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春、出逢い。
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春、小学6年生。
私、永瀬 凜桜は桜を見ていた。
『凜とした桜のように、
芯のある強くたくましく生きるように、
知性のある人に育ちますように』
それが私の名前の由来。
春生まれの私は、桜が満開のときに生まれた。
そう、この桜。
小さい頃、
「これが凜桜の名前の桜だよ」
とお父さんに言われた気がする。
病院近くの並木道。
当たり前の景色。
当たり前の今日。
でも、私にとっては特別な景色で、
毎日が特別な今日なんだ。
「凜桜ー、ごめん!
あれ、音たちは?」
そう言って走ってきた、
私の家のお向かいさんのトランペッターさんの
娘さん、冬獺 颯季。
脚が長くて、髪は肩より少し上のウェーブヘアー。
音楽の才能がすごい、同い年の女の子。
「音なら今奏と来てるはずだよ、あっ、ほら」
音と奏というのは同じく幼なじみの、
花野 音、花野 奏のこと。
二卵性の双子で、音が男子、奏が女子。
音はベリーショート、奏は鎖骨までの
ストレートヘアー。
2人とも顔はそっくりだけど、全く性格が似てない。
「ごめん、遅れて。」
「いいよ、いこ。」
今日から新学期。
小学校最後の学年、6年生が始まる。
「あ、そう言えば、転校生来るんでしょ?
…何だっけ、ボーン吹くんだっけ。」
「違ぇよ、アルトだよ。」
「あっ、なんかそんなこと
野村先生言ってたね。」
私たちは学校のブラスバンド部に
所属している。
私はちなみにテナー。
あの低くて綺麗な音に惚れて。
「凜桜、なんか詳しいこと聞いてないの?
パーリーでしょ?」
パーリーっていうのは、
パートリーダーの略。
サックスパートの六年生は3人だったけど、
アルトの子が転校しちゃったから、
バリサクのさなちゃんだけ。
さなちゃんは低音パートにもなって、
忙しいと思うから、
私がやることになったんだ。
本当はアルトの子がやる予定だったけど、
3月最終日にいきなり転校しますって
言い出したから、全員びっくりした。
「で、なんか聞いてないの?」
「うん、全くと言っていいほど。」
そう、顧問の野村先生からはほんとに何も
言われてなくて。
「あーあ、もう学校かぁ。
毎日吹いて帰るだけでいいのに。」
そう颯季が言う。
すると、颯季は立ち止まって、
真剣な目でこっちを見た。
「なんかあったら、言いなよ?
私も音も奏も味方だから、パーリーさん。」
そう言って、颯季は私の肩をポンっと押した。
笑いながら、喋って歩いてると、、
「うぉっ」
え。
目の前の映像がスローモーションになる。
私の左目の縁にはトラックがあった。
「危ないっっ!」
後ろから手が伸びる。
ドンッ
「ったぁ…」
「凜桜!大丈夫!?」
下を見ると、
下敷きとなっていた男の子。
あっ
「テナーは!?」
振り向くと、音が手でグッドポーズ。
キャッチ済みだった。
「ごめんなさい、大丈夫ですか?」
すると、男の子はむくりと起き上がる。
見たことのない顔だった。
この辺、人口少ないから、
すれ違う人とはほとんど顔見知りなんだけど。
それに、同い年ぐらいだから尚更。
綺麗な顔で、見惚れてしまうような顔。
長い脚。白い肌。
「大丈夫。
怪我は大丈夫なの?」
そう心配された。
「あ、はい…
ごめんなさい、わたしがよそ見してたので…」
「大丈夫だよ。」
「あの、何かお詫びを…」
そう私が焦りながら言うと、
「なら、道案内、お願いしてもいい?」
男の子は、綺麗な眉を上げて、ニッコリ笑った。
「音、今何時?」
そう聞くと、時計を見た音は言った。
「8時前。
楽器倉庫に20分くらいに
付いてたら大丈夫。」
「どこまで行かれるんですか?」
「春日小。」
そう周りをキョロキョロ見渡しながら言った。
「あ、わたしと一緒だ。」
「そうと決まれば行こ!」
そう颯季が言った。
私は、音に預けてたテナーを返して貰って、
さっきの男の子のところへ行く。
「あれ、それって、テナー?
君もサックス吹くの?」
「え、あ、はい。」
「そうだ、敬語やめよ。
俺、そんなに歳変わらないと思うし」
と、会話がリードされていく。
「テナーは吹き始めて何年目ぐらい?」
「4年生から…
最初はアルトだったんだけど、
テナーになって…」
「へぇ、あ、彼らも?」
そう言いながら、後ろを見る。
「あ、うん…。
右から、花野 音。
トロンボーン担当。
冬獺 颯季、トランペット、
花野 奏、フルート、ピッコロ。」
「へぇ、すげ。
あ、名前、言ってなかったね、
俺、霧咲 涼。
朝霧の霧に咲く、りょうは涼しいって字。」
名前まで綺麗だなぁ、
霧咲くん。
「君は?」
男の子に君って言われたの初めてかも。
「私は、
永瀬凜桜。
苗字は、
永遠の永に、浅瀬の瀬。
名前の方は、
ノギの方の凜に、桜って字。」
「綺麗な名前だね、
よろしく、凜桜。」
「よろしくね、
あっ、着いたよ?」
気がつくと、校門前。
「じゃあ、ここでー。」
そう颯季が言うと、
彼はひらひらと手を振って、
「またねー」
と言った。
これが、彼との出逢いだった。
私、永瀬 凜桜は桜を見ていた。
『凜とした桜のように、
芯のある強くたくましく生きるように、
知性のある人に育ちますように』
それが私の名前の由来。
春生まれの私は、桜が満開のときに生まれた。
そう、この桜。
小さい頃、
「これが凜桜の名前の桜だよ」
とお父さんに言われた気がする。
病院近くの並木道。
当たり前の景色。
当たり前の今日。
でも、私にとっては特別な景色で、
毎日が特別な今日なんだ。
「凜桜ー、ごめん!
あれ、音たちは?」
そう言って走ってきた、
私の家のお向かいさんのトランペッターさんの
娘さん、冬獺 颯季。
脚が長くて、髪は肩より少し上のウェーブヘアー。
音楽の才能がすごい、同い年の女の子。
「音なら今奏と来てるはずだよ、あっ、ほら」
音と奏というのは同じく幼なじみの、
花野 音、花野 奏のこと。
二卵性の双子で、音が男子、奏が女子。
音はベリーショート、奏は鎖骨までの
ストレートヘアー。
2人とも顔はそっくりだけど、全く性格が似てない。
「ごめん、遅れて。」
「いいよ、いこ。」
今日から新学期。
小学校最後の学年、6年生が始まる。
「あ、そう言えば、転校生来るんでしょ?
…何だっけ、ボーン吹くんだっけ。」
「違ぇよ、アルトだよ。」
「あっ、なんかそんなこと
野村先生言ってたね。」
私たちは学校のブラスバンド部に
所属している。
私はちなみにテナー。
あの低くて綺麗な音に惚れて。
「凜桜、なんか詳しいこと聞いてないの?
パーリーでしょ?」
パーリーっていうのは、
パートリーダーの略。
サックスパートの六年生は3人だったけど、
アルトの子が転校しちゃったから、
バリサクのさなちゃんだけ。
さなちゃんは低音パートにもなって、
忙しいと思うから、
私がやることになったんだ。
本当はアルトの子がやる予定だったけど、
3月最終日にいきなり転校しますって
言い出したから、全員びっくりした。
「で、なんか聞いてないの?」
「うん、全くと言っていいほど。」
そう、顧問の野村先生からはほんとに何も
言われてなくて。
「あーあ、もう学校かぁ。
毎日吹いて帰るだけでいいのに。」
そう颯季が言う。
すると、颯季は立ち止まって、
真剣な目でこっちを見た。
「なんかあったら、言いなよ?
私も音も奏も味方だから、パーリーさん。」
そう言って、颯季は私の肩をポンっと押した。
笑いながら、喋って歩いてると、、
「うぉっ」
え。
目の前の映像がスローモーションになる。
私の左目の縁にはトラックがあった。
「危ないっっ!」
後ろから手が伸びる。
ドンッ
「ったぁ…」
「凜桜!大丈夫!?」
下を見ると、
下敷きとなっていた男の子。
あっ
「テナーは!?」
振り向くと、音が手でグッドポーズ。
キャッチ済みだった。
「ごめんなさい、大丈夫ですか?」
すると、男の子はむくりと起き上がる。
見たことのない顔だった。
この辺、人口少ないから、
すれ違う人とはほとんど顔見知りなんだけど。
それに、同い年ぐらいだから尚更。
綺麗な顔で、見惚れてしまうような顔。
長い脚。白い肌。
「大丈夫。
怪我は大丈夫なの?」
そう心配された。
「あ、はい…
ごめんなさい、わたしがよそ見してたので…」
「大丈夫だよ。」
「あの、何かお詫びを…」
そう私が焦りながら言うと、
「なら、道案内、お願いしてもいい?」
男の子は、綺麗な眉を上げて、ニッコリ笑った。
「音、今何時?」
そう聞くと、時計を見た音は言った。
「8時前。
楽器倉庫に20分くらいに
付いてたら大丈夫。」
「どこまで行かれるんですか?」
「春日小。」
そう周りをキョロキョロ見渡しながら言った。
「あ、わたしと一緒だ。」
「そうと決まれば行こ!」
そう颯季が言った。
私は、音に預けてたテナーを返して貰って、
さっきの男の子のところへ行く。
「あれ、それって、テナー?
君もサックス吹くの?」
「え、あ、はい。」
「そうだ、敬語やめよ。
俺、そんなに歳変わらないと思うし」
と、会話がリードされていく。
「テナーは吹き始めて何年目ぐらい?」
「4年生から…
最初はアルトだったんだけど、
テナーになって…」
「へぇ、あ、彼らも?」
そう言いながら、後ろを見る。
「あ、うん…。
右から、花野 音。
トロンボーン担当。
冬獺 颯季、トランペット、
花野 奏、フルート、ピッコロ。」
「へぇ、すげ。
あ、名前、言ってなかったね、
俺、霧咲 涼。
朝霧の霧に咲く、りょうは涼しいって字。」
名前まで綺麗だなぁ、
霧咲くん。
「君は?」
男の子に君って言われたの初めてかも。
「私は、
永瀬凜桜。
苗字は、
永遠の永に、浅瀬の瀬。
名前の方は、
ノギの方の凜に、桜って字。」
「綺麗な名前だね、
よろしく、凜桜。」
「よろしくね、
あっ、着いたよ?」
気がつくと、校門前。
「じゃあ、ここでー。」
そう颯季が言うと、
彼はひらひらと手を振って、
「またねー」
と言った。
これが、彼との出逢いだった。
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