冷酷無慈悲なお兄さまに認められたい

桐生桜月姫

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112 わたしは着替える

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「本日はこれから国王陛下との謁見とのことですので、青色の室内ドレスをご用意いたしました。ドレスの生地には、砕いたサファイアで染め上げられた生地を使っている最高の一品です。飾りには鈴蘭を連想させる真っ白なレース生地のリボンとダイヤモンド、そしてマイグレックヒェンの象徴たるアクアマリンが使用されております。いかがでしょうか。」

 そう言って、ジェフリーは真っ青な美しいドレスを差し出してきた。エンパイアラインのドレスには、ジェフリーの説明通りに真っ白な鈴蘭が折り込まれたレースが飾りリボンとなっていた。複数のダイヤモンドとアクアマリンが飾られたドレスは、国王陛下の謁見に使用しても問題ないレベルのもので、わたしが普段使いしている首飾りを使用しても問題ないデザインだ。
 よって、わたしは優雅な仕草で1つ頷いた。

「えぇ、上出来よ。髪型は………、片側を編み込んで、残りは全て下ろしてちょうだい。今回は、わたしとあなたの舞台だもの。お揃いがダメとは言わせないわよ?」
「………承知いたしました。」

 ドレスにささっと着替え、ジェフリーに色々なところを整えてもらってから、わたしは鏡台の前に座った。白銀とも白金とも呼べぬ7色の輝きを放つ髪に櫛を通したジェフリーは、次の瞬間にはドレスの飾りとお揃いの真っ白なレースリボンで結ぶようにして、片側に編み込みを施していく。
 ドレスに合わせた青い靴を履いて、首元のアクアマリンのチョーカーの紐を、黄金のチェーンに付け替える。ネックレスとお揃いのブレスレットを身につければ、早5分で、目の前には王族顔負けの貴族令嬢が完成する。

「完成いたしました。」
「えぇ。ありがとう。」

 チラッと時計を確認したわたしは、5分間時間ができたことを確認してすっと彼に向き合う。いつもよりも少しだけめかしこんでいた。けれど、首元に輝くわたしとお揃いのアクアマリンだけは、いつもと変わらずに鎮座している。半分だけ前髪を上げたジェフは、やっぱりちょっとだけいつもよりもかっこいい。

「………ジェフ、あなたは魔力持ちだけれど、魔法持ちではないのよね?」
「あぁ、そのはずだよ。僕が使えるのはオーラだから、そこのところは間違いない。『異能者がオーラを使えない。』これは世の常識だからね。」

 わたしは彼の言葉を咀嚼しながら、じっと考え込む。


********************

読んでいただきありがとうございます😊😊😊

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