94 / 101
87 アイリスの怯え
しおりを挟む
「あわわっ、」
くしゃみを受けてあたふたと慌てたアキレスは、急いで魔法を片付けた。けれど、周囲の空気が先ほどの魔法によって冷やされてしまったのか全く部屋の温度が暖かくならない。アイリスは魔法で作り出していた朱雀を消し去って、周囲に炎の魔法を展開した。純度ができるだけ高くなるように丁寧に丁寧に魔法を編み上げると、炎の色が鮮やかな青色に染まった。
そして、今度は暑い。暑すぎる。
アイリスはやり過ぎてしまったことにしゅんと肩を落として、アキレスの腕の中にぽすっと身体を埋めた。アキレスはアイリスの頭をぽんぽんと優しく撫でる。
「2人ともすごいかったよ。特に、アイリスは流石ハイエルフの娘だとしか言いようがなかった」
「っ」
「魔力回路を繋げるだなんて無茶振り、この世にできる人間なんていそうにない」
ぎゅっと右手で水色のスカートの裾を握りしめたアイリスは、怯えるかの如く左手で跡が残るほどに強く右腕を押さえつけた。
「アイリス………」
「………いやっ、」
「アイ、リス?」
「やめてっ、いやっ、いやあああああぁぁぁぁぁ!!」
ぎゅっと唐突に座り込んで叫び声を上げたアイリスは、嗚咽を漏らしながら自身を押さえつけるように丸まった。
「だいじょーぶ」
「っ、」
「だいじょーぶだから、落ち着いて、アイリス」
泣き叫ぶアイリスをなんの躊躇いもなく抱きしめて、アキレスは彼女の髪に自分の髪を埋める。彼女からは数日前と違って石鹸の良い匂いがした。
ーーーみんなが思っているよりも、アイリスが負った傷は深い。僕が守らなくちゃ。僕がちゃんとしなくちゃ。僕が、僕が、僕が僕が僕が僕が僕が………!!
ぎゅっと力を込めて抱きしめて背中を優しく撫でていると、くてっと彼女の身体が重たくなった。気を失ってしまった彼女を自分の膝に乗せて、アキレスは眉を八の字にしてルーカスに向き合った。
「………アイリスは誰よりもブルックリンがきらいなんだ」
「す、すまない」
ルーカスには本当に悪気がなかったのだろう。ハイエルフと言ったら、魔法の最先端を行くエルフの中でも最もくらいの高い場所に位置する種族だ。ハイエルフに関する褒め言葉を受けたら、普通は嬉しく思うものなのだろう。けれど、アキレスとアイリスは違う。2人はハイエルフに対する心象がとても悪すぎる。
******************
読んでいただきありがとうございます😊😊😊
くしゃみを受けてあたふたと慌てたアキレスは、急いで魔法を片付けた。けれど、周囲の空気が先ほどの魔法によって冷やされてしまったのか全く部屋の温度が暖かくならない。アイリスは魔法で作り出していた朱雀を消し去って、周囲に炎の魔法を展開した。純度ができるだけ高くなるように丁寧に丁寧に魔法を編み上げると、炎の色が鮮やかな青色に染まった。
そして、今度は暑い。暑すぎる。
アイリスはやり過ぎてしまったことにしゅんと肩を落として、アキレスの腕の中にぽすっと身体を埋めた。アキレスはアイリスの頭をぽんぽんと優しく撫でる。
「2人ともすごいかったよ。特に、アイリスは流石ハイエルフの娘だとしか言いようがなかった」
「っ」
「魔力回路を繋げるだなんて無茶振り、この世にできる人間なんていそうにない」
ぎゅっと右手で水色のスカートの裾を握りしめたアイリスは、怯えるかの如く左手で跡が残るほどに強く右腕を押さえつけた。
「アイリス………」
「………いやっ、」
「アイ、リス?」
「やめてっ、いやっ、いやあああああぁぁぁぁぁ!!」
ぎゅっと唐突に座り込んで叫び声を上げたアイリスは、嗚咽を漏らしながら自身を押さえつけるように丸まった。
「だいじょーぶ」
「っ、」
「だいじょーぶだから、落ち着いて、アイリス」
泣き叫ぶアイリスをなんの躊躇いもなく抱きしめて、アキレスは彼女の髪に自分の髪を埋める。彼女からは数日前と違って石鹸の良い匂いがした。
ーーーみんなが思っているよりも、アイリスが負った傷は深い。僕が守らなくちゃ。僕がちゃんとしなくちゃ。僕が、僕が、僕が僕が僕が僕が僕が………!!
ぎゅっと力を込めて抱きしめて背中を優しく撫でていると、くてっと彼女の身体が重たくなった。気を失ってしまった彼女を自分の膝に乗せて、アキレスは眉を八の字にしてルーカスに向き合った。
「………アイリスは誰よりもブルックリンがきらいなんだ」
「す、すまない」
ルーカスには本当に悪気がなかったのだろう。ハイエルフと言ったら、魔法の最先端を行くエルフの中でも最もくらいの高い場所に位置する種族だ。ハイエルフに関する褒め言葉を受けたら、普通は嬉しく思うものなのだろう。けれど、アキレスとアイリスは違う。2人はハイエルフに対する心象がとても悪すぎる。
******************
読んでいただきありがとうございます😊😊😊
7
あなたにおすすめの小説
転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ
如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白?
「え~…大丈夫?」
…大丈夫じゃないです
というかあなた誰?
「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」
…合…コン
私の死因…神様の合コン…
…かない
「てことで…好きな所に転生していいよ!!」
好きな所…転生
じゃ異世界で
「異世界ってそんな子供みたいな…」
子供だし
小2
「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」
よろです
魔法使えるところがいいな
「更に注文!?」
…神様のせいで死んだのに…
「あぁ!!分かりました!!」
やたね
「君…結構策士だな」
そう?
作戦とかは楽しいけど…
「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」
…あそこ?
「…うん。君ならやれるよ。頑張って」
…んな他人事みたいな…
「あ。爵位は結構高めだからね」
しゃくい…?
「じゃ!!」
え?
ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!
ヒロインですが、舞台にも上がれなかったので田舎暮らしをします
未羊
ファンタジー
レイチェル・ウィルソンは公爵令嬢
十二歳の時に王都にある魔法学園の入学試験を受けたものの、なんと不合格になってしまう
好きなヒロインとの交流を進める恋愛ゲームのヒロインの一人なのに、なんとその舞台に上がれることもできずに退場となってしまったのだ
傷つきはしたものの、公爵の治める領地へと移り住むことになったことをきっかけに、レイチェルは前世の夢を叶えることを計画する
今日もレイチェルは、公爵領の片隅で畑を耕したり、お店をしたりと気ままに暮らすのだった
侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました
下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。
ご都合主義のSS。
お父様、キャラチェンジが激しくないですか。
小説家になろう様でも投稿しています。
突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!
【完結】旦那様、どうぞ王女様とお幸せに!~転生妻は離婚してもふもふライフをエンジョイしようと思います~
魯恒凛
恋愛
地味で気弱なクラリスは夫とは結婚して二年経つのにいまだに触れられることもなく、会話もない。伯爵夫人とは思えないほど使用人たちにいびられ冷遇される日々。魔獣騎士として人気の高い夫と国民の妹として愛される王女の仲を引き裂いたとして、巷では悪女クラリスへの風当たりがきついのだ。
ある日前世の記憶が甦ったクラリスは悟る。若いクラリスにこんな状況はもったいない。白い結婚を理由に円満離婚をして、夫には王女と幸せになってもらおうと決意する。そして、離婚後は田舎でもふもふカフェを開こうと……!
そのためにこっそり仕事を始めたものの、ひょんなことから夫と友達に!?
「好きな相手とどうやったらうまくいくか教えてほしい」
初恋だった夫。胸が痛むけど、お互いの幸せのために王女との仲を応援することに。
でもなんだか様子がおかしくて……?
不器用で一途な夫と前世の記憶が甦ったサバサバ妻の、すれ違い両片思いのラブコメディ。
※5/19〜5/21 HOTランキング1位!たくさんの方にお読みいただきありがとうございます
※他サイトでも公開しています。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。
向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。
それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない!
しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。
……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。
魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。
木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ!
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
転生無双なんて大層なこと、できるわけないでしょう! 公爵令息が家族、友達、精霊と送る仲良しスローライフ
幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
アルファポリス様より書籍化!
転生したラインハルトはその際に超説明が適当な女神から、訳も分からず、チートスキルをもらう。
どこに転生するか、どんなスキルを貰ったのか、どんな身分に転生したのか全てを分からず転生したラインハルトが平和な?日常生活を送る話。
- カクヨム様にて、週間総合ランキングにランクインしました!
- アルファポリス様にて、人気ランキング、HOTランキングにランクインしました!
- この話はフィクションです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる