スパダリかそれとも悪魔か

まめ太郎

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1番大切なものは絶対に手に入らないので。15

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 諒一は俺と別れてから、一切俺に構わなくなった。
 家に諒一が来なくなったことを母親は寂しがっていたが、俺たちが友達に戻るには俺が諒一を傷つけ過ぎた。

 諒一はほどなくうちのクラスの可愛いと評判の青田さんと付き合い始め、俺はまだ諒一のことを引きずっている自分を変えたいと思っていた。

 手始めに髪をピンクに染めたが、姉には似合わないと言われ、担任からその色は内申にも響くと言われ、慌てて元の黒髪に戻した。ゲイ専用の出会い系アプリにも登録してみたが、実際メッセージがくると驚いてしまい、結局誰とも連絡を取り合うことはなかった。 

 俺はぼんやりしていることが多くなり、成績も下降気味となった。
 もうそんなつもりはなかったけれど、こんな成績では諒一と同じ大学など行けるはずもない。

「楓。今週の日曜、カラオケ行こうって話してるんだけど、お前も来ない?」
 俺は諒一と学校の中でも外でもべったりだったため、友人が極端に少ない。
 その数少ない貴重な友人がせっかく誘ってくれたのに、俺はカラオケで騒ぐ気分になれなくて断った。
「ごめん。日曜は服買いに行く予定なんだ。」
「そうか。残念だけど、またな。」
 あっさり友人は言うと、行ってしまった。

 俺がため息をついて、視線をあげると、こちらを鋭く見つめる諒一と目が合った。
 諒一は俺の教室の外の廊下から、こちらを見ていた。
 俺は諒一と目が合うのが久しぶりで自然と顔が赤くなり、とっさに逸らそうとした。

「諒一。ごめん。待ったあ?」
 彼女の青田さんが諒一に近づくと、その腕にしがみつく。
 諒一は俺を睨んでいたのが嘘のように、穏やかな笑みを浮かべると、青田さんを腕にまとわりつかせたまま、行ってしまった。

 もう俺のところに諒一が来るなんてありえないのに、俺は何を期待しているんだろう。
 俺ははっと息を吐くと、カバンを取り、立ち上がった。
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