スパダリかそれとも悪魔か

まめ太郎

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「言葉にしなくてもわかんだろ。」
 怜雄は横を向いてそう言った。
「分かるかよ。俺はエスパーじゃねえんだ。」
 俺は涙声でそう言った。

「どうでもいい奴ならいくらでも言える。でもお前には・・・。」

 そう怜雄は言うと、いきなりひざまずいた。
 片足を立ち上げ、まるで中世の騎士の求婚のようなポーズをとると俺の左手を恭しく持ち上げた。

「神崎優。お前のことを心から愛している。お前の代わりなんてどこにもいない。もう二度と傷つけないと約束するから、一生傍にいてほしい。」
 そう言うと、怜雄は俺の左手の薬指に口づけた。

 なんて綺麗な男だろう。俺はそう思った。
 俺の好きなはちみつ色の瞳が月光にてらされ、更に鋭く輝きをましている。
 俺はこんな状況なのに、怜雄の言葉に少なからず感動を覚えた。

「なんだよ。なんか言えよ。そんなに俺の傍にいるのが嫌なのか?」
 どこか泣きそうな瞳で、俺のことを怜雄はちらちらとうかがってくる。
 俺は怜雄に近づくと、ゆっくりその頭を両手で抱きしめ自分の腹に押し付けた。

「正直、まだお前にはむかついてる。でも俺もお前が傍いないのは嫌だよ。ちゃんと神戸に謝るっていうなら、今回だけは許してやってもいい。」
 怜雄は俺の腹に顔をつけたまま、くぐもった声で言った。
「分かった。明日ちゃんと謝る。許してくれなくても謝るから。」

 たぶん怜雄はこれからも俺のことをたくさん傷つけるだろう。
 そう思うとこいつの愛してるも好きも信用ならない。俺のこの決断は間違っているのかもしれない。
 でも怜雄を信じられなくても、怜雄を好きだと思う自分の感情はごまかすことができないから。

 俺の両目から今までとは違う温かな涙があふれだした。
 俺はその泣き顔を怜雄には見られたくなくて、ぎゅうと怜雄の頭を強く抱きしめた。
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