スパダリかそれとも悪魔か

まめ太郎

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「いいか。よく聞け。レイジはそこらの悪ぶってるやつとは違うんだ。頭もきれるし、仲間も多い。冷酷なことも平気でするし、人を痛めつけることなんか、なんとも思わないような奴なんだ。余計な怪我したくなきゃ、あいつにもあいつと付き合ってる木野とも金輪際かかわるな。」
「そんなの無理だよ。そんな奴なら、なおさら木野に付き合うの止めるように言わなくちゃ。」
 俺は怜雄からスマホを奪い返すと、木野にまた電話をかけた。繋がらない。

「忠告はしたぞ。」
 怜雄は大きなため息をつくと、寝室に行ってしまう。

 俺は怜雄の背中を睨みながら、残っている洗い物を一人で始めた。

 怜雄だってレイジのことをそんなに知っていたなら、さっきそう言ってくれればよかったのに。そうしたら木野も気持ちが変わったかもしれないのに。

 水道の蛇口を強くひねると、水の勢いが強すぎて、俺はもろに水をかぶってしまう。
「ああっ、もう。」
 俺はびしょびしょになった自分のシャツを見て、髪をかきあげた。

 洗い物を終え、寝室に戻ると、怜雄はすでにこちらに背を向け、寝ていた。

 俺は絶対に謝らないからなと思いながら、全裸になると怜雄に背を向けてベットに入った。

 冷たい奴。最低。
 頭の中で怜雄をなじりながら、俺はその夜、怒りのせいで中々寝つけなかった。

 スマホの着信音で目が覚めた。
 枕元のスマホを手探りで見つけ、通話ボタンを押す。
「はい。」
「あっ。優君?私、舞奈。今ちょっといい?」

 舞奈からの電話に、俺は下着を履きながら答えた。
「うん。大丈夫。何?」
「実は茜の彼氏のことで話があるんだ。今、大学近くのカフェミルミルに茜といるから出てこれないかな?」
「予定もないし、別にいいよ。30分くらいかかるけどいい?」
「うん。ごめんね。待ってる。」

 通話を切り、時間を確認するともう正午近かった。
 夏休みになり、すっかり寝坊する癖がついてしまった。

 怜雄はどこかに出かけたようで、姿が見えなかった。
 俺は急いで浴室へ向かった。
 頭から熱い湯を浴びる。
 昨日の怜雄の忠告が頭をよぎった。

 いや、でもこのまま見捨てるなんて俺には無理だ。
 ちゃんと話して木野に分かってもらおう。

 俺はそう決意すると、シャワーを止め、浴室から出た。

「あっ、優君。こっちー。」

 舞奈が、喫茶店の窓際の席で手を振っている。
 近づくと、舞奈の前の席に座っていた木野が浮かない顔で俺に軽く会釈した。
「神崎君。昨日はごめんね。ご飯までごちそうになったのに、あんな帰り方して。」
「気にすんな。」
 俺はそう言うと、舞奈の横の席に座り、注文を取りに来た店員にアイスコーヒーを頼んだ。
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