君のいない世界

さや

文字の大きさ
3 / 3

全知全能の女神様

しおりを挟む

目覚めたら、真っ白な世界が眼前に広がっていた。
何処を見渡したって影もごみもない、光だけの世界。

「あれれ~、もう目覚めちゃったの~?」

突然後方から声がし、振り返るとそこには見とれるほどの美貌を持つ白服の女性がいた。


「どちらさまでしょうか?」

「あはっ!そんな他人行儀にしなくてもさ~のあの元カレ………?に接するみたいに接していいんだよ~?」


「………のあを知ってるのか?」

「知ってるもなにも~、私は全知全能の女神様だよ?」

顔が強ばる。
まさか、ここに来て、のあのことを知っている人に出会うなんて………。

「………のあは今どこに………?」

聞くと、女性はおもむろに一冊の分厚い本をなにもない空間から出して、ペラペラとページをめくる。

驚いたが、それよりも、のあの事が気になったたっめ、態度には表さなかった。

「の、の、の、のあ、あっ、あったあった」
ばっと、顔を上げてにぱーと笑いながら女性が言う。
無邪気な子供のような笑顔だった。

「君の好きなのあはね~、今地獄で罪を償ってるよ!
あと~、100年くらいしたら転生できるようになるからどうする~?待つ~?
ふふっ、怖いの~?
悪いことをした人間はみ~んなこうなるんだよ!あっ、安心して、君は間違った人間だから正しいものにーーー」

「ーーー待て、のあが何をした!?
ってか、間違った人間ってなんだよ!?」


おもわず、女神様とやらの胸倉を鷲掴みにして吠えるように叫ぶ。
そうすると、女神様は笑った。
なんでここで笑える?
………気持ち悪い。


「え~、君もなんとなく感じていたでしょう?
疎外感を。
自分は努力しなくても簡単にやってのけることを、皆は一生懸命努力していたりとかさ~、
自分だけ、今を生きていなかったりとか!」

「………っ」

図星をつかれて困惑する。
それから女神様は教えてくれた。

本当は俺が天使になる筈だったこととか。
でも、もう、俺は自分殺しの罪人だから純粋な天使にはなれないこととか。

のあの罪は自分を信じていた人を裏切ったこと、そして………………その人を殺そうとしたこと、その人に精神的な危害を加えたこと、とか。

あんなに優しいのあがそんなことする筈がない。
そんな………必死に否定しようとしたけれど無理だった。

何故なら俺は幼い頃に別れてからの昔ののあを知らないから。


………俺は本当にのあのことを何も、知らなかったんだな…。




しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

落としたのは化粧じゃなく、みんなの心でした

444
BL
『醜い顔…汚らしい』 幼い頃、実母が病気によって早くに亡くなった数年後に新しい義母からそう言われたシリルは、その言葉が耳に残って16歳となった今も引きずっていた。 だが、義母のその言葉は真っ赤な嘘でシリルはとても美しかった。ただ前妻の息子であるシリルに嫉妬した結果こぼした八つ当たりの言葉であったのをシリルは知らずに、義母のいう醜い顔を隠すために化粧をする。 その結果、彼は化粧によって本当に醜い顔になってしまった。そんな彼が虐げられながらも徐々に周囲を絆す話 暴力表現があるところには※をつけております

劣等アルファは最強王子から逃げられない

BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。 ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。

運命よりも先に、愛してしまった

AzureHaru
BL
幼馴染で番同士の受けと攻め。2人は運命の番ではなかったが、相思相愛だった。そんな時、攻めに運命の番が現れる。それを知った受けは身籠もっていたが、運命の番同士の子供の方が優秀な者が生まれることも知っており、身を引く事を決め姿を消す。 しかし、攻めと運命の番の相手にはそれぞれに別の愛する人がいる事をしり、 2人は運命の番としてではなく、友人として付き合っていけたらと話し合ってわかれた。 その後、攻めは受けが勘違いしていなくなってしまったことを両親達から聞かされるのであった。

BLゲームの悪役に転生したら攻略対象者が全員ヒロインに洗脳されてた

BL
主人公のレオンは、幼少期に前世の記憶を思い出し、この世界がBLゲームで、自身は断罪される悪役だと気づく。 断罪を回避するため、極力攻略対象者たちと関わらないように生きてきた。 ーーそれなのに。 婚約者に婚約は破棄され、 気づけば断罪寸前の立場に。 しかも理由もわからないまま、 何もしていないはずの攻略対象者達に嫌悪を向けられてーー。 ※最終的にハッピーエンド ※愛され悪役令息

交際0日婚の溺愛事情

江多之折(エタノール)
BL
死にたくはない。でも、生きたくもない。ふらふらと彷徨う根無し草は、世界の怖さを知っている。救いの手は、選ばれた者にだけ差し伸べられることも知っている。 だから緩やかに終わりを探して生きていた。 ──たった数回の鬼ごっこを経験するまでは。 誠実すぎて怖い人は、4回目の顔合わせで僕の夫となる。 そんな怖がりな男と誠実な男の、結婚生活の始まり。 ■現実だけど現実じゃない、そんな気持ちで読んでください。 ■家庭に関してトラウマを抱えている方は読まない方が良いと思います。

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

幼馴染がいじめるのは俺だ!

むすめっすめ
BL
幼馴染が俺の事いじめてたのは、好きな子いじめちゃうやつだと思ってたのに... 「好きな奴に言われたんだ...幼馴染いじめるのとかガキみてーだって...」 「はっ...ぁ??」 好きな奴って俺じゃないの___!? ただのいじめっ子×勘違いいじめられっ子 ーーーーーー 主人公 いじめられっ子 小鳥遊洸人 タカナシ ヒロト 小学生の頃から幼馴染の神宮寺 千透星にいじめられている。 姉の助言(?)から千透星が自分のこといじめるのは小学生特有の“好きな子いじめちゃうヤツ“だと思い込むようになり、そんな千透星を、可愛いじゃん...?と思っていた。 高校で初めて千透星に好きな人が出来たことを知ったことから、 脳破壊。 千透星への恋心を自覚する。 幼馴染 いじめっ子 神宮寺 千透星 ジングウジ チトセ 小学生の頃から幼馴染の小鳥遊 洸人をいじめている。 美形であり、陰キャの洸人とは違い周りに人が集まりやすい。(洸人は千透星がわざと自分の周りに集まらないように牽制していると勘違いしている) 転校生の須藤千尋が初恋である

学園ものに転生した悪役の男について

ひいきにみゐる
BL
タイトルの通りにございます。文才を褒められたことはないので、そういうつもりで見ていただけたらなと思います。

処理中です...