スパダリかそれとも悪魔か

まめ太郎

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「言いたくないことかもしれないけど、桐谷、ここで何があったんだ。」
 桐谷はうつむいてぼそぼそと話始めた。
「さっき出て行った奴らの中に高橋って奴がいるんだけど、中学時代、同級生だったんだ。僕、中学の時いじめにあってて、クラスメイトのパシリにされてた。そういう自分を変えたくて、頑張って勉強してこの高校に入学したのに、ここにはあいつがいた。」

 そう話す桐谷のまつげは長く、唇は真っ赤だった。
 今まで気づかなかったけれど、桐谷は綺麗な顔をしていた。

「高橋はオレに気づいてから中学と同じように昼飯買って来いとか命令するようになった。でもそのうちエスカレートして・・・。」
 桐谷が両手を握り締める。
「無理やり犯されるようになった。最初は高橋一人だったんだけど、だんだんバスケ部のやつらもそこに混じるようになって。気が付けばあいつらに逆らえなくなってた。」
「誰かに相談とかは?」
「言える訳ないだろ。こんなこと。」
 桐谷は俺の目をまっすぐ見つめて言った。
「頼む。神崎、このことは誰にも言わないでくれ。こんなことばれたら僕は。」
 桐谷の眼に大粒の涙が盛り上がり、あとからあとから流れていく。
 俺は自分のシャツの袖口で桐谷の目を乱暴にこすった。
「ああ、わかったよ。誰にも言わねえよ。でも桐谷、このままずっとあいつらに無理やりやられてていいのか?」
「よくない。けど・・・。」
 桐谷が唇を噛みしめた。

「お前生徒会の書記やってるんだろう?教師には相談しづらくても、生徒会のメンバーに相談してみたらどうだ?」
 俺は天使のような会長の顔を思い出しそう言った。生徒会長の肩書は伊達じゃない。風紀委員とも仲がいいみたいだし、きっと解決策を考えてくれるはずだ。

「みんなに話したら僕のこと汚いって思わないかな?」
 桐谷はぽつりといった。
「そんなこと思うわけないだろ。お前会長と仲いいじゃん。会長がそんなこと思う奴にみえるのかよ。」
 俺がそう強く言うと、桐谷は俺を見上げ言った。
「そうだね。会長はそんな人じゃない。今日にでも相談してみるよ。ありがとう、神崎。」
 桐谷は大きめの俺のブレザーで涙をぬぐった。

「でも、お願い。御剣様にだけは絶対に黙っていて。僕、あの人にこんなこと知られたら生きていけない。」
 桐谷の真剣な表情に、俺も神妙な顔で頷いた。
 そこで初めて桐谷は俺に小さく微笑んで「ありがとう」と言った。
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