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番外編
未来の王太子夫妻の恋 1
キャサリンはその日、婚約者に会うために登城していた。
暑苦しいドレスに痛い靴、複雑に編み込まれて痒い髪に辟易としているところに、追い討ちをかけるように最低最悪の婚約者ときた。
当時6歳のキャサリンはもう全てが面倒臭くなっていた。
そして今、彼女は親達からの厳命で婚約者と一緒に散歩に出て、婚約者に置いて行かれて、絶賛迷子中だ。
「はあぁー、なんであんなクソに一生を捧げないといけないわけ?さっさと死ねば良いのに。」
ついつい漏れた独り言は、まさにキャサリンの心情を映し取ったものだった。
「くすくす………、」
「!?」
「あぁ、ごめんね。盗み聞きするつもりはなかった、って言っても、信じてはもらえないか………。」
とても綺麗な少年が、キャサリンの後ろから笑いながら現れた。
ミルクティー色をしたふわふわのチワワみたいな髪に、優しいものだけをぎゅうっと詰め込んで煮込んだかのような、鮮やかで見入ってしまうサファイアの瞳。キャサリンはこの世にこんな天使みたいな子が存在しているのかと、呆然とした。
「えっと………、」
「あ、ごめんなさい。あなたがあんまりにも綺麗だったから。」
キャサリンがにこりと微笑むと、少年の顔がぶわっと赤く染まった。はにかむような美しい笑顔に、キャサリンの頬までもがゆっくりと熱を持ってしまう。
「えっと、あの、………………。」
「レイー!!どこにいるのー?」
「あ、ごめんね。僕もう行かなくちゃ。僕の名前はレイナード。また会おうね。」
「え、あ、………、」
*******************
読んでいただきありがとうございます😊😊😊
高校生の母様のご依頼の、王太子妃の恋です。
暑苦しいドレスに痛い靴、複雑に編み込まれて痒い髪に辟易としているところに、追い討ちをかけるように最低最悪の婚約者ときた。
当時6歳のキャサリンはもう全てが面倒臭くなっていた。
そして今、彼女は親達からの厳命で婚約者と一緒に散歩に出て、婚約者に置いて行かれて、絶賛迷子中だ。
「はあぁー、なんであんなクソに一生を捧げないといけないわけ?さっさと死ねば良いのに。」
ついつい漏れた独り言は、まさにキャサリンの心情を映し取ったものだった。
「くすくす………、」
「!?」
「あぁ、ごめんね。盗み聞きするつもりはなかった、って言っても、信じてはもらえないか………。」
とても綺麗な少年が、キャサリンの後ろから笑いながら現れた。
ミルクティー色をしたふわふわのチワワみたいな髪に、優しいものだけをぎゅうっと詰め込んで煮込んだかのような、鮮やかで見入ってしまうサファイアの瞳。キャサリンはこの世にこんな天使みたいな子が存在しているのかと、呆然とした。
「えっと………、」
「あ、ごめんなさい。あなたがあんまりにも綺麗だったから。」
キャサリンがにこりと微笑むと、少年の顔がぶわっと赤く染まった。はにかむような美しい笑顔に、キャサリンの頬までもがゆっくりと熱を持ってしまう。
「えっと、あの、………………。」
「レイー!!どこにいるのー?」
「あ、ごめんね。僕もう行かなくちゃ。僕の名前はレイナード。また会おうね。」
「え、あ、………、」
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読んでいただきありがとうございます😊😊😊
高校生の母様のご依頼の、王太子妃の恋です。
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