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「理事長は・・・。」
「清香って呼んで。堅苦しいのは抜きにしましょ。」
「清香さんは、怜雄の母親なんですよね?」
「ええ、そうよ。ずいぶん若く見えるから、驚いた?」
清香さんはくすりと笑った。
その笑顔はチャーミングでとても高校生の息子がいるようには見えなかった。
「私と怜雄は血は繋がっていないの。怜雄の生みの親が死んだあと、怜雄の父親が私と再婚したってわけ。」
急に扉が勢いよく開いた。
怜雄が怖い顔で入ってきて、俺の腕を掴むと、すぐに部屋から出ようとする。
「怜雄。久しぶりに会った母親に挨拶もないの?」
清香さんは怜雄の態度に驚きもしないで、そう言った。
「あんたのことを母親だと思ったことは一度もない。」
怜雄は清香さんの顔を見ずにそう言った。
「二度と俺のいないところで、優にちょっかいを出すな。俺に品行方正な高校生活を送らせたいんだったらな。」
怜雄は捨て台詞のようにそう言うと、今度こそ部屋から俺を連れて出た。
「ちょっと、怜雄、腕痛い。」
そのまま怜雄に腕を引かれ、渡り廊下まで来た。
強く掴まれた腕が悲鳴をあげていた。
「痛いってば。」
俺が思い切り腕を上下させると、怜雄は腕を離し、俺を睨みつけながら言った。
「あのばばあに何言われた?大金やるから俺と別れろとでも言われたか?」
「そんなこと言われるわけないだろ。」
「どうかな。あの女は親父と結婚するために俺の母親を殺したんだ。それくらいのこと平気で言うぜ。」
「こ、殺したって。どういうことだよ?証拠でもあるのか?」
俺はさっきの綺麗な女性が殺人を犯すようにはとても見えなかった。
「証拠なんてない。だけど俺はそう思っているし、それが真実だ。」
「そんな人殺しなんて。」
「俺の言ったことが信じられないのか?」
怜雄の問いに俺は答えられなかった。
怜雄は黙り込む俺を見て、一瞬傷ついた顔をすると、俺を残し足早に行ってしまった。
俺は怜雄にかける言葉を見つけられないまま、長い間そこから動けなかった。
「清香って呼んで。堅苦しいのは抜きにしましょ。」
「清香さんは、怜雄の母親なんですよね?」
「ええ、そうよ。ずいぶん若く見えるから、驚いた?」
清香さんはくすりと笑った。
その笑顔はチャーミングでとても高校生の息子がいるようには見えなかった。
「私と怜雄は血は繋がっていないの。怜雄の生みの親が死んだあと、怜雄の父親が私と再婚したってわけ。」
急に扉が勢いよく開いた。
怜雄が怖い顔で入ってきて、俺の腕を掴むと、すぐに部屋から出ようとする。
「怜雄。久しぶりに会った母親に挨拶もないの?」
清香さんは怜雄の態度に驚きもしないで、そう言った。
「あんたのことを母親だと思ったことは一度もない。」
怜雄は清香さんの顔を見ずにそう言った。
「二度と俺のいないところで、優にちょっかいを出すな。俺に品行方正な高校生活を送らせたいんだったらな。」
怜雄は捨て台詞のようにそう言うと、今度こそ部屋から俺を連れて出た。
「ちょっと、怜雄、腕痛い。」
そのまま怜雄に腕を引かれ、渡り廊下まで来た。
強く掴まれた腕が悲鳴をあげていた。
「痛いってば。」
俺が思い切り腕を上下させると、怜雄は腕を離し、俺を睨みつけながら言った。
「あのばばあに何言われた?大金やるから俺と別れろとでも言われたか?」
「そんなこと言われるわけないだろ。」
「どうかな。あの女は親父と結婚するために俺の母親を殺したんだ。それくらいのこと平気で言うぜ。」
「こ、殺したって。どういうことだよ?証拠でもあるのか?」
俺はさっきの綺麗な女性が殺人を犯すようにはとても見えなかった。
「証拠なんてない。だけど俺はそう思っているし、それが真実だ。」
「そんな人殺しなんて。」
「俺の言ったことが信じられないのか?」
怜雄の問いに俺は答えられなかった。
怜雄は黙り込む俺を見て、一瞬傷ついた顔をすると、俺を残し足早に行ってしまった。
俺は怜雄にかける言葉を見つけられないまま、長い間そこから動けなかった。
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