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目が覚めたら、後輩と…1
しおりを挟む――賑やかな雑踏を、夢うつつに聞いていた記憶がある。
おぼつかない足元を心配し、肩を貸してくれる力強い腕を頼り、店を出て…
ボスン、と音を立てて背中から柔らかいベッドへ身を投げ出した時は、
(天国キタ~)
と、心の底から思った。
ああ、これは相当酔っ払っているな、と、全身を包み込むベットへ体中の力を預けながら記憶の断片を辿っていた快斗の唇に、柔らかくて暖かいものが触れ、目蓋を押し開けた。
覚えのあるその感触に唇を軽く開くと、口内に生暖かい水がゆっくりと流し込まれ、嚥下する。
(…誰だ)
課長はこんなことしないし、と思いながら瞬きを繰り返していると、快斗の視界に見知った顔が見えた。
「…本多」
「センパイ、大丈夫ですか?」
ああ、そういえばプロジェクト終わりの打ち上げで酔っ払ったオレに肩を貸してくれたのもこいつだった、と思いながら起き上がろうとする。
しかしその途端世界がぐらりと揺らぎ、視点を中心に回り出し、その気持ち悪さからベットへ逆戻りしてしまう。
「無理しない方がいいッスよ。…もう少し水、飲みませんか?」
「……ん」
額に腕を乗せ、回る世界を何とか落ち着かせようとしながら頷くと、ペットボトルのキャップを外す音がして、額の上から腕をどけ、首を動かした。
差し出された水を飲みやすくしようと額を傾けたのだが、快斗を介抱してくれている本多知徳の指に顎を捉えられ、再び上向かせられてしまう。
「お…」
おい、これじゃ飲みづらいだろう、と言いかけた唇を、再びキスで塞がれ…黙った。
酔いが回り、抵抗する気力すら湧かない快斗の口内に、さっきよりは幾分冷たい水が流し込まれ、喉を鳴らして嚥下する。
ここまでしてもらって飲む必要はない、と、今の状況を俯瞰で見た頭が急に悦を覚え笑いたくなった快斗は、鼻から息を漏らした。
すると、それをどう思ったのか、快斗の上に馬乗りになっていた知徳の舌が、快斗の口の中へ潜り込んでくる。
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