『完』婚約破棄されたのでお針子になりました。〜私が元婚約者だと気づかず求婚してくるクズ男は、裸の王子さまで十分ですわよね?〜

桐生桜月姫

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72 おチビちゃんの到着

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「店長ー!!仔猫がおるって聞いたんやけど、どこにおるん?」

 とてとてと走ってきた、おチビちゃんに、マリンソフィアはにこっと笑って仔猫を見せた。

「あら、おチビちゃん、いらっしゃい。仔猫はここよ。お名前はさっきアルがつけてくれたんだけれど、『黎桜りお』となったわ」
「わあぁ!とってもかわええなあ!!うち、この仔のこと気に入ってしもたわ」

 ぱちぱちと手を叩く彼女は、愛嬌たっぷりの顔で笑って仔猫の方にそっと手を伸ばした。
 仔猫は最初は怪訝な顔をしていたが、やがてすりっと彼女の手に擦り寄る。どうやら相当に人馴れしているようだ。マリンソフィアはここでいいことを思いついた。
 この仔を使えば、王太子にパレードで仕掛ける嫌がらせが尚のこと完璧になる。

「そう、よかったわ。拾ってきたばかりで汚れているから、洗って欲しいのだけれど、構わないかしら?使うのはわたくしの浴槽よ」
「ん~、承知しましたわぁ。お猫さん嫌いって結構おるさかい、そういうやつのためにも、そうした方が絶対ええわ。そういうやつに限って、相当うるさいもん」
「そうね。でも、好みは人それぞれだから、仕方がないわ」
(嫌いなものは大人になっても嫌いだし、見たくないもの)

 大人気が一切ないマリンソフィアは、憂い顔ながら自分が嫌いなことは嫌いで、それを治すように他人に強要するのは間違っていると考えている。
 マリンソフィアはそのあと汚れきった黎桜を見て、ほうっと溜め息をついた。

「本当はわたくしが黎桜のことを洗いたいところのなのだけれど、そんなことをしたら、クラリッサからお小言を食らってしまいそうだからね………」
「あぁー、クラリッサはとってもうるさいさかいねー。お小言が多いんよ」

 おチビちゃんが我が意を得たりという顔でふむふむと頷いた。おチビちゃんは身長が低くて童顔ということもあって、なんだか、子供が背伸びをして大人に会話を合わせているかのような違和感がある。

「そうね。でも、それで秩序が乱れていないのだから、それも彼女の手腕よ」
「そうやね~。うちも、秩序をしっかり守るクラリッサのこと、ちゃーんと好きやで」
「そう、彼女が好かれているようで何よりだわ」

 クラリッサの方を向きながら『好きだ!!』と言ったおチビちゃんに、マリンソフィアは苦笑した。恥ずかしがり屋のクラリッサは、おチビちゃんの評価に猛スピードで逃げて行った。

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読んでいただきありがとうございます😊😊😊

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