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92 双子に厳しい世界
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廊下を歩き始めれば、朝方は見かけなかった大人の人がお城の中を我が物顔で歩いていて、アイリスとアキレスに汚れたものを見るかのような視線を送ってきたり、明らかな嫌がらせや嫌味を言ってきたりした。
そんな周囲の様子になんてこともないかのような表情をして、アイリスとアキレスは手を繋いで歩く。嫌な視線を向けられたり、嫌なことをされたり、嫌味を言われたりするたびに、双子のお互いを握り合う手に力が入っていることには誰も気づいていないだろう。
本当は嫌だと言いたい。泣きたい。訴えたい。叫びたい。
でも、そんなことをしても何も変わらない。だからこそ、双子は平気な顔をして必死に耐える。
耐えることには慣れている。慣れているから耐えられる。
待つことにも慣れている。慣れているから、ほとぼりが冷めるまで待っていられる。
ぐっと息を殺して生きることを選ぶ双子は、周囲の人を一瞥することもなく、堂々とお城の中を歩く。こういう時、嫌味を返したりすればするほど嫌がらせが悪化するのは前世で身をもって知っている。
「ーーーメアリーではないか」
後ろからねっとりとした気色の悪い声に引き止められた。
メアリーと共にアイリスとアキレスが振り返れば、そこにはでっぷりと太り、顔中に吹き出もののあるゴテゴテしたザ・成金と言った風貌のおっさんが、息を上げて汗を流しながら立っていた。
(うっ、キモい………)
(頭が寂しいね)
(え、………アキレスそこ突っ込む?)
(重要だろ?頭は)
(まあ、そうだけど………)
ふぅふぅと気色悪く息をしている男は、アイリスとアキレスにぺっと唾を吐きかけた後に、メアリーに手を伸ばし始めた。
「何のつもり?」
アキレスが声を上げると、男の手がぴたっと止まった。真っ青な顔で震え上がっているメアリーの前にアイリスが立って、アキレスはアイリスと男の間に入り込む。
ぞっとするほどに美しい笑みを浮かべたアキレスは、すっと瞳を細めた。
「ーーーぼくたちのメイドに職務ちゅーに話しかけて何のつもりって聞いているのですが、こたえないのですか?」
年齢にそぐわぬ殺気と重圧をかけながら、アキレスは男に1歩詰め寄った。周囲には野次馬が立っていて、何があったのかとアイリスたちに注目している。
けれど、側室の子供であるアイリスとアキレスを、誰も助けることはない。ただ眺めるだけ。前世から何も変わらない現状に、双子が悲しむことはない。ただ、達観しながら受け入れるだけ。
双子はあまりにも、残酷な世界に慣れきっていた。
*************************
読んでいただきありがとうございます😊😊😊
そんな周囲の様子になんてこともないかのような表情をして、アイリスとアキレスは手を繋いで歩く。嫌な視線を向けられたり、嫌なことをされたり、嫌味を言われたりするたびに、双子のお互いを握り合う手に力が入っていることには誰も気づいていないだろう。
本当は嫌だと言いたい。泣きたい。訴えたい。叫びたい。
でも、そんなことをしても何も変わらない。だからこそ、双子は平気な顔をして必死に耐える。
耐えることには慣れている。慣れているから耐えられる。
待つことにも慣れている。慣れているから、ほとぼりが冷めるまで待っていられる。
ぐっと息を殺して生きることを選ぶ双子は、周囲の人を一瞥することもなく、堂々とお城の中を歩く。こういう時、嫌味を返したりすればするほど嫌がらせが悪化するのは前世で身をもって知っている。
「ーーーメアリーではないか」
後ろからねっとりとした気色の悪い声に引き止められた。
メアリーと共にアイリスとアキレスが振り返れば、そこにはでっぷりと太り、顔中に吹き出もののあるゴテゴテしたザ・成金と言った風貌のおっさんが、息を上げて汗を流しながら立っていた。
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(まあ、そうだけど………)
ふぅふぅと気色悪く息をしている男は、アイリスとアキレスにぺっと唾を吐きかけた後に、メアリーに手を伸ばし始めた。
「何のつもり?」
アキレスが声を上げると、男の手がぴたっと止まった。真っ青な顔で震え上がっているメアリーの前にアイリスが立って、アキレスはアイリスと男の間に入り込む。
ぞっとするほどに美しい笑みを浮かべたアキレスは、すっと瞳を細めた。
「ーーーぼくたちのメイドに職務ちゅーに話しかけて何のつもりって聞いているのですが、こたえないのですか?」
年齢にそぐわぬ殺気と重圧をかけながら、アキレスは男に1歩詰め寄った。周囲には野次馬が立っていて、何があったのかとアイリスたちに注目している。
けれど、側室の子供であるアイリスとアキレスを、誰も助けることはない。ただ眺めるだけ。前世から何も変わらない現状に、双子が悲しむことはない。ただ、達観しながら受け入れるだけ。
双子はあまりにも、残酷な世界に慣れきっていた。
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読んでいただきありがとうございます😊😊😊
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