【完】あの、……どなたでしょうか?

桐生桜月姫

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番外編

未来の王太子夫妻の恋 5

「ねえ、私、お散歩に行きたいと思ってますの。行ってきてよろしくて?」
「え?」
「この授業、規格外だったでしょう?私、少しだけ疲れてしまったの。庭園をお散歩するだけですわ。1時間だけ休憩が欲しいの。」

 こてんと首を傾げて上目遣いで、呆然としている可哀想な子爵夫人を見つめた。キャサリンはおねだり上手なこともあり、彼女くらいならば簡単に落とせる自信があった。

「だめ?」

 今度は少しだけうるうると瞳を揺れさせる。

「うっ、わ、分かりましたっ!!分かりましたから、そのお綺麗で愛らしいお顔をしまってー!!」
「わあーい!じゃあ、行ってきまーす!!」

 ご機嫌が一気に浮上したキャサリンは、痛いピンヒールを脱ぎ捨てて、王太子妃教育の教室として使われていた2階お部屋の窓から外に出て、窓の隣にあった木に飛び乗ってするすると地面に降りた。ついでに痛い髪の髪飾りも躊躇いなく外して、コルセットも器用に緩めておく。侍女に教わった小技だ。

「きゃー!!」

 出てきたお部屋からえげつない声量の悲鳴が聞こえる。
 お歌の先生でもあると聞いていたが、まさかここまで伸びやかで美しくて大きな声が出るとは思っていなかった。後で色々な人に叱られそうだ。
 キャサリンはそう考えながらも、満面の笑みを讃えて3日前に訪れた庭園に向かって人気のない道を全力疾走していた。ドレスの裾をたくし上げて走るのは大層気分がいい。………見た目はよろしくないが。

「あ、いた。」

 キャサリンは目的の少年、レイナードを見つけて走るスピードを緩めた。結構な距離を全力疾走していたはずだが、運動が大好きなキャサリンは息すら乱れていない。

*******************

読んでいただきありがとうございます😊😊😊

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