魔王、現代に転生する、そこそこ苦労しながらしっかり適応しています。

第一章 修行について

愛情とはなんだろう

　我輩、結局20キロ走らされた。

　ぜぇぜぇと倒れこんでいるなか
　「まず、その無駄なエネルギーの浪費をなくします。」
 ノエルがそう宣言する。
　「一応、コントロールで最小限になっているぞ」
　「甘い！甘い、あまぁああい！今のままでは金持ちが気持ち的に節約した程度です。もっと根本的な見直しをします。」
　
　ノエルがいうには身体操作能力は高くなっているが、妖気や魔力を抑えるには基礎体力が必要らしい。
　魔力や妖気は基本、肉体で循環されていくが筋肉量がよりも魔力が多ければ必然と魔力が漏れてしまうらしい、元々肉体を持たない我輩にはない発想だった。
　「最低でもこれをつけられるまでは鍛えてもらいます」
　そういって我輩に赤い糸が折り重なれた腕輪をかざす。
　「なるほど、破邪の腕輪か」
　「私とフハルナちゃんとミズホちゃんがカトウさんのために一所懸命作ってくれたんです、私のエレルバリールの封魔の知識とハルナちゃんの世界の呪術の知識、そしてミズホちゃんの霊界の技術、それが融合した傑作ですよ、まさしく私達の愛情です。」
　「我輩に封魔が愛情というのは若干不思議だが、感謝するぞ」

　「ええ、しっかりと感謝してください、なのでこれをつけることができるまでは特訓です、さらに20キロ走りこみ追加です！」
　「はっ？まっ、まてさすがにこの肉体では無理だ!壊れるぞ、なっ少し休もう！」
　我輩、さすがに慌てる。

　痛みとか、苦痛に対しては我輩絶えられる、しかし肉体の悲鳴は完全に限界に来ている、このままだと、筋肉ではなく、その下にある腱や心臓が過剰負担で急停止する可能性が見えてきている。

　我輩の訴えをノエルは笑顔で
「大丈夫です、私も昔はこうやって限界の果てまでやってきました。怪我をしても回復させますから」
　なるほどこいつはこうやって無茶してきたんだな…だが、こいつ前提が間違っていないか？

「確認だが、お前はこの世界でも回復魔法使えるのか？」
「はっ？使えるわけないじゃないですか、回復魔法はあくまでも女神イデラの力をいただくものです、この世界でできるわけないじゃないですか！」
　何を当たり前のことを、と言わんばかりにノエルは答える。

　だよな…

　「でっ我輩怪我したらどうやって回復するつもりだ？」
　「大丈夫です、この世界にも回復薬ポーションがありますから」
そういって我輩に瓶のようなものを見せた。

そこにはユン○ルと書かれていた。

うむ、こいつは我輩を殺す気だな！

我輩が確信したところに背後からけたたましい音が鳴った。
見ると、黒い車が止まっている。

車は我輩近くに止まると、窓ガラスが開く。
「何か面白いことやっているな」黒い車の中から現れたのはナカニシだった。