愛だとか恋だとかくだらない

５

そう思いながら歩を進める。

いや、どうしたんだろうか？なんて、ホントは分かっている。

嫉妬………しているのだろう。
アイツは僕のことが好きだから。
多分……だけど、、、。


ははっ、コレ間違ってたら結構恥ずかしいやつだな……。

ちょっと苦笑する。

「今、なに考えてる？」

レイが訝しむように僕の顔を覗き込む。
僕は、なんにも考えてないよと笑った。

レイは少し不安そうな顔で僕を見ていた。


その顔に気付いていないかのように平静を装って僕は歩いた。
それでも多分レイには気付かれているんじゃないかな。
アイツは勘が鋭くて、いつも僕を見ていたから……。





ーーーーーーーーーーーー教室にてーーーー

「おっはよ～」

「おはよ～」

明るい僕の始まりだ。
正確には朝の時点で演技は始まっていたけれど、
ここは教室だ。
いっそう気が抜けない。

今日もここを抜けきるんだ。

どこか、戦場にいるような気持ちで教室をざっと見渡した。


今日も皆、僕に好意的だ……と、言いたいけれど一人だけ僕を冷めた目で見つめる人がいた。

雷斗らいとだ。

彼が僕を見つめる目はいつも冷ややかだ。
僕の全てを見透かすような、底冷えするような、ぞっとする目だ。

コイツを見ると処刑台にたたされたような気持ちになる。


………コイツとは関わりたくないな、なんて、関わることもないだろうけど。

なんせ、アイツはいつも１人で、人に興味の無さそうな顔で本を読んでいるのだから。


きっとアイツは人にどう思われようと気にしない芯の強いヤツなんだろう。
それに比べて僕はいつも………

ちっ、やっぱりコイツは嫌いだ。