スパダリかそれとも悪魔か

まめ太郎

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 自分の髪に触れる手の感触に気付いて、俺はゆっくりと瞼を開けた。

「優、起きたか?」
 怜雄が昨日出かけた服装のままで、俺の傍にひざまずいている。

「怜雄、今帰って来たの?えっと、何時?」
「7時だな。」
 俺は怜雄の言葉に一気に覚醒して、目を見開いた。

「7時って朝の7時だよな。お前、昨日外泊したの?真昼ちゃんと?」
「うん。真昼が一人だと心細いって言うから、真昼の実家に泊まった。」
 俺は眩暈を感じて、自分の額を何度もこすった。

「泊まったって言っても変なことは何にもないぜ。誤解するなよ。」
 慌ててそう言う怜雄を俺は鋭く睨んだ。

「それより昨日は本当にごめん。テーブル見たよ。料理頑張ってくれたんだな。」
 怜雄が俺の視線から逃げるように、食卓に行き、座った。

「今からでも食べようぜ。俺の好物ばっかりで、全部美味そうだ。」
「別に無理しなくていいよ。もう冷えてるし、美味しくないと思うから。」
「無理なんてしてない。本当に美味そうだから、食べたいんだ。」
 怜雄はそう言うと、ローストチキンにナイフを入れた。

 その時怜雄のスマホの着信が鳴った。
「うん。今帰ったところ。えっ、今一人なのか?分かった。すぐ行くから待ってろ。」
 怜雄はそう言うと、通話を切った。
「優。ごめん、実は。」
「どうせ、真昼ちゃんだろ。早く行けよ。」
 自分でも驚くほどきつい声がでてしまった。
 怜雄も目を開いて俺を見ている。

「ごめん。寝不足でちょっと気が立ってて。」
「いや、こっちこそごめん。真昼が両親が帰って来たから猫を預けて、俺に昨日の礼を言いたいって大学の近くに来てるみたいだから、ちょっと出かけて来る。」
「ん。」
 怜雄は俺にもっと何か言いたげだったが、結局何も口にせず、出ていった。

 俺は玄関の閉まる音を聞きながら、怜雄が切ったローストチキンの切れ端を手でつまむと、口に入れた。

「すげえ美味い。これ食べられないなんて、怜雄のやつ可哀想。」
 俺は力なく笑うと、チキンの皿を手に持ち、それを全てごみ箱の中に落とした。
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