強制ハーレムな世界で元囚人の彼は今日もマイペースです。

きゅりおす

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2nd フェーズ 集

No.32 メイドさん大作戦

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「それでは次の方はー、3人組なんですね。どうぞお入りください」

メイド服を着た女性が合図すると3人組が現れる。
どっしりと座った恰幅の良い男とメイドの前に並ぶ3人組。

それはメイド服を着たジーナ、シャーロットそしてユキチカの三人であった。

((な、なんでこんな事に……))
顔を赤くする二人とノリノリなユキチカがそこにいた。


時はさかのぼる事、1週間前。
事の発端はキビであった、そんな彼女は農場に来ていた。

「おはよー、最近だいぶ熱くなってきたな~」
「おはようございます!現状の報告頂いてもいいですか?」
あくびをしながら挨拶するキビ、そしてシャキッとしているコウノ。

「おはようございますキビさん、コウノさん!さっそくなんですが、こっちに来てもらえませんか。今回の件だいぶおかしな様子でして」

「最近はそんなんばっかだな」
部下に案内されるとそこには真っ二つになったトラクターが。

「まるで切られたケーキみたいに真っ二つに、一体どんなものを使ったらこんな事できるんでしょうかね。他に小屋なんかも」

周囲には他に焼き斬れたような断面を持つ農作物などが転がっていた

「全くいつからうちは摩訶不思議な事件担当になったんだ……よし!」


「と、いう訳で君たちに協力を仰ぎたい」
キビはユキチカ達の前に座りながら話す。

「もうこの流れがお決まりになってきましたね」
その隣にコウノもいる。

「だってなんのこっちゃ分かんねぇんだもん」

「解析できたよ~」
ユキチカがそう言って現れる。

「ほら、こっちのほうが速いだろ。それにちゃんと毎回報酬も払ってるし」
「え、そうなんですか?」
「あれだよ、外部協力者への報酬って事で経費で落としてるだろ」

キビとコウノの話を聞いてジーナはハッとする。

「そういえば最近、身に覚えのないお金が口座に振り込まれてたんですけど。それなんですね、普通に怪しいから手を付けないようにしてました……」
「そうだったんだ、口座なんて見た事ないから」

ジーナとシャーロットの反応をみて笑うキビ。

「はっはっは!ごめん、言ってなかったか」
「先輩……」

「えっほん!それでユキチカ、何が分かったんだ?」
露骨な咳払いをして話を逸らすキビ。

「もらった金属片からすっごいエネルギーが検知されたよー。だからほら、金属さんもそれに耐えられなくてボロボロって劣化してる」

ユキチカは袋に入った金属片を軽く握るとボロボロと崩れる。

「それでか、すぐボロボロになるから持ってくるの面倒くさかったんだよな」

「エネルギーが検知される原因は?何かあるんですよね?」
コウノがそう聞くとシャーロットが答える。

「自然にこんなことが起きるとは考えにくいから、膨大なエネルギーを発生させる装置とかそういうのが原因じゃないかな。まだサンプルが一件だからなんとも言えないけど」

「なるほど、あの近所を調べるってことか?農場つっても結構人住んでるからな。少しばかり時間がかかりそうだが」
キビは顎に手を当てて少し考える。


「ま、いっか。とりあえずこっちはこれで一旦わかりたい事が分ったから。オッケーと。それで次はあの件についてだ、コウノ」

キビはコウノにそう言うと、彼女は端末を操作して資料を見せようとする。

「あの件?」
ジーナが尋ねる。

「こちらです」
「連続要人あんさつ事件!これだねー」
コウノとほぼ同時にユキチカがニュースサイトの記事をみせる。

「おお!よくわかったな。この被害者がいずれもデケえ企業のトップ様でな」

「ですが先輩、犯人は先日逮捕しています。もう解決した事件では?」
「私はどうもそうは思えなくてな。まだなんか裏があると思うんだよなー」

するとシャーロットが手をあげる。

「すみません、その要人って具体的にはどんな感じなんですか?」

「ウルティメイト社がらみだ、暗殺された要人は例外なくウルティメイト社に多額の出資をしていてな。ニュースでは伏せられている話だけどな」

「そんな凄い金持ちの人がそう何人も暗殺されるって……」
ジーナは不思議に思った事を口にした。

「確かに、連中もバカじゃない。あれだけの金があれば人の目を引くからな自衛の手段は色々うっているだろう」

ジーナが殺された要人のリストをみせる。

「殺された奴の中には男もいる。当然男性殺しは大罪だ、お国は男性を貴重な資源とみなしてるからな、その資源に深刻な被害をもたらすんだ当然だよな。まあ他所の国じゃあそれの資源を国から奪って身代金とか要求する連中もいるそうだが。で話を戻してコイツだ」

キビはある人物の写真をみせる。
見たことない男性の顔だ。

「この人も被害者ですか?」

「被害者候補、ウルティメイト社に多額の出資をしている企業の経営者だ。名前はブルジョ・ジー、こいつが今メイドを募集していてな、そこで君たちに頼みたい相談だ」

キビが3人に目を向ける。

「嫌な予感……」

「頼む!ここに潜入してきてくれ!警備とかよりも情報を持ってきて欲しい!絶対何かあるから!ちゃんと報酬出すから!」
両手を合わせるキビ。

「め、メイドってウルルちゃんですか?」
ジーナがそういうとキビは応募フォームの画面を開いてみせる。

「いや、それが選考の注意事項に【アンドロイド以外の方に限る】って」
キビが示す通りだった、ちゃんと記述されている。

「確かにそもそもアンドロイドで良いならオーディションなんてしないか。いや、それでも普通に警察として警護するで良いじゃないですか?なんで潜入を?」

「勿論その提案はしたさ、珍しくうちの上の連中も一緒にな。それがなんかコイツ知らねぇけど警察は信用ならない!の一点張りで全然話きいてくれねぇんだよ」

「当然私達は他の業務もありますし、そもそも警備の提案しに会っているので顔が割れています。他に頼めるような人がいなくて……」

今回ばかりはコウノも頭を下げる。

「まあ皆もうすぐ夏休みだろ?夏休みのバイトだと思って!ほら日当めっちゃ高いぞ!食事も全部出るし交通費も全額支給!せいぜい夏休みの間だけだからさ!頼む!このとおり!」
キビとコウノが両手を合わせてお願いする。

「よーし!皆で特訓だ!メイドさん大作戦!」
「え、マジでやるの?」


という感じで気づけば、ユキチカ達はメイドの服を着て集まっていた。

「こんな服いつ用意したの?」
「ウルルが作ってくれた」
「仕事が早い、というか私もするなんて……」
ジーナ、ユキチカ、シャーロットの順で横に並ぶ。

その前にベレー帽を被ったウルルが立つ。

「きょ、きょうから皆さんを笑ったり、な、泣いたりできなくしてやりますよ!」
「ウルル軍曹、無理は禁物であります」
敬礼をしながらジーナはウルルにそう言った。

こうして地獄(?)のメイド特訓が行われたのであった。
礼儀作法をはじめ家事全般の知識など、あとはタイヤを引きながら山を越えたりなど様々な試練をユキチカ達は乗り越えた。


色々あって迎えたオーディションの日。

「では次の方は、三人一組での応募ですね」
「これで最後か、特にこれといった子はいなかったな」

「どうぞ」
司会が合図をすると3人がステージに現れる。

「イ、イーナです★」
「チャ、チャールズ……で、す★」
「ユキです★」

ジーナ、シャーロットそしてユキチカがメイド服姿で決めポーズを取る。

(は、恥ずかしいィッ!!)
(羞恥心に押し殺されるぅッ!!)
(いえーい)

この光景を目の当たりにした審査員の二人は固まっていた。

「な……」
「こ、これは……?」

(ほらー!!ドン引きされてるよ!)
(ユキちゃんのバカーー!)
(ばっちり)

ジーナとシャーロットの羞恥心が爆発しそうになる寸前。

「す、素晴らしいっ!!!」
ブルジョ・ジーが立ち上がり拍手をした。

「へ?」
隣のメイドはキョトンとしている。

「守ってくれそうな懐の深さを感じさせる体!それなのにどこか幼げさもある純粋そうなその瞳!!まさしく私が求めていたものだ!!」

何かを熱く語りながらブルジョ・ジーが近づいて来る。

(え、なんかこっち来た)
ジーナがそう思うと、ブルジョ・ジーは手を取って来た。

「是非君を雇いたいッ!!」
取ったその手は3人の中で最も大きいユキチカの手であった。

「ありがとーございますご主人さま。それじゃあみんなも、ご主人さま」
ユキチカ、ではなくユキちゃんがそう言うとブルジョ・ジーは他の二人を見る。

「え、ああ。君たち二人もね、まあ君が言うなら良いだろう!さあ、今後の流れについて話そうか、報酬はいくら欲しいんだい?遠慮せずにいって御覧!そうだ!どうせならこのまま家に来ないかい?これからの職場をみておくのは悪い事じゃないだろ?どうかね見学という事で」

ブルジョ・ジーはどんどん話を進めながらユキちゃんと一緒にステージを降りて行く。

「と、とりあえず」
「合格だね」

残されたジーナとシャーロットは顔を見合わせてそう言った。
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