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目が覚めたら、後輩と…4
しおりを挟む「やっぱりそうなんじゃないッスか! だからはじめっからっ」
「…ナニ考えて、その気になってるのかは知らねぇけど」
熱の入った口調で言い募る知徳に対して、ひやりとするような冷たい口ぶりで話しかけると、涙で潤んだ瞳にさっと怯えの色が滲み出る。
(そういう所は、普段通りなのに)
ベットに身を預ける自分の上でマウントを取る知徳は、いつもの頼りなさを無くしてしまったかのように積極的で、男らしく写った。
それが酔いのせいなのか、はたまた男相手に欲情しているせいなのかは分からないままだったが、ふとした瞬間にいつものヘタレな知徳の影を見つけた快斗は、内心で安心し、話し口を和らげた。
「悪い。──オレ、酔うと勃たねぇんだよ」
「へっ?」
「今日に限ったことじゃないんだけど、オレさ、アルコールに弱い体質らしくて飲むとセックスできねーんだわ。 だから、その気になってるトコ申し訳ないんだけど…無理だから、諦めてくれ」
「――…そんな…」
かなり興奮して来しているのか、スーツ越しでも分かるほど下肢を尖らせていた知徳の腰が砕け、快斗の膝上に尻餅をつく。
…こんなチャンス、滅多にないと思ってたのに。
そんな内心が透かし見えるような顔をした知徳は両手で顔を覆うと、
「すンごい勇気振り絞って連れてきたのにッ…こんなのってない~…!」
と言って、さめざめと泣き始めた。
「あ~、分かる分かる。 今日のお前、いつもより二割増しで男前だもんな」
「へっ」
別に慰めるつもりじゃないけどな、という前置きを内心で付け加えた言葉を放つと、涙で顔を濡らした知徳が嬉しそうに頬を緩めるのを見た快斗の口元に、笑みが浮かぶ。
「なぁ…お前、ゲイなの?」
黙っていれば男前な知徳の頬を伝う涙に指を伸ばし、熱い雫を掬い取る。
白い指先から受ける、イメージ通りの冷たい指に涙を拭われてどきりとしながら、知徳は首を横に振る。
「じゃあ…」
「言ったでしょう、入社した時からずっとセンパイのこと見てきたって!」
(…だから?)
さっきまであった眠気は飛んだものの、酔いは簡単に冷めることはない。
ずっと見てたら男にも性欲をもよおすものなんだろうか、と、不思議な心境を抱いて知徳を見つめていると、自分の意図が快斗に全然伝わっていないことに気がつき、音を立てて口内に湧き出した唾を飲み込み――覚悟を決め、口を開いた。
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