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No.26 自由になった皆さんとお腹いっぱい食べちゃいましょ!
しおりを挟むイビルハンガー、そして破壊者を退けたアギ―達は街に戻った。
街の大通りにはヒアーと農民たちがいた。
「ああ!良かった皆様ご無事で!」
「指輪も貰えましたし、無事に終わりました!」
「アタシ達の力もかなり戻ってきたぜ!」
手を振るアギーに、空へ勢いよく焔を吐き出すフラマーラ。
彼らの足元には幹部の鎧が。
「それは……」
「ええ、我々は申し付けられた通り国民を守るためにいたのですが、急に幹部たちが現れて。そうかと思えば急に鎧を残して消えてしまって……」
アギ―は近くに落ちていた鎧を拾い上げる。
それをそっと後ろにいた兵士に渡す。
「これも一緒に」
「はい、ありがとうございます。他の奴と一緒に供養します」
二人のやり取りを聞いて何が起きたのか大体を察したヒアー。
「何か、まだお手伝いできることはございますか?」
「そうですね……では皆さんを広場に集めて下さい!戦ってお腹、減ったでしょ?」
アギ―はニコッと笑ってそう言った。
「……畏まりました!すぐに集めてまいります!」
ヒアーは曇った表情を晴らし、住民を集めるために走り出した。
周辺に暮らしている住民が街の中央広場に集まる。
「なんだこの匂い、はぁ、かぐだけで腹の虫が目を覚ましたぞ」
「ああ、嗅いだことないのにそれでも美味い物があるって分かるぞ」
住民たちは期待で胸を膨らませていた。
「お集まりの皆さん!!!」
広場に集まった住民に蛇の獣人が呼びかける。
「ここにおりますは、この国を救った救世主様がたです!!」
広場には台座が作られており、その上にはアギ―達が並んでいた。
「おおおおお!!」
アギ―達は拍手大喝采を浴びる。
「アギ―様!!何か一言!お願いしますよ!」
「え、え、私ですか……」
「ほら、いけよ」
フラマーラが背中を押す。
おどおどしながらアギ―が前に出る。
「え、えーっと。きょ、今日から皆さんはもう不当にご飯を奪われる事はありません!まだ大変な時は続くかと思いますが、これからは一つずつ良くなります!」
アギ―がそう言い終えた。
一瞬の間をおいて国民の大歓声がアギ―に降り注ぐ。
「さ、さあ!!皆さん!ご飯を沢山用意したので!皆さんが勝ち取ったご飯です!仲良く並んでくださいね!」
アギ―がそう言うと、広場に出来たての料理が運ばれてくる。
諜報部員の者たちが手伝い、大量の追加料理を作っては来た人に配るアギ―。
「す、すごいですね。こんなにも食材が出てくるなんて」
「本当はもっとゆっくり育ててあげたいんですけど。今回は特別ですね皆さん思いっきり食べてください!」
料理を次から次へと作って行くアギ―。
「そう言えば、この肉や魚は?」
「ああ、お野菜はここのを使わせて貰ったんですけど、お肉とお魚はこのように」
アギ―の隣から生えてきた植物から魚や肉が現れる。
「え……ああいう植物ってあるの?」
「いや……どうだろう」
「うめぇ!!」
「こんなうまい肉なんて!たまに来る支給のカッスカス肉しか食った事がねぇから」
人々は久しぶりに、あるいは初めて口にする丁寧に作られた料理というものに感動し、ありとあらゆる物に感謝をしながら料理を味わっていた。
「調理は一旦休憩ですかね」
「おう、まーたスゲェ量作ったな~」
フラマーラが山盛りの料理が乗った大皿を片手に現れる。
「はい!喜んで貰えたようで何よりです!」
「アギ―、お前の能力もだいぶ変化があったようだな」
テネバイサスがアギ―の元に来て話しかける。
「はい!途中からなんか凄い集中出来たというか、無我夢中で」
アギ―はそう言って手から植物を生み出す。
「ふーん、おいなんかお前のことよんでるぞ」
フラマーラが民衆の方に指を差す。
「はい!それじゃあ行ってきます!」
アギ―は広場に出て国民たちと話していた。
「アギ―様!このご飯めっちゃ美味いです!」
「ありがとー!」
「えへへー、そんなぁみんなが助けてくれたので!」
照れるアギーはなにか思いついたようで、街の植物に近づく。
「そうだ!この街の植物さんたちにも元気になって貰いましょう!」
「え?元気にって?」
住民はポカンとした顔をする。
「では今からこの土地に元気を与えますね。ちょっと初めてやるので皆さん後ろに下がっててくださいね!」
アギ―はそう言って住民たちを自分の後ろに下がらせた。
手を掲げる、すると彼女を中心に光の輪が地面を沿うように広がっていく。
草葉は青々となり、薬品で育てられた植物達も本来の美しさを取り戻した。
街のあちこちから木々が生え始めて来た。
「うわぁ、すげぇ……」
「まるで神の御業のようだ」
住民たちはそんな光景を目にし感動していた。
「ふぅ、これでもう大丈夫。お薬のせいで弱っていた方たちは元気になりました!」
「確かに元気にはなっただろうが、あれは少し張り切り過ぎじゃないか」
テネバイサスが後ろから話しかける。
彼が指さしているのは建物を突き破って生えてきた木だ。
「あ、ああああ!!ごめんなさい!!調整ミスです!!元気にしすぎました!」
必死に頭を下げるアギ―。
「いやぁ良いんですよ!すごい、街の作物がこんなに実って!それに手に持ったら分かる!昨日まで作ってたのとは全くの別物だって!!」
この土地は死の淵から蘇ったのだ。
住民は街に生えた木々や自分たちが育てた作物を見て喜びの声を上げた。
その後、いくつかの植物についてアギーが説明をする。
「こちらが鶏さんが生まれる木ですね、それでこっちが豚さん、こっちが牛さんです!それとこの池に生えているのがお魚さんですね」
「本当だ!花が咲いたあとに動物が!」
「アギー様!こっちのは?」
「ああ、そちらは傷薬の木ですね!この花の中心にある蜜をとって傷口に塗ったり、お水とかに溶かして飲んでも効きますよ!」
到底自然に発生する植物とは思えないものを紹介するアギー。
「なんでもありかよ」
「些か色んな道理から外れている気もするが」
フラマーラとグレイシモンドが驚いた様子で、そう話す。
「アギーちゃんはさも当然のように説明してるけど。どこかで見たことあるの?」
「確かに、どうやってこの植物たちを生み出したんだ?」
アウレンデントとテネバイサスがアギーに話しかける。当然彼女たちもこのような植物を見たことはない。
「絵本で読んだんです!とても面白い木や花もあるんだなーって、今までは作れませんでしたけど。でも今は出来るみたいです!」
(どう聞いても空想上の存在に思えるが……アギーの能力は一体)
「すごいわね!私達の中で一番アギーちゃんがスゴイんじゃない?」
アギーの頭を撫でるアウレンデント。
その後も夜遅くまで宴は続き、国民は久しぶりの自由を味わった。
そして翌日。
「もう行かれるのですか」
獣人達が寂しそうにそういう。
「ああ、さっさと力全開に戻してこの世界の魔王っめ奴をぶっ飛ばして終いだ」
「それが終わればまた来ます!またすぐに会えますよ!」
フラマーラとアギーはそう話しながらテネバイサスの煙の上に乗る。
「うっう……!いづでも戻っでぎでぐだざいね!」
蛇の獣人は泣きじゃくりながら手を振る。
他の獣人達も大声で泣いていた。
「また会えるって話してんだろうが。つーかお前らなんか一回りデカくなった?」
「それではお達者でーー!!!」
「皆さんもお元気で!ちゃんと食べてお体に気をつけてーー!」
そのアギーの言葉を最後に一行はその場をあっという間に立ち去っていく。
最後の統治者マドボラが支配する国へに向けて。
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