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No.10 魔王様達がピンチです!フラマーラさんはやりすぎです!

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武力の国の統治者であるティターノとの戦闘を繰り広げる。

しかし魔力出力量に制限がある魔王達は次第に劣勢となっていく。

そして今ティターノは必殺の一撃を魔王達に放とうとしていた。


「私もなにか、なにかしないと……!」
書庫の側にいたアギ―は周囲をきょろきょろと見回す。

このままでは魔王達が危ない、必死で何かできないか考えを巡らせる。

すると地面に落ちている種を見つけた、彼女の鞄からこぼれたものだ。

「いや、でも……!やらないと!!」
彼女はそう呟いて種を地面に投げる。
ツタが生まれてスロープとなりそれをアギ―が下って行く。

アギ―が広場に到着すると同時にティターノの大剣が纏う炎の勢いが最大限に達する。

「ッ!!小娘ッ!?」
ティターノはアギ―に気付く。
だが既に振り下ろされた剣は最早止められず豪炎をあげた斬撃が放たれる。

「ダメッ!!!」
アギ―が種を投げた、種はすぐにツタとなり魔王達の前で壁を形成した。

豪炎の刃が壁を襲うがそのまま壁を伝いに軌道を変えて、天空へと飛び去って行く。

「なにっ?!逸らされた、あの一撃がッ!?」
この光景を見てあっけにとられたティターノ。

次の瞬間、彼の足元からツルが現れ大剣を奪った。

「しまった!!」

「フラマーラさんッ!」
「でかした!あとで褒めてつかわすぜ」
アギ―は大剣をそのままフラマーラに投げ渡す。

「へぇ、中々面白い剣じゃねぇか」
フラマーラの腕が赤く光ると、大剣にヒビが入り大量の赤黒い焔が溢れ出す。

「ガハハハッ!久々にいい気分だぜ!このままぶった斬ってやる!!」

空に跳び上がったフラマーラ、彼女が持つ焔の剣はティターノの居城を遥かに超え、天空を斬り裂かんとする程の規模となっていた。

「インフェルヌス・ファングッ!!」
その地獄を体現したような焔の剣をティターノ目掛け振り下ろすフラマーラ。

「えええっ!!流石にやりすぎですぅッ!!!」
アギ―はその規格外な攻撃に驚く。

「なんと……」
ティターノもその場を動けずにいた。

獄炎の刃が城を一刀両断する。



「……まったくあいつは」
「咄嗟に防壁作ってないとこっちも危なかったわね」
「テネバイサスさん、ありがとうございます、助けてくれて」
「ああ、良いんだ」

ギリギリの所で他3人の魔王達は防壁を張った。アギ―はテネバイサスの煙によってその防壁の中に避難する事ができ、被害から逃れる。

空からゆっくりと降りてくるフラマーラ。

「この戯けものがッ!!加減をしろ加減を!!」
グレイシモンドが怒鳴りつける。

「いやーわりぃわりぃ。ついはしゃいじまった」
笑いながら謝るフラマーラ。

「はぁ……はぁ、なんという、力……」

「へぇ、この剣みたいに消し炭にしてやったかと思ったが。本当にタフな野郎だな」
彼女が奪った炎の剣は、供給された魔力量に耐え切れず炭となってボロボロと崩れていく。しかしその攻撃を食らっても尚ティターノはまだ生きていた。

「グッ!グあああああッ!!」
するとティターノは苦しそうに叫び始める。彼は爆炎を放ち、どこかれ構わず吹き飛ばし始めた。

「な、なんだ?!」
フラマーラは一歩、皆がいる方に下がる。

「魔力が暴走してる。恐らく今の一撃で奴の魔力が反応したのだろう」
「あのままだとあの人死んじゃうわね」
「えっ!!?」
テネバイサスとアウレンデントからこの話をきいたアギ―は走りだす。

「おい!何してる、そいつは今危険な状態で」
テネバイサスが止めようとするがアギ―はティターノに駆け寄った。


「小娘……?!ダメだ!来るんじゃない!!仲間と共に逃げるのだ!」
彼は苦しみながらもアギ―に気付き、警告する。彼は暴走する魔力をなんとか抑え込もうとしている。

だがそれも上手くはいかず、彼の身体のあちこちから赤黒い光があふれ出す。

「早く逃げるのだ小娘!!もう長くは抑えられん!兵士たちにもこの城を放棄し自身の命を守るように!伝えてくれッ!!」

(なんでだろう、出来そうな気がする……)

アギ―が光を放つティターノの体に触れた。
するとたちまち赤黒い光は薄緑の光へとなりその勢いを失っていく。

「な、なんと……?!」
魔力の暴走が止まったのだ。

「あ、や、やった!!出来ました!」
あっけにとられるティターノとその側でぴょんぴょん飛び跳ねるアギ―。

「まじかよ……」
「驚いたな」
「アギ―ちゃん大丈夫!?」
「全く、向こう見ずな」

アギ―達のもとに魔王達があつまる。



「全くもってかたじけないッ!!命を救われるとは!!その上負傷した我が部下も治療してもらえるとはッ!!」
ティターノはアギ―の前に座り込み頭を下げていた。

地面に座っているとは言え魔王達よりももう一つ大きい彼、アギ―は見上げて話す。

「い、良いんですよ!私だってとっさにやってみただけですから!」

一行は戦闘行った中庭で兵士の手当てをしていた。主にアギ―が薬草などを煎じて兵士たちの傷を癒していた。

「死ぬかもしれねぇのに。本当にお前ってビビりなのか神経図太いのか分からんな」
「急に走り出した時は正気を失ったのかと思ったぞ」
フラマーラとグレイシモンドが後ろから呆れたように話す。

「にしてもアギ―ちゃん治癒魔法も出来るのねー、薬草にも詳しいし」
「詳しいというよりこのケガにはどう対処したらいいのかを植物さんに聞いてるだけなので、そんな大したことは無いですよ」
照れながらも説明するアギ―。


「ではさっそく!喜んであなたに捧げましょうッ!我が首をッ!」
突然、剣を取り出し自身の首に当てるティターノ。

「何でそうなるんですかッ!?」
アギ―は相手の行動に驚く

「我が首を取るのでしょう?勝者の特権ですからな。それに統治者の首があれば、相手に貴女様方の力を示せるというもの。ご安心下され焼き斬るのでこの太い首でもすぐに斬り落とせるゆえ、出来れば冰の魔王殿に凍らして頂ければ腐る事もないでしょう!ではっ!」

「はーい、ストップよティターノさん」
「うちの召喚士が話を聴いただけで気絶しそうになっている」
アウレンデントとテネバイサスは彼を止める。

「うう……そんなに私達に命を差し上げたいと言うのなら、私達の為に使ってください。死んじゃうのはダメです!勝った私達からのお願いです!」
スプラッターな話を聞いてふらついていたアギ―はそう言った。

「なんと1度でならず2度までも貴女に命を救われるとは。分かった!この命!貴女方の為に使わせて頂こう!そうだ、我が首がダメでしたら……」
そう言って彼は胸に手をかざす。

すると彼の胸から光る球体状の物体が現れた。

「こちらを是非、焔の魔王殿に。我々がコアと呼んでいるものです。我々が与えられた魔力、つまり焔の魔王殿が持っていた魔力の結晶のようなものですな」

それをフラマーラが受け取るとスッと体の中に取り込まれる。

「どうですか?」
アギ―がきく。

「うーん、魔力は増えたんだが、いかんせんまだ出口は絞られたままだな。さっきは少しばかり出せる量が増えたんだな」

フラマ―はそう言うと思い出したように次の事をティターノに聞く。

「あ!そういや、ここに祠みてぇな場所あるだろ?」

彼女が言う祠とは一体?
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