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126 唐突の怒り

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 3日前の登校直後、

「久遠さん!何故あなたがちゃんと監督していなかったのですかっ!?」

 学年主任に唐突に呼び出されて頭ごなしにこう怒鳴られた時、心菜は綺麗さっぱり怒られている意味がわからなかった。冷たい視線のみが与えられる背筋が凍りつくかのような職員室で、心菜は冷や汗と共にぐっと眉間に皺を寄せてしまった。学年主任の真っ赤に激昂した顔は、今にも手が出そうで、心菜は恐怖に身体がカタカタと震えるのを感じた。けれど、心菜は教師の逆鱗に触れてしまわないように注意しながら、慎重に教師に話しかける。今は、ちょっとでも多くの情報が欲しかった。

「あの、………なんのことですか?」
「はあ!?何を言っているの!!あなたのクラスの子が順番も守らずに勝手に糸鋸を使用して、壊した件についてですよっ!!」
「………何も報告を受けていないのですが」

 実質のところ、心菜は何も聞いていなかった。優奈はここ数日心菜同様に体調を崩してしまっていて学校に行けていなかったし、周囲の友人との連絡手段を一切持っていなかった心菜は、心菜の欠席中に起こったことを、何1つとして知らなかったのだ。

「はあ!?そんなわけないでしょう!!あなた、本当に文化祭の実行委員なのですか!?」
「はい。そうなっています」

 目に涙が滲んでくるが、心菜は真っ直ぐと背筋を伸ばして先生の質問に答え続けた。隣に、冷静な顔をして立っている彼のおかげで立っていられることになんとなく気がつきながらも、心菜は自分自身の力でここに立っていると自分に言い聞かせる。そうしなければ、彼だけが退出させられた時に、どうにもならなくなってしまいそうだったからだ。心菜のクラスの実行委員長は、心菜だ。たとえ休んでいようとも、全ての責任は心菜に存在している。

「久遠さん!あなたは昨日の放課後、どこで何をしていたのです!!なんで報告を受けていないのです!!」
(………質問は1つにつき1個の解答にしてくれないと、上手に答えられないのだけれど………)

 心菜は頭の思考回路中は冷静でも、感情が冷静ではないことに気がつきながらも、情けなくも震える声で真面目に先生に返答した。

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読んでいただきありがとうございます😊😊😊

執筆中の作品は少ないはずなのに、一向にピンチ状態を抜けられない情けない作者であります………💦

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