銃器が弱すぎる世界に転生したけど銃知識と現代戦術知識で成り上がる

佐々牙嵯峨兎

文字の大きさ
20 / 81
1章 魔荒国家シルバーホース

20.恋愛調査後編

しおりを挟む
「ウゥゥゥン……あれ? 俺なんで自室にいるんだ?」

 俺は少し頭を掻きながら起き上がると、ヴィンセントが気付く。

「オオ、ようやく起きたんだな」

 ようやくってどういう事だ? 訳が分からず首を傾げていると、ヴィンセントが額に手を当てながら言う。

「覚えてないのか? お前が血を吐き出して倒れた事を」

 一体何の事か分からないが、手に顎を添えて考える。

(血を吐き出して倒れた事って、アア! 思い出した、俺は猫商人がアリスをけがらせたと思っていた時に意識が途切れたんだった)

 あの時を思い出して外を見る、するともはや暗くなっていた。
 もしかして数時間ほど寝ていたんだな。ってそんな事より猫商人のクソ野郎はドコだ!? 見つけたらその自慢の顔をハチの巣みたいにしてやんよぉ!
 怒りが収まり切れず回転式拳銃リボルバー突撃銃アサルトライフルを探していると、ヴィンセントが保持容量ホーディングキャパシティーを発動して、そこから取り出したのは〈ニューナンブM60〉と〈M4カービン〉だった。

「どうせお前はすぐに殺そうとこの二つを使うのだろ?」
「ウグゥ……」

 心に矢が刺さるような感覚を感じると、アリスと猫商人の野郎が入って来た。
 同時にヴィンセントは、瞬時に隠す。

「ア、アリス!?」
「アレスが倒れてどうしたのか焦っていたけど無事で良かった」

 まさかアリスに心配されるなんて、俺は頭を下げる。

「心配させてすまん」
「大丈夫よ、リーベット先生に起きたって伝えるから」

 アリスはそう言うと部屋を出てリーベット先生に伝えに行く。
 足音が聞こえなくなると、俺は猫商人の方に向いて質問する。

「すみませんがあなたとアリスはどんな関係ですか?」
「彼女と僕の関係か……」

 猫商人は顎に手を当てて考え出す。
 コイツ、いちいち鼻に着く事をしやがって!
 もし銃が没収されて無かったら即座にハチの巣にする事ができただろう。
 そうして少し待つとリーベット先生が部屋に入って来る。

「アリスちゃんから聞きましたが……」
「アハハ、本当にすみません」

 リーベット先生が呆れて俺は苦笑いで謝罪する。
 するとリーベット先生が驚きの事を言う。

「それにこの人はなんですよ」
「へ?」

 いきなりすごい事を言って脳が混乱してしまうが、俺は脂汗を掻きながら猫商人の方に向く。
 すると猫商人は当たり前のように凄い事を言う。

「いやはや、まさか僕が男だと思われるなんて。れっきとした女だよ」
「エエ!?」

 俺は思わず驚いてしまいヴィンセントの方に向くと首を縦に振る。
 嘘だろ!? ってことは俺の勘違いか?
 全て俺の勘違いだと知ると顔が熱く感じてしまい赤面してしまう。
 ハッズ! 滅茶苦茶恥ずかしいんだけど! それにアリスが知っているなんて物凄く恥ずかしい。

「アァァアァァ!?」

 俺は布団に被って大声で叫ぶ。
 リーベット先生たちは気まずそうに部屋を出る。
 少し経つと扉を叩く音がする、俺は恥ずかしくて小声に答える。

「……入っていいぞ」

 部屋に入ってきた人物が気になって布団の隙間から除くとまさかのアリスだ。

「アリス!?」
「うん、一応今日の晩ご飯持って来たよ」
「す、すまん」

 ぎこちなく今日の晩ご飯を受け取ってさっそく食べる。
 うん、これは――。

「今日の晩ご飯はシチューなんだな、アハハ」
「えっとそれはスープとパンだよ」

 アリスがぎこちなくツッコンでくる。
 マズイ脳が混乱しているから味がまったく分かんない。
 どうやってこの場を乗りこえようか考えていると、アリスが質問してくる。

「ネェ、アレス……」
「何だ?」
「魔力量の差で起きた失恋って覚えている?」
「ッ――!?」

 その質問を聞いて俺は身体が強張った。
 確か結婚を約束していた幼馴染みがいて、少年は少女に恥じない様に魔術師学校に入学して村から離れた。
 それから青年は卒業して故郷の幼馴染みを迎えに行こうとした。だがそこには首席で卒業した男の手を繋いでいる幼馴染みを見て問い詰めた。
 幼馴染みは子供を楽にさせたいと言って故郷から去り、青年も失恋によるショックからどこかえ消えたという。
 しかしいきなりその話を聞かせるのはなぜだろう?
 そう思っているとアリスは昼に見た木箱を取り出して中を見せる。
 中身はまさかの〈キアッパ・ライノ〉だった。だが外側だけの偽物で、その証拠に引き金トリガーが引っ掛かって弾丸を撃てることは出来なさそうだ。

「これって〈キアッパ・ライノ〉!? でも何で……?」
「実はこれ店長に頼んで作ってくれたものなの」
「猫商人に?」

 最初はどういうことか分からなかったがアリスが少しずつ理由を話す。

「実はアレスにあこがれているの」
「俺に?」
「うん、あの日助けられて私もアレスみたいに、人を助けられるようにしようと努力したの。この銃は魔術師学校に入学するためのお金を使っているの」
「そうだったのか」

 だからアルバイトや射撃訓練に精を出していたんだな。
 俺はアリスの手を掴み抱き寄せる、すると当の本人は顔を真っ赤に染め始める。

「ア、アレス!? いきなり――」
「悪かった、アリスを信じていない俺の責任だ」
「アレス……」

 アリスは小さく俺の名前を呟き、そのままキスをしそうな雰囲気になる。
 しかし俺とアリスは正気に戻って少し離れる。

「と、とにかく疑って悪かった!」
「わ、私もちゃんと教えていればこんな事になっていなかったよ! また明日会おうね!」
「そうだな!」

 俺はそう言うとアリスは慌てて部屋から出る。
 危なかった、この少しでキス以上な事をしていた……!
 そのうえ心臓がはちきれそうなほど早く鼓動している。
 その後は何とか落ち着て食事を済まして就寝する。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

素材ガチャで【合成マスター】スキルを獲得したので、世界最強の探索者を目指します。

名無し
ファンタジー
学園『ホライズン』でいじめられっ子の生徒、G級探索者の白石優也。いつものように不良たちに虐げられていたが、勇気を出してやり返すことに成功する。その勢いで、近隣に出没したモンスター討伐に立候補した優也。その選択が彼の運命を大きく変えていくことになるのであった。

罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。 だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。 それで終わるはずだった――なのに。 ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。 さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。 そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。 由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。 一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。 そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。 罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。 ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。 そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。 これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。

処理中です...