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2nd フェーズ 集

No.27 モンスターにチュックンしますね

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連続傷害事件の犯人と思われる、チザキ・アキナが拠点としている廃墟の館に突入するユキチカ達。

逃げるチザキを追いかけると彼女は憑りつかれたように血液パックにかぶりつき。その中の血を一滴も残さず飲み干していた。

その後彼女の身体はみるみる内に変異していき、全くの別物に変貌する。

「GAAAAAAA!!」

変貌したチザキがキビに襲い掛かる。

「コウノッ!!」
「はいッ!」

キビが振り下ろして来た相手の腕を掴み地面に叩きつける。
そこにコウノが銃弾を撃ち込む。

金属のようなものに銃弾が当たった音と共に弾が弾かれる。
「あっぶね!」
「銃弾をはじいた?!」

跳弾し壁や天井に向かって跳んでいく。

「だったらぶん殴るッ!」
「ですね」
コウノとキビは相手の攻撃をかいくぐって打撃を打ち込む。

「シャロ……まずはあの人の動きを止めないと。良いね?」
「うん、どの道あそこまで興奮状態じゃ多分意味無いから」
「畏まりました。では私も微力ながらご助力させて頂きます」

3人も動き出す。

ウルルが指先からワイヤーがつながった針を発射。
「スパークショット!」

ワイヤーを通して相手に電気を流し込むウルル。

しかしそれでも相手は止まらない。
チザキはグルっとウルルの方をみる。

「やはりダメですか!」
迫りくるチザキを前にウルルは一旦下がる。

「ウルル交代!!」
チザキがウルルに襲い掛かるよりも早く、ジーナが入れ替わる。

「ふぅー、黒鉄ッ!!」
ジーナの拳が相手の顔面を捉えた。

「ッ!!」
この一撃で体勢を崩すチザキ。

「おお!すげぇ!あの巨体を一発で揺らしたぞ!」

「GUAAAA」
チザキは咆哮し、腕を振り回す。

周囲の壁や天井に大きく鋭利な刃物で切り付けられたような跡が。

みると彼女の腕から血が流れ、それが赤黒いかぎ爪へと成形されていた。

「自分の血を凝固させたの?みんな!きっとそれを皮膚の下でもやってる、だから頑丈なの!気を付けて!」

「なるほど、通りで弾丸の通りが悪くなったわけか。それならその鎧を貫いてやらないとな」

シャーロットの発言を聞いてキビがそう言うとユキチカがその場に現れる。

「カオルちゃんー!ジーナ!これ使って!」
ユキチカは帽子に付けていた五寸釘を二人に渡す。

「心臓周り、イイ感じになるようにチクッとしてね」
「おお!まさかそのにぎやか装飾が役に立つのか!」
「これは本物だったのね」
二人はその釘を受け取る。

「じゃあ僕のひっさつ技のあとにやってね」

「GUAAAAAA!!」

血の爪を振りかざし、ユキチカに襲い掛かるチザキ。

「みんな目閉じて!ひっさーつ!光あれフラッシュッ!!」
十字架のネックレスを掲げるユキチカ。

すると十字架から強烈な光が放たれる。

相手は目を抑えて動きを止めた。

この隙を逃さず、キビとジーナが五寸釘をチザキの胸部に突き立て、拳で叩き込む。

「ウルルー!シャロー!」

「はい!最大出力で参ります!」
「行くよコロちゃんズ!」

ユキチカの合図で二人は刺された釘に電気ショックを与えた。

「GUUッッッ!!」

激しい電流によって、膝をつくチザキ。
しかし、まだそこから動こうとする。

「ノド……カワク……チィ」
彼女は側にあった輸血パックを手のとる。

「またドーピングか!警察の前で随分とどうどうにやってくれるな!」
吸血してパワーアップするのを止める為に発砲する。

チザキは輸血パックを撃たれないように背中を向け、輸血パックにかぶりつく。

放たれた弾丸は全て相手の背中に飲まれていく。
「ワタシハ……」

「GRRRRRRR!!!!!」
先ほど以上に変貌するチザキの肉体。

もうそれは元の原形をとどめておらず、全身の筋肉は大幅に増強され服が裂け、皮膚は動物の毛皮のように、背中には翼が現れた。

「GURRR……GURRRR」
荒い呼吸をしながら唸るチザキ。

「こっちこっちー!」
ユキチカが手を振って彼女の注意をひく。

そしてこの館に入って吹きかけたものを再び取り出し、自身の周りに吹きかける。

「血液っぽい香水~」
香水の匂いにつられて、チザキはユキチカの方を向く。

両手両足をつき、四足歩行の獣のような構えを取る。
彼女はその強靭な両手足の力で床を蹴り、まるで弾丸のようにユキチカ目掛け突撃。

ユキチカはその攻撃を受け、チザキと共に館の外まで吹き飛んでいく。

「何ですか!今の音は!!大丈夫ですか!」
キビの部下から無線が入る。

「ああ、こっちはな!気を付けろ、外に犯人が飛び出した!見つけ次第……」
「待って、待ってください!」
無線先の部下達に指示を出そうとするキビをシャーロットが止めた。

「シャーロットちゃん……?」


外へと飛び出たユキチカとチザキ。

ユキチカは周囲の地面が割れる程強く地面に叩きつけられる。

「UGAAAA!」
彼にかかる力が増していく。

「本当にすごいパワー」
自身を抑えつけているチザキの手を、ユキチカは押し返していく。

「ッ?!」
自分がパワーで返されている事に驚くチザキ。
すぐさま両手で相手を押し潰そうと押し付ける力を増させる。

「GAAッ!!」
チザキはユキチカの首に深く噛みついた。

噛み付いた部分から溢れるものを勢いよく飲み始める。すぐに異変に気付く。
身体の末端が徐々に痺れていく感覚。

「うーんやっぱりこれだけじゃ足りないね。まだ血の中の生き物さん元気だ」

ユキチカはチザキの手を押しのけ、右手で彼女の肩を掴む。それと同時に自身の左腕を変形させ始めた。

「ちょっとビックリするかもだけど、空気をあつめてードンっていくね」

腕の一部が開き内部の機械が露わに、その部分から空気を大量に取り込む。

掌をチザキの心臓がある部分に向ける。

「ブラストッ!」
一気に放たれた大量の空気により心臓部分に強い衝撃を受けるチザキ。

チザキの動きが完全に停止。

「よーし!ここで秘密へいきのお披露目!シャロ!お願いー」
チザキの後ろにはシャーロットが立っていた。

「はい、じゃあチュックンしますねー」
「チザキさん、絶対に助けるから!」
ユキチカがチザキをおさえ、シャーロットがチザキの首に注射器を刺した。

するとみるみる内に彼女の身体は大きく変異した状態から元の身体へと戻っていく。


「ユキチカッ!!シャーロットちゃん!」
キビ達が少し遅れてやってくる。

「パワーアップ終わりみたい」
ユキチカは森の方を指差す。

そこには元のサイズに戻ったチザキとその横に座り込むシャーロットがいた。

「よくやった、犯人の無力化に成功!ただちに拘束し連行だ!」
キビが無線で部下に報告し、手錠をチザキにかける。

チザキは力が抜けた様子でそのままパトカーの中に入れられ、連行されていく。

「一件落着!」
ユキチカがポーズを取る。

「一件落着、じゃねぇ!またお前は危なっかしい事しやがって!」
「きゃー!」
キビに追いかけ回されるユキチカ。

「全く無茶するよなー」
「本当凄い体してるね、やっぱり一度じっくり調べさせて……」
「しゃ、シャーロットさん!そう言う話は人前では控えて下さい!」
ジーナとシャーロットの話はコウノが顔を赤らめてそういう。

「あー、いつものだから気にしないで下さい」
「い、いつも?!皆さんどういう学園生活を送ってるんですか?」
ジーナがコウノに説明する。

「コウノ様、顔が真っ赤ですが大丈夫ですか?」
「大丈夫です!気にしないでください!」
皆はそんなやり取りをしながら帰っていく。

「へぇー意外とウブなんだなぁ、コウノ」
ユキチカをヘッドロックした状態でキビが茶化す。

こうして一連の吸血鬼騒動はとりあえず解決となった。
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