クロスオーバー・ラブ

黒崎由希

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気がついたら、上司と…7

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「ふっ……ぅ…」


 スーツを着ていた時には気がつかなかった、意外に筋肉のついた胸板を大きく上下させ、呼吸を荒げている快斗。


 じわりじわりと、体の芯を快感に囚われ目を眇めるその姿はいやに扇情的で、斎藤は始めあった悪戯心を忘れてしまったかのように、喉を鳴らして唾を嚥下した。

「男にも、色気を感じるとはな…」

 斎藤の手の中で完勃ちになった快斗から離れると、突然快感の渦から解放された快斗の腕が落ちる。

「…っあ…ぁ…」

 自分からねだるように突き出していた尻をシンクの縁にかけ、両手でそれを掴んで寄りかかり、砕けそうになる足を支えた快斗は、肩で息を継ぎ呼吸を整える。


(マジかよ)


 やはり斎藤も同じ男である、どこをどう触れば息子がカタチを変え、感じるのかを熟知しているように動き回った指遣いのせいで、ほんの数分のうちに射精しなければ元には戻れない状況へと、追い込まれてしまう。


 斎藤が何を思ってこんなことをしたのかは分からないが、これはトイレでイッパツ抜かないことにはどうにもならないだろう。


(まいった)


 尊敬している上司の前で勃起するなんて、と思っていると、肩で息をつく快斗のベルトにその指が伸び、ギョッとする。

「ちょっ…! 課長ッ!?」

 何をする気だ、と聞かなくとも分かる斎藤の指がベルトを外す様子に、気持ちばかりが焦り手が伸びない。


 マジかッ、と内心で思っているうちにベルトとスーツのズボン、それにファスナーを下ろされてしまうと、快斗のズボンは重力に習い、ストンと床に落ちてしまう。


「な…」

 グレイのボクサーパンツに先走りが滲むパンツ一つにされ呆気にとられていると、腹の薄い場所に斎藤のかさついた指の感触を捉え、体を戦慄かせた。

「うん…綺麗な色をしているな」

 その指にパンツのゴムを下げられ勢い良くペニスが飛び出すと、快斗を見た斎藤の口から感嘆の声が上がり、身の置き場を無くしたように真っ赤になる。


(や~め~ろ~…!)


 羞恥プレイにしても、ほどがある。


 久々の感触で勃たされただけでも屈辱的なのに、何が楽しくてその姿を上司に晒さなければならないのだろう。

 いや、そもそも何を思って斎藤がこんなことをしたのかが分からないからこそ、どう抵抗すればいいのかが、混乱している快斗には想像も出来ずにいた。

「ど、して…」

 火を吹きそうなほど赤く染まった顔を隠すように手を翳し、その陰からやっとの思いで声を出す。

 物欲しそうに先端をヒクつかせながらも、恥ずかしそうに赤面している快斗の声を聞いた斎藤は、視線を逸らして俯く。

「…」

 すると斎藤は、自分の醜態を恥ずかしがる快斗の様子を見ているうちに、自身のモノにも変化を来していることに…気がついてしまう。

「カイトが、こんなに色っぽいとは思わなかった」

「…!」

 手淫の次は言葉攻めかよ、何考えてるんだこの人、と思いながら顔に翳した手を外し文句を言おうとした快斗は、斎藤が自分のベルトに手をかけているのを見て、目を丸くする。



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