださいませ」
「どうして――」
「さあ、室内にいるのも退屈でしょうから、庭をご案内いたしましょう。たっぷりと召し上がられたのですから、運動しなくては。このスルドのような体型になってしまいますよ」
大きな体には似つかわしくないほど、軽やかに立ち上がったスルドが「火の始末をしてきます」と奥に入る。あきらかなごまかしに、カナミは首をかしげた。
「どういうことなんだろう」
つぶやきは答えのないまま、ふわふわと空中を漂っていた。
まず、なにから口にすればいいのかわからない。自分から聞いてほしいと言ったのに。
カナミは焦燥にかられた。
そんなカナミを、ゆったりとした眼差しでスルドは見つめている。
「なんでも、思いついたところから。……関係のない話からでもかまいませんよ」
「関係のない話から――?」
「そこから本題に繋がっていったりもしますからね」
ぽちゃぽちゃとしたスルドの頬が、ふんわりと持ち上がる。それに心をなごませて、カナミはステンドグラスの窓に顔を向けた。
「どうして窓がステンドグラスなんですか? それに、お城の庭に食堂があるなんて不思議です」
「それは、ここが秘密の食堂だからですよ」
「秘密の食堂?」
キラリと少年のように目を光らせたスルドが、前かがみになって口元に手を当てた。つられたカナミが前にのめって耳を近づけると、小声で教えられる。
「ここは、やんごとない方々がこっそりと、己をくつろげ本心で過ごすための場所なのです」
「えっ――?」
「まあ、秘密の会合なんかにも使われますが。……ですから、外から中の様子が見られないように、ステンドグラスになっているんですよ」
へえ、とカナミは室内を見回す。
「はじめはもっと別の……、庭の散策の休息所として造られたそうですがね。戦がはじまり、城内にどんな不穏分子が潜んでいるかわからないという状況になったとき、外に話が漏れないように会議をするための場所として使われるようになった、と聞いております」
「そうなんですか。――あの、戦争ってもう終わっているんですよね」
「先々代のときに和平交渉がなされて、無事に終結しました。すさんだ世を先代が落ち着かせ、地盤が固まったところでクラベス様が王位を継がれたのですよ」
「クラベスはどうして、私を妻になんて言うんですか。――だって、自分で言うのも変ですけど、私、どこの誰かもわからないじゃないですか。あやしいでしょう?」
はは、とスルドは快活な声を立てた。
「そのように疑っている人間が城内にいるから、クラベス様はここを教えたんでしょう。ここなら、クラベス様の信任の厚い者しか来られませんから。先王のころに火消しをしたはずの、争いの火種がまだくすぶっていると考える者も、すくなくありませんしね」
カナミは眉根を寄せて、頭を働かせた。
「……それって、クラベスの命を狙う人がいたりとか、そういうことですか」
「そこまでは……。ただ、権力争いというものは、いつの時代でもあるもののようですよ」
(だからクラベスは、誰ともつながっていない私を妻にすると言っているの? でも、それじゃあ私じゃなくても、そういう人なら誰でもいいってことになる)
チクリとカナミの胸が痛んだ。沈んだカナミに、スルドがお茶を勧めた。カップを手にし、口をつけたカナミは、お茶の苦味がそのまま自分の気持ちのように思えて、ますます苦しくなる。
「クラベスは私じゃなくても、漂着した女なら誰でもいいんですね」
ちいさな声が、重たく落ちる。
「カナミ様は、どうして海から――」
「スルド!」
スルドの言葉を、勢いよく開かれた扉とともに飛び込んできた声が遮った。驚いたカナミが目をまるくして扉を見ると、きっちりと首の詰まったジャケットにひざ丈のブーツ、細身のパンツに太いベルトを締め、腰に長剣を佩いている青年が立っていた。薄紫のさらりとした髪に、細い顎。切れ長の瞳には、苛立ちがチロチロと燃えている。
(誰だろう)
ぼんやりと見つめていると、青年はツカツカとカナミに近づき、いきなり頭をわしづかみにした。
「わっ」
「……どうやら、間違いなく天然の黒髪のようだな」
毛の根元をまさぐられるのが、くすぐったい。
「なんなんですかっ」
腕を振って抵抗しながら顔を上げると、想像していたよりもずっと顔が近かった。精悍な顔つきに驚きが広がり、開かれた茶色の瞳にカナミが映る。思わず顔を赤くしたカナミに、青年はあわてて「これは失礼」と身を引いた。
「クラベス様の傍に、あやしげな女が現れたと聞いて……。どこかの差し金かと思ったのです。申し訳ない」
膝をついた青年に頭を下げられ、カナミはうろたえた。
「いえ、あの……、そんな、やめてください」
イスから降りて顔を上げるよう身振りで示せば、にこりと青年が笑った。花がほころぶようなその笑顔に、カナミの胸がドキリとする。
(ちょっと、クラベスに似てる……)
クラベスの笑みが愛らしい素朴な花だとしたら、青年の笑みは大輪の豪奢な花というところか。本質は似ているのに受ける印象の違う笑みに、カナミは引き込まれた。
「私はチェレスタ。王直属の近衛騎士です」
「そうなんですか。――だから、身元がわかんない私を調査しに来たんですね」
(パンデイロさんは普通に受け入れてくれたけど、チェレスタさんの反応のほうが正解かも。いきなり王様が素性の知れない女を連れてきて、妻にするとかなんとか言ってるんだもんね)
「調査というか……、王の望みを知っている者が、神託を利用して己が手の者を送り込んだのではないかと。――いや、失礼しました」
「いえいえ。あやしいって思うの、当然ですから」
そんなに恐縮されると、かえって居心地が悪い。カナミは両手を振って笑顔を見せた。安堵したチェレスタの目じりが下がる。
(やっぱり、クラベスに似てる)
「あの――」
「まさか、本当に神託の女が流れ着くとは思いませんでした。けれどそうならこの国も安心です。どうぞ、王を支え導いてください」
「えっ、あ、はい……」
「それでは。――邪魔をしたな、スルド」
「いいえ。また、ごゆっくりお越しください」
チェレスタは立ち上がると、スルドにほのかな笑みを向け、さっさと出て行ってしまった。ポカンとしたカナミはイスに座り直して、スルドに聞く。
「あの、いまの……」
「はい?」
「ちょっと、クラベスに似てるなぁって思ったんですけど」
いとこかなにかなのかなとカナミは予想する。にこにことしたスルドは軽くうなずき、小声で言った。
「クラベス様の弟君ですよ。母君はクラベス様とおなじ先王の正妻ですので、似ているのも道理かと」
なるほど、とカナミがチェレスタの姿を追うように扉に顔を向けると、スルドが声を落とした。
「ただし、そのことは公然の秘密と言いますか。あまり口にはなさらないようにしてくださいませ」
「どうして――」
「さあ、室内にいるのも退屈でしょうから、庭をご案内いたしましょう。たっぷりと召し上がられたのですから、運動しなくては。このスルドのような体型になってしまいますよ」
大きな体には似つかわしくないほど、軽やかに立ち上がったスルドが「火の始末をしてきます」と奥に入る。あきらかなごまかしに、カナミは首をかしげた。
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