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第一話 夜空を貫く火球
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この星の人々は、自分たちが丸い大地の上に立っていることも、それが宇宙という巨大な空間に浮かんでいるということも、まだ知らなかった。
雲一つない、青く澄み渡った空。見渡す限りの大草原が広がっている。
「今日もいい天気ねー」
小高い丘で伸びをする少女。歳は十三になったばかり。肩まで伸びた髪が風に揺れている。
「よーし、じゃあ始めよっか」
屈託のない笑顔を浮かべてそう言った彼女の脇には、小型の馬くらいの大きさをした動物がいる。多少ずんぐりむっくりで、ポルランと呼ばれる移動や荷運び用の家畜だ。通常の毛並みは茶色だが、このポルランは珍しく白色をしている。
「ユク、しばらく遊んでらっしゃい」
ユクとはこのポルランの名前で、少女がつけた。ユクは小さい頃からの友人で、いつも一緒にいる。少女はユクから籠を降ろすと、野草を採り始めた。
(トリクゥにリスイートがある……今日はおいしいスープが作れそう!)
鼻歌を歌いながら、そんなことを考える少女。
(いっぱい採れたし、そろそろ帰ろうかな)
野草の採取が終わると、少女は首に提げていた小さな角笛を鳴らした。すると、遠くに遊びにいっていたユクが駆け寄ってきた。少女はユクの背に籠を取り付け、自分も跨がる。
「じゃ、戻りましょう」
そう言いながらお腹を軽く蹴ると、ユクはゆっくりと前へ進み始めた。
さざめく草原の向こうに簡素な建物がいくつも見える。カルタと呼ばれる、分解・組み立てが容易なテントだ。
カルタの前には柵があり、その中では牛をさらに小太りにしたような動物が草を食んでいる。モイと言い、主にミルクを採取するために飼育されているが、肉も美味である。
他にも羊に似た四本角のニックルという家畜もいて、こちらは敷布などの繊維用である。しかし、ユクに跨がる少女が身に纏う衣類は交易によって手に入れた綿などを使用している。少女は短めの懸衣を腰の辺りで帯で結び、その下にズボンとブーツを履いていた。懸衣とズボンは枯草色で帯は赤色だ。
カルタの一つに辿り着くと、少女はユクを紐で繋ぎ、籠を降ろした。それを持ってカルタの入り口の布を上げる。
「母さん、野草採ってきたよー」
「ああ、ミン。お帰り。野草は入り口の所に置いといてくれ」
ミンと呼ばれた少女は母親の言う通りに籠を置く。母親の名はルーアという。優しくも芯のありそうな目元がミンとよく似ている。
カルタの中は質素だ。中心に二本の柱があり、その間に調理場とテーブル、周囲にベッドが配置されている。天井や床はニックルの毛を利用したフェルトだ。
「父さんは?」
「明日出掛けるからその打ち合わせ」
ルーアは炊事周りの掃除をしながらミンの問いに答えた。
「出掛ける? どこに?」
「山さ。越冬の下見だよ」
草原の冬は厳しく長い。山の陰で吹雪に耐えながら冬を越すのが慣例だ。
「あーそっかー。じゃあそろそろ忙しくなるね」
夏は短く、もう少しすると冬支度で忙しくなる。
「ああそうだ、父さんにこれを持っていっとくれ。ジルさんとこにいると思うから」
ルーアが渡したのはモイのチーズとバター茶の入った水筒。
「一緒に食べてくるといいよ」
「分かった。帰りにメナリの所に寄ってきていい?」
メナリというのはミンより一つ上の友人だ。
「いいけど、あんまり遅くなるんじゃないよ」
「はーい」
返事をしつつ、自宅のカルタを出ていくミン。
「おーい、ミン。お出掛けかい?」
途中、老齢の男に声を掛けられた。
「ううん、父さんの所に昼食を持っていくだけ」
「そうかい。じゃあこれも持ってお行き」
差し出されたのはニックルの干し肉。
「いいの?」
「ええよ。ラザックには世話になっているからね。もちろん、ミンにも」
ラザックとはミンの父親の名である。
「ありがとう、ドゥーイさん! 父さんもきっと喜ぶわ」
ミンが人懐っこい性格をしていることもあり、近所付き合いは良好で、外を歩けば必ず声を掛けられる。
ニコニコと笑顔で手を振ると、老人も手を振り返す。
ポルランを囲う柵を通り過ぎると、ジルのカルタに辿り着いた。
「こんにちはー。ミンでーす。父さんいますか?」
入り口に声を掛けると、ラザックが顔を出した。
「どうした? こんなところまで」
ラザックはスラッとした体躯を屈めて問う。精悍な顔立ちも印象的だ。
「母さんがこれをって。あと、ドゥーイさんがいつもお世話になっているからって、干し肉を」
ラザックは微笑む。
「そうか、ありがとう。中に入りなさい」
「はーい。お邪魔しまーす」
中にはラザックと同じくらいの年齢の男性がいた。ジルだ。中肉中背の彼は、目元に皺を作って笑顔で迎える。
「ああ、ミンか。今日も元気そうだね」
「うん、こんにちは! テジャおばさんは?」
テジャとはジルの妻である。
「早めに食事を済ませてモイの乳を搾りに行ったよ。さぁ、食事にしよう」
「はーい」
ジルは自分の分のバター茶とチーズ、それから芋を三人分用意した。茶葉や芋は定住をする部族との交易で入手したものだ。ミンも持ってきた食料をテーブルに広げる。
「草原とアヴェロス神に感謝を」
皆、バター茶の入ったコップを軽く掲げる。これがミンたち遊牧民の慣習だ。アヴェロスは遊牧民が信仰する豊穣の神である。
「山の方にはどのくらいいるの?」
芋を半分にし、チーズを乗せながらミンが聞く。
「長く見て四日くらいかな」
「長いね」
ラザックは干し肉を食べながら説明をする。
「前回の大雨で川ができているらしくて迂回しなくちゃいけないんだ。だから候補地は二つに絞ろうかと思ってる。そうすれば多少早く帰ってこられるだろう」
「ラザックは可愛い娘の姿を見られなくなるのが辛いんだよ」
茶化すジルにはにかむミン。
「ジル、そんなことを言ってないで放蕩息子のイクシャを連れ戻したらどうだ」
「それは言わない約束だろ」
「そんな約束はしていないが、言われたくなかったら茶化すのをやめろ」
イクシャはジルとテジャの間に生まれた子供だ。長い間旅に出ていたと思ったら急に現れて、土産を置いていく代わりに食料を要求していく、ということを繰り返している。歳は今年で十八。ここら辺では変人で名が通っている。
「二人共、本当に仲がいいね」
軽口を叩き合う二人を見てミンが微笑むと、ラザックとジルは嫌そうな顔で否定する。
「腐れ縁だ」
「腐れ縁さ」
見事なハモりにミンはますます笑みを深くして笑った。
「あはは、息もぴったり!」
食事の時間は和やかに過ぎていった。
ミンはジルのカルタを出るとまた別のカルタを訪れた。
「あら、ミン。どうしたの?」
目的の人物はカルタの前にいた。彼女の名はメナリ。後ろで二つに結んだ髪と勝ち気そうな表情、少し高めの身長が印象的である。メナリはミンの友人で歳はミンより一つ上の十四だ。
「もうすぐアヴェロス祭でしょ? 踊りの練習をし始めないとって思って」
「アヴェロス祭……ってまだ一月半以上も先じゃない。ミンはせっかちね」
アヴェロス祭とは、いわゆる収穫祭のことで、乳製品作りや冬支度が終わる頃に行われる。
「そうかな? でも今年こそは完璧に踊ってみせたいから」
「何か気合い入ってるわね」
「だって父さんに良いところ見せたいし、下手だったらアヴェロス様にも失礼でしょ?」
メナリはよよよ、とわざとらしくよろけてみせる。
「眩しい、眩しいわ! 眩しすぎてミンの顔をまともに見ていられないわ……!」
ミンはちょっとむくれて、ポコポコとメナリの背中を軽く叩いた。
「もう、メナリったら!」
メナリの小芝居が終わると二人は一緒に吹き出した。
「あははは。いいわ、付き合ってあげる。他の子たちも呼びましょ」
メナリがそう言うと、二人は他のメンバーを呼びにいくことにした。
集落から少し離れた風のよく通る場所。そこには四人の少女がいた。一人はミン、もう一人はメナリ。それから、容姿が瓜二つの二人。彼女たちは双子で、姉がウイカ、妹がレリカ。切りそろえたショートカットや性格もそっくりで、二人とも自分からはあまりしゃべらない。歳は十一。
明確な決まりはないが、舞を踊るのはだいたいが十から十五の間の娘ということになっている。今年のアヴェロス祭はこの四人が主役だ。
「よーし、じゃあ始めよっか。一回通しでやってみて覚えてるか確認しましょう」
メナリが「せーの」と言うと四人はお互いの舞が見えるように円陣になって踊り始めた。アヴェロス祭の舞は静かに始まる序盤、ジャンプや激しいターンが見所の中盤、優雅に踊り終える終盤の三部で構成されている。
皆、昨年の祭りを思い出しながら踊る。
「はい、流れはだいたい覚えてるわね。でも、完璧にはまだまだ遠いわ。練習していきましょう」
メナリは一人一人に指示を出す。
「まず、ミン。あなたは動きは大丈夫だけど、重みが足りないわね。もうちょっと感情を込めて踊ってみなさい。あと、ジャンプの所が多少ふらついてる」
「分かった」
「ウイカは少しあやふやな所があるのと、動きが遅いところがあるわ。ちゃんと合わせていきましょう。レリカはウイカと同じであやふやな所があるっていうのと、動きが小さくなりがちね。手足をもうちょっと伸ばして大きく踊ってみなさい」
「よし、今日はこれで終わりにしましょう。次はまた今度」
メナリの声で練習が終わると、皆息をついた。
「久しぶりに踊ると疲れるね」
額に汗を滲ませてミンが草原に脚を投げ出す。
「うら若き乙女が何を言っているの? これから、練習に冬の用意に大忙しよ」
「そうだった」
今気がついたというようにミンが言うと、メナリは笑う。
「全く、あなたは変な子ね。それじゃ恋も結婚もまだまだ遠いわ」
「そういえば、メナリはイクシャが好きなんだっけ?」
「こ、こら! 今はウイカとレリカがいるんだからっ」
急に慌てふためいて双子の方をチラッと窺うメナリ。
「大丈夫だよ。たぶん聞こえてないから。ねぇ、ウイカ?」
ミンが声量を変えずにウイカに問いかけると、彼女はこくん、と頷いた。
「聞こえてるじゃない! ……いい?ウイカもレリカもこのことしゃべったらただじゃおかないわよ!?」
双子は頷くと「じゃあこのへんで」というようにさっさと帰ってしまった。。
「イクシャ、早く帰ってくるといいね」
ミンの言葉にメナリは顔を赤くして答えた。
「……うん」
その日の夕食はモイのミルクと野草で作ったスープだった。
「ミン、今日はどこに行ってたんだい?」
ラザックが問うと、この地方独特の固めのカムというパンを口に入れながらミンは答えた。
「踊りの練習」
「踊りって……アヴェロス祭の? ずいぶん早いじゃないか。四回目だろう?そんなに練習する必要があるのかい?」
その問いにはルーアが答える。
「今年こそは完璧に踊ってみせたいんだって」
「ははは、気合い入ってるな」
「うん、父さんにも母さんにも今までで一番上手い踊りを見せてあげる」
「期待してるよ」
「うん!」
カムをスープで流し込むと、今度はミンが質問をする。
「父さんは今年もアールの大会、出るんでしょ?」
アールとはこの地方の伝統的な弓だ。アヴェロス祭では、ポルランと並んで移動に用いられる、オリーという馬に乗って的を射る競技が行われる。
「ああ、一応そのつもりだ」
「もちろん、今年も優勝だよね!」
昨年の覇者はラザックである。
「もちろん、と言いたいところだが、今年あたりイクシャに抜かれてしまうかもしれないな」
「イクシャに? 去年は余裕で勝ったじゃない」
「去年はね。しかし、一昨年と比べると格段に上手くなってた。あれは天才だよ」
「ふぅん?」
ミンは納得したようなしていないような返事をし、やがて思いついたように手を叩く。
「じゃあこうしようよ。私は完璧な踊りをして、父さんはアールで優勝する。どちらか一方が達成できなかったら達成できた方の言うことを何でも一つ聞くっていうのはどうかしら」
「じゃあ両方達成できなかったらどうするんだい?」
「それはもちろん、二人とも一つずつ母さんの言うことを聞く」
「はは。こりゃ頑張らないとな」
「面白いわね。二人とも負けたら何をしてもらいましょうか」
ルーアが意味深に笑うと、ミンは少し動揺する。
「や、やっぱりやめておけばよかったかな……」
家族団らんの夜は更けていく。
ラザックがカルタを出てから二日後、ミンはモイのミルクを搾りに行こうとする途中で子供の泣き声を聞いた。
(あれは……トイールとウイカ?)
トイールはウイカとレリカの家の近くに住む夫婦の子供で、五歳の男の子だ。
「どうしたの?」
ミンはウイカに近づきながら聞くと、ウイカは首を横に振る。
「……分から、ない。たまたまここを通ったら……泣いてて」
ウイカは困り果てた表情でトイールを見つめる。元々無口な彼女のことだ。話しかけ方が分からないのだろう。
ミンは腰を落としてトイールに問う。
「どうしたの?」
そう聞いてみたが、トイールは泣くばかりで答えてはくれない。ミンは少し考えるようなそぶりを見せたあと、近くに生えていたハンカという野草の赤い花を摘み、根元を千切って口に咥えた。
「ん、あまーい!」
その一声にトイールの眉がピクリと動く。
「やっぱりハンカの蜜は美味しい!」
トイールはミンの方をチラチラと見る。ミンはそれを確認して問いかけた。
「君も吸ってみる?」
コクンと頷くトイール。ミンはもう一輪ハンカを摘むと彼に渡した。彼は花の根元にそっと口を近づけて蜜を吸った。途端に顔がパァッと明るくなる。
「おいしい?」
ミンが笑顔で聞くと、彼は嬉しそうに頷いた。
「何で泣いてたかお姉ちゃんに教えてくれる?」
トイールはもう一度頷いてから答え始めた。
「あのね、朝ご飯を食べていたら死んじゃったお父さんのこと思い出して『お父さんのスープ食べたいなぁ』って言ったんだ。そしたら、お母さんが急に怒って、それで」
「飛び出してきちゃったの?」
「うん。ただお父さんのスープ食べたいって言っただけなのに」
ミンは顎に人差し指と親指を添えて思案する。
「んー。トイールはお母さんのこと嫌い?」
首をぶんぶんと横に振るトイール。
「そんなこと、ない。大好きだよ」
「じゃあ君は何でお父さんのスープが食べたいって言ったの?」
「それは……また家族みんなでご飯が食べたいって思ったから」
「そっか。たぶんね、お母さんは君が『お母さんのご飯はおいしくないからお父さんのスープが食べたい』って言ったんだと思ったんじゃないかな」
「っ!? ……そんなこと思ってなんかない!」
「うん、分かってる。でも、毎日一生懸命ご飯を作ってるお母さんにはそう聞こえちゃったんだね」
しゅん、と項垂れたトイールの頭を撫でながらミンが言う。
「君は、どうしたい?」
トイールはぽつりと言う。
「ごめんなさい、ってあやまりたい」
ミンは撫でていた手の力を少し強くしてニコッと笑った。
「じゃあ、お姉ちゃんたちと一緒に行こうか」
「うん」
手を繋いでトイールの家へ向かうと、彼の母親がカルタの前で心配そうな顔をしてうろうろしていた。息子を見つけるとすぐに駆け寄る。
「トイール!あんたどこ行ってたの!?」
口ごもるトイールの背中をポンッと軽く叩くミン。
(頑張れ)
「……お母さん、さっきはあんなこと言ってごめんなさい。ぼくは家族みんなでまたご飯が食べたいって思っただけなの。もう、あんなこと言わないから、だから許して……」
彼の言葉に母親がハッとなる。ミンがさりげなくトイールの手を離すと、母親は涙を浮かべて彼を抱きしめた。
「母さんもごめんね……寂しかったんだね……『あんなこと言わない』なんて言わなくていいから、母さんも許しておくれ……」
トイールも涙を浮かべて返事をする。
「うん! ぼくね、お母さんのご飯大好きだよ!」
その光景に目を細めるミン。きっと……。
(きっとこの子は)
「きっとあの子は優しくて立派な大人になるね」
お礼を言う親子と別れてから、ミンはそう言った。
「ん、ウイカ? どうしたの?」
隣で少し俯いているウイカ。
「ミンは、すごいね……」
ミンは首を傾げる。
「すごい?」
「うん、私には……あんな風にできない……」
それを聞いてミンはウイカに抱きついて頬をスリスリさせた。
「ちょっ、ミン! 何して……!」
慌てるウイカにミンが言う。
「大丈夫、ウイカが優しいことはみんな知ってるよ!」
尚も続くミンのスリスリをやっとでかわすと、ウイカは言った。
「私も、ミンみたいにできるように……なる」
ミンはニコッと笑う。
「頑張れ」
ミンは思う。
(きっとあなたも、強くて優しい女性になる)
その日の夜。今日もいつも通り、平和に終わっていく。そう思いながら空を仰いだミンは、それを見た。
夜空を貫く火球。それは流星というにはあまりに大きく、色も炎そのものだった。軌跡を追うミンの瞳には、恐怖でもない、感動とも少し違う、そんな初めての感情が宿っていた。心はいっぱいになっていたのに、なぜだか胸の奥がズキッと痛んだのだ。
火球は空を渡ると山の方向へ消えていき、その少しあとに大きな音が空気を震わした。目撃した者は皆、あれは何だろうと言葉を交わしたが、結局、分かる者はいなかった。
しかし、そんな大きなイベントも次の日の喧噪ですぐに塗り替えられることになるのであった。
雲一つない、青く澄み渡った空。見渡す限りの大草原が広がっている。
「今日もいい天気ねー」
小高い丘で伸びをする少女。歳は十三になったばかり。肩まで伸びた髪が風に揺れている。
「よーし、じゃあ始めよっか」
屈託のない笑顔を浮かべてそう言った彼女の脇には、小型の馬くらいの大きさをした動物がいる。多少ずんぐりむっくりで、ポルランと呼ばれる移動や荷運び用の家畜だ。通常の毛並みは茶色だが、このポルランは珍しく白色をしている。
「ユク、しばらく遊んでらっしゃい」
ユクとはこのポルランの名前で、少女がつけた。ユクは小さい頃からの友人で、いつも一緒にいる。少女はユクから籠を降ろすと、野草を採り始めた。
(トリクゥにリスイートがある……今日はおいしいスープが作れそう!)
鼻歌を歌いながら、そんなことを考える少女。
(いっぱい採れたし、そろそろ帰ろうかな)
野草の採取が終わると、少女は首に提げていた小さな角笛を鳴らした。すると、遠くに遊びにいっていたユクが駆け寄ってきた。少女はユクの背に籠を取り付け、自分も跨がる。
「じゃ、戻りましょう」
そう言いながらお腹を軽く蹴ると、ユクはゆっくりと前へ進み始めた。
さざめく草原の向こうに簡素な建物がいくつも見える。カルタと呼ばれる、分解・組み立てが容易なテントだ。
カルタの前には柵があり、その中では牛をさらに小太りにしたような動物が草を食んでいる。モイと言い、主にミルクを採取するために飼育されているが、肉も美味である。
他にも羊に似た四本角のニックルという家畜もいて、こちらは敷布などの繊維用である。しかし、ユクに跨がる少女が身に纏う衣類は交易によって手に入れた綿などを使用している。少女は短めの懸衣を腰の辺りで帯で結び、その下にズボンとブーツを履いていた。懸衣とズボンは枯草色で帯は赤色だ。
カルタの一つに辿り着くと、少女はユクを紐で繋ぎ、籠を降ろした。それを持ってカルタの入り口の布を上げる。
「母さん、野草採ってきたよー」
「ああ、ミン。お帰り。野草は入り口の所に置いといてくれ」
ミンと呼ばれた少女は母親の言う通りに籠を置く。母親の名はルーアという。優しくも芯のありそうな目元がミンとよく似ている。
カルタの中は質素だ。中心に二本の柱があり、その間に調理場とテーブル、周囲にベッドが配置されている。天井や床はニックルの毛を利用したフェルトだ。
「父さんは?」
「明日出掛けるからその打ち合わせ」
ルーアは炊事周りの掃除をしながらミンの問いに答えた。
「出掛ける? どこに?」
「山さ。越冬の下見だよ」
草原の冬は厳しく長い。山の陰で吹雪に耐えながら冬を越すのが慣例だ。
「あーそっかー。じゃあそろそろ忙しくなるね」
夏は短く、もう少しすると冬支度で忙しくなる。
「ああそうだ、父さんにこれを持っていっとくれ。ジルさんとこにいると思うから」
ルーアが渡したのはモイのチーズとバター茶の入った水筒。
「一緒に食べてくるといいよ」
「分かった。帰りにメナリの所に寄ってきていい?」
メナリというのはミンより一つ上の友人だ。
「いいけど、あんまり遅くなるんじゃないよ」
「はーい」
返事をしつつ、自宅のカルタを出ていくミン。
「おーい、ミン。お出掛けかい?」
途中、老齢の男に声を掛けられた。
「ううん、父さんの所に昼食を持っていくだけ」
「そうかい。じゃあこれも持ってお行き」
差し出されたのはニックルの干し肉。
「いいの?」
「ええよ。ラザックには世話になっているからね。もちろん、ミンにも」
ラザックとはミンの父親の名である。
「ありがとう、ドゥーイさん! 父さんもきっと喜ぶわ」
ミンが人懐っこい性格をしていることもあり、近所付き合いは良好で、外を歩けば必ず声を掛けられる。
ニコニコと笑顔で手を振ると、老人も手を振り返す。
ポルランを囲う柵を通り過ぎると、ジルのカルタに辿り着いた。
「こんにちはー。ミンでーす。父さんいますか?」
入り口に声を掛けると、ラザックが顔を出した。
「どうした? こんなところまで」
ラザックはスラッとした体躯を屈めて問う。精悍な顔立ちも印象的だ。
「母さんがこれをって。あと、ドゥーイさんがいつもお世話になっているからって、干し肉を」
ラザックは微笑む。
「そうか、ありがとう。中に入りなさい」
「はーい。お邪魔しまーす」
中にはラザックと同じくらいの年齢の男性がいた。ジルだ。中肉中背の彼は、目元に皺を作って笑顔で迎える。
「ああ、ミンか。今日も元気そうだね」
「うん、こんにちは! テジャおばさんは?」
テジャとはジルの妻である。
「早めに食事を済ませてモイの乳を搾りに行ったよ。さぁ、食事にしよう」
「はーい」
ジルは自分の分のバター茶とチーズ、それから芋を三人分用意した。茶葉や芋は定住をする部族との交易で入手したものだ。ミンも持ってきた食料をテーブルに広げる。
「草原とアヴェロス神に感謝を」
皆、バター茶の入ったコップを軽く掲げる。これがミンたち遊牧民の慣習だ。アヴェロスは遊牧民が信仰する豊穣の神である。
「山の方にはどのくらいいるの?」
芋を半分にし、チーズを乗せながらミンが聞く。
「長く見て四日くらいかな」
「長いね」
ラザックは干し肉を食べながら説明をする。
「前回の大雨で川ができているらしくて迂回しなくちゃいけないんだ。だから候補地は二つに絞ろうかと思ってる。そうすれば多少早く帰ってこられるだろう」
「ラザックは可愛い娘の姿を見られなくなるのが辛いんだよ」
茶化すジルにはにかむミン。
「ジル、そんなことを言ってないで放蕩息子のイクシャを連れ戻したらどうだ」
「それは言わない約束だろ」
「そんな約束はしていないが、言われたくなかったら茶化すのをやめろ」
イクシャはジルとテジャの間に生まれた子供だ。長い間旅に出ていたと思ったら急に現れて、土産を置いていく代わりに食料を要求していく、ということを繰り返している。歳は今年で十八。ここら辺では変人で名が通っている。
「二人共、本当に仲がいいね」
軽口を叩き合う二人を見てミンが微笑むと、ラザックとジルは嫌そうな顔で否定する。
「腐れ縁だ」
「腐れ縁さ」
見事なハモりにミンはますます笑みを深くして笑った。
「あはは、息もぴったり!」
食事の時間は和やかに過ぎていった。
ミンはジルのカルタを出るとまた別のカルタを訪れた。
「あら、ミン。どうしたの?」
目的の人物はカルタの前にいた。彼女の名はメナリ。後ろで二つに結んだ髪と勝ち気そうな表情、少し高めの身長が印象的である。メナリはミンの友人で歳はミンより一つ上の十四だ。
「もうすぐアヴェロス祭でしょ? 踊りの練習をし始めないとって思って」
「アヴェロス祭……ってまだ一月半以上も先じゃない。ミンはせっかちね」
アヴェロス祭とは、いわゆる収穫祭のことで、乳製品作りや冬支度が終わる頃に行われる。
「そうかな? でも今年こそは完璧に踊ってみせたいから」
「何か気合い入ってるわね」
「だって父さんに良いところ見せたいし、下手だったらアヴェロス様にも失礼でしょ?」
メナリはよよよ、とわざとらしくよろけてみせる。
「眩しい、眩しいわ! 眩しすぎてミンの顔をまともに見ていられないわ……!」
ミンはちょっとむくれて、ポコポコとメナリの背中を軽く叩いた。
「もう、メナリったら!」
メナリの小芝居が終わると二人は一緒に吹き出した。
「あははは。いいわ、付き合ってあげる。他の子たちも呼びましょ」
メナリがそう言うと、二人は他のメンバーを呼びにいくことにした。
集落から少し離れた風のよく通る場所。そこには四人の少女がいた。一人はミン、もう一人はメナリ。それから、容姿が瓜二つの二人。彼女たちは双子で、姉がウイカ、妹がレリカ。切りそろえたショートカットや性格もそっくりで、二人とも自分からはあまりしゃべらない。歳は十一。
明確な決まりはないが、舞を踊るのはだいたいが十から十五の間の娘ということになっている。今年のアヴェロス祭はこの四人が主役だ。
「よーし、じゃあ始めよっか。一回通しでやってみて覚えてるか確認しましょう」
メナリが「せーの」と言うと四人はお互いの舞が見えるように円陣になって踊り始めた。アヴェロス祭の舞は静かに始まる序盤、ジャンプや激しいターンが見所の中盤、優雅に踊り終える終盤の三部で構成されている。
皆、昨年の祭りを思い出しながら踊る。
「はい、流れはだいたい覚えてるわね。でも、完璧にはまだまだ遠いわ。練習していきましょう」
メナリは一人一人に指示を出す。
「まず、ミン。あなたは動きは大丈夫だけど、重みが足りないわね。もうちょっと感情を込めて踊ってみなさい。あと、ジャンプの所が多少ふらついてる」
「分かった」
「ウイカは少しあやふやな所があるのと、動きが遅いところがあるわ。ちゃんと合わせていきましょう。レリカはウイカと同じであやふやな所があるっていうのと、動きが小さくなりがちね。手足をもうちょっと伸ばして大きく踊ってみなさい」
「よし、今日はこれで終わりにしましょう。次はまた今度」
メナリの声で練習が終わると、皆息をついた。
「久しぶりに踊ると疲れるね」
額に汗を滲ませてミンが草原に脚を投げ出す。
「うら若き乙女が何を言っているの? これから、練習に冬の用意に大忙しよ」
「そうだった」
今気がついたというようにミンが言うと、メナリは笑う。
「全く、あなたは変な子ね。それじゃ恋も結婚もまだまだ遠いわ」
「そういえば、メナリはイクシャが好きなんだっけ?」
「こ、こら! 今はウイカとレリカがいるんだからっ」
急に慌てふためいて双子の方をチラッと窺うメナリ。
「大丈夫だよ。たぶん聞こえてないから。ねぇ、ウイカ?」
ミンが声量を変えずにウイカに問いかけると、彼女はこくん、と頷いた。
「聞こえてるじゃない! ……いい?ウイカもレリカもこのことしゃべったらただじゃおかないわよ!?」
双子は頷くと「じゃあこのへんで」というようにさっさと帰ってしまった。。
「イクシャ、早く帰ってくるといいね」
ミンの言葉にメナリは顔を赤くして答えた。
「……うん」
その日の夕食はモイのミルクと野草で作ったスープだった。
「ミン、今日はどこに行ってたんだい?」
ラザックが問うと、この地方独特の固めのカムというパンを口に入れながらミンは答えた。
「踊りの練習」
「踊りって……アヴェロス祭の? ずいぶん早いじゃないか。四回目だろう?そんなに練習する必要があるのかい?」
その問いにはルーアが答える。
「今年こそは完璧に踊ってみせたいんだって」
「ははは、気合い入ってるな」
「うん、父さんにも母さんにも今までで一番上手い踊りを見せてあげる」
「期待してるよ」
「うん!」
カムをスープで流し込むと、今度はミンが質問をする。
「父さんは今年もアールの大会、出るんでしょ?」
アールとはこの地方の伝統的な弓だ。アヴェロス祭では、ポルランと並んで移動に用いられる、オリーという馬に乗って的を射る競技が行われる。
「ああ、一応そのつもりだ」
「もちろん、今年も優勝だよね!」
昨年の覇者はラザックである。
「もちろん、と言いたいところだが、今年あたりイクシャに抜かれてしまうかもしれないな」
「イクシャに? 去年は余裕で勝ったじゃない」
「去年はね。しかし、一昨年と比べると格段に上手くなってた。あれは天才だよ」
「ふぅん?」
ミンは納得したようなしていないような返事をし、やがて思いついたように手を叩く。
「じゃあこうしようよ。私は完璧な踊りをして、父さんはアールで優勝する。どちらか一方が達成できなかったら達成できた方の言うことを何でも一つ聞くっていうのはどうかしら」
「じゃあ両方達成できなかったらどうするんだい?」
「それはもちろん、二人とも一つずつ母さんの言うことを聞く」
「はは。こりゃ頑張らないとな」
「面白いわね。二人とも負けたら何をしてもらいましょうか」
ルーアが意味深に笑うと、ミンは少し動揺する。
「や、やっぱりやめておけばよかったかな……」
家族団らんの夜は更けていく。
ラザックがカルタを出てから二日後、ミンはモイのミルクを搾りに行こうとする途中で子供の泣き声を聞いた。
(あれは……トイールとウイカ?)
トイールはウイカとレリカの家の近くに住む夫婦の子供で、五歳の男の子だ。
「どうしたの?」
ミンはウイカに近づきながら聞くと、ウイカは首を横に振る。
「……分から、ない。たまたまここを通ったら……泣いてて」
ウイカは困り果てた表情でトイールを見つめる。元々無口な彼女のことだ。話しかけ方が分からないのだろう。
ミンは腰を落としてトイールに問う。
「どうしたの?」
そう聞いてみたが、トイールは泣くばかりで答えてはくれない。ミンは少し考えるようなそぶりを見せたあと、近くに生えていたハンカという野草の赤い花を摘み、根元を千切って口に咥えた。
「ん、あまーい!」
その一声にトイールの眉がピクリと動く。
「やっぱりハンカの蜜は美味しい!」
トイールはミンの方をチラチラと見る。ミンはそれを確認して問いかけた。
「君も吸ってみる?」
コクンと頷くトイール。ミンはもう一輪ハンカを摘むと彼に渡した。彼は花の根元にそっと口を近づけて蜜を吸った。途端に顔がパァッと明るくなる。
「おいしい?」
ミンが笑顔で聞くと、彼は嬉しそうに頷いた。
「何で泣いてたかお姉ちゃんに教えてくれる?」
トイールはもう一度頷いてから答え始めた。
「あのね、朝ご飯を食べていたら死んじゃったお父さんのこと思い出して『お父さんのスープ食べたいなぁ』って言ったんだ。そしたら、お母さんが急に怒って、それで」
「飛び出してきちゃったの?」
「うん。ただお父さんのスープ食べたいって言っただけなのに」
ミンは顎に人差し指と親指を添えて思案する。
「んー。トイールはお母さんのこと嫌い?」
首をぶんぶんと横に振るトイール。
「そんなこと、ない。大好きだよ」
「じゃあ君は何でお父さんのスープが食べたいって言ったの?」
「それは……また家族みんなでご飯が食べたいって思ったから」
「そっか。たぶんね、お母さんは君が『お母さんのご飯はおいしくないからお父さんのスープが食べたい』って言ったんだと思ったんじゃないかな」
「っ!? ……そんなこと思ってなんかない!」
「うん、分かってる。でも、毎日一生懸命ご飯を作ってるお母さんにはそう聞こえちゃったんだね」
しゅん、と項垂れたトイールの頭を撫でながらミンが言う。
「君は、どうしたい?」
トイールはぽつりと言う。
「ごめんなさい、ってあやまりたい」
ミンは撫でていた手の力を少し強くしてニコッと笑った。
「じゃあ、お姉ちゃんたちと一緒に行こうか」
「うん」
手を繋いでトイールの家へ向かうと、彼の母親がカルタの前で心配そうな顔をしてうろうろしていた。息子を見つけるとすぐに駆け寄る。
「トイール!あんたどこ行ってたの!?」
口ごもるトイールの背中をポンッと軽く叩くミン。
(頑張れ)
「……お母さん、さっきはあんなこと言ってごめんなさい。ぼくは家族みんなでまたご飯が食べたいって思っただけなの。もう、あんなこと言わないから、だから許して……」
彼の言葉に母親がハッとなる。ミンがさりげなくトイールの手を離すと、母親は涙を浮かべて彼を抱きしめた。
「母さんもごめんね……寂しかったんだね……『あんなこと言わない』なんて言わなくていいから、母さんも許しておくれ……」
トイールも涙を浮かべて返事をする。
「うん! ぼくね、お母さんのご飯大好きだよ!」
その光景に目を細めるミン。きっと……。
(きっとこの子は)
「きっとあの子は優しくて立派な大人になるね」
お礼を言う親子と別れてから、ミンはそう言った。
「ん、ウイカ? どうしたの?」
隣で少し俯いているウイカ。
「ミンは、すごいね……」
ミンは首を傾げる。
「すごい?」
「うん、私には……あんな風にできない……」
それを聞いてミンはウイカに抱きついて頬をスリスリさせた。
「ちょっ、ミン! 何して……!」
慌てるウイカにミンが言う。
「大丈夫、ウイカが優しいことはみんな知ってるよ!」
尚も続くミンのスリスリをやっとでかわすと、ウイカは言った。
「私も、ミンみたいにできるように……なる」
ミンはニコッと笑う。
「頑張れ」
ミンは思う。
(きっとあなたも、強くて優しい女性になる)
その日の夜。今日もいつも通り、平和に終わっていく。そう思いながら空を仰いだミンは、それを見た。
夜空を貫く火球。それは流星というにはあまりに大きく、色も炎そのものだった。軌跡を追うミンの瞳には、恐怖でもない、感動とも少し違う、そんな初めての感情が宿っていた。心はいっぱいになっていたのに、なぜだか胸の奥がズキッと痛んだのだ。
火球は空を渡ると山の方向へ消えていき、その少しあとに大きな音が空気を震わした。目撃した者は皆、あれは何だろうと言葉を交わしたが、結局、分かる者はいなかった。
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