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怪異7『人喰いの屋敷』(前編)
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僕は、ドラコニス大陸の南東部・カウダ地方に位置するシュヴァンツブルグ王国に来ていた。
広大な穀倉地帯を持つのどかなイメージがあるシュヴァンツブルグ王国ではあるが、ここには、盗賊ギルドである蛇の目の本部が存在すると言われている。
これから始める話を聞いてもらう前に盗賊ギルドについて、説明する必要があるかもしれない。
盗賊ギルドとは、その言葉の通り盗賊たちによる秘密結社である。
所属している盗賊達にとってギルドの存在は、盗賊である自分たちの保護と支援、管理が主となる。
非合法な仕事をするための盗賊に情報を提供や、必要な道具や頭数の手配、官憲に追われたときには匿ってもらえる。
さらに盗品の鑑定、買い取りなど、盗賊活動に欠かせない存在なのである。
盗賊ギルドは、国家や都市毎に存在し、それらの勢力範囲の中で仕事をする盗賊は、必ず加入しなくてはならない掟がある。
つまり勝手な仕事をすれば命を取られて文句を言えないのである。
それら各々の盗賊ギルドを統括し情報を集約しているのが、このシュヴァンツブルグに本部を持つ蛇の目である。
シュヴァンツブルグ王国に本部があると言っても、どこにあるかは定かではなく、そもそも本当にあるのかすらわからない秘密のベールの中にある存在でもあった。
もちろん、盗賊と名乗る以上、物や情報を盗むことを生業としているので、その存在は非合法であり、各国共に取り締まりの対象としている半面、どの王国でも裏では通じていて集められた情報を盗賊ギルドから得ているという側面もあるという。
中でも本部があるとされる、このシュヴァンツブルグ王国は、盗賊ギルドを支援していると言われている。
酒場ハト麦亭で僕に接触してきた女は、ミアと名乗った。
彼女は盗賊だという。
「僕に聞きたい事というのは何ですか?」
正直、美しい女性であったが、盗賊である以上、気を許すことはできない。
きっと緊張した面持ちで、僕は聞いたのだろう。
「そんな緊張しなさんなってーの。別にアンタの財布を盗もうなんて思っちゃいないよ」
僕の事を見透かしたように、ミアは笑った。
「アンタさ、ドラコニスの怪異って奴を集めてるんだろう?」
「えぇ、まぁ……怪異収集家を名乗っていますので……」
「それじゃあさ、今まで集めた、その怪異の中で【人喰い屋敷】みたいな話……なかったかい?」
「人喰い屋敷ですか?」
「そう……」
「まぁ、入ったら呪われるとか、何かにとり憑かれるとか……その手の話は、よく耳にしますけど」
「そういうんじゃないんだ……言葉の通り、入ったが最後、二度と出て来られない……人を喰っちまう屋敷だよ」
「二度と出られない屋敷……」
少し考えてみたが、そこまで強烈な屋敷は見たことも聞いたこともない。
そもそも、そんな屋敷が実在したら、すぐに騒ぎになり、憲兵隊なり軍隊なりが調査することになるだろう。
「すみません。僕の知る限り、そのような屋敷は聞いたことないですね……お役にたてず申し訳ないです」
「そうか……」
ミアは寂しげな表情を浮かべたうつむいた。
「あの……よかったら、話を聞かせてもらえないですか? 秘密は厳守。守秘義務は守りますから」
そう言うと、ミアは顔をあげた。
「そうだね……誰かに知ってもらうのも大事なことかもしれないね」
「どういうことですか?」
ミアは儚げに笑うと、
「あたしがね、今度、その人喰いの屋敷に入る事になったのさ」
「えぇ!?」
「せっかくだから、奢っておくれよ。あんた、怪異の話をしたら奢ってくれるんだろう?」
「わかりました! ミアさんの好きなモノ、なんでも頼んでください」
「あ、やっぱり私が奢るよ。最後の晩餐くらい、自分で払うわ! ついでにあなたの分もね」
そう言うと、ミアは笑顔になって注文を始めた。
「ラムシチュー2つとエール2杯、あとラムローストのミントソースかけも二人前ね」
ラムは羊肉である。
冬の厳しいドラコニス大陸において、羊毛の需要は高く、そのため穀倉地帯のシュヴァンツブルグ王国では、羊の酪農も盛んなため、比較的、安定的に流通しているのである。
「いいんですか、こんなに奢ってもらっちゃって……」
「明日死ぬかもしれないんだから、今食べとかなくちゃねぇ。あなたも遠慮せずに食べて」
そう言って、ミアは語りだした。
---------
ことの始まりは、ギルドからの依頼を終え、依頼された盗品を換金していた時のことだった。
「ミア、後ろが留守だぞ」
「!!」
背後に立っていたのは、蛇の目の幹部の一人・ヘイルトだった。
隠密能力が問われる盗賊にとって、背後を取られるというのは屈辱に値する。
それが自分よりガタイの大きな屈強な男ならなおさらだ。
「さすがは霞のヘイルトの名は伊達じゃないねぇ」
苦し紛れのおべっかを使うと、ヘイルトは、
「なーに、三つ手のミアには敵わんよ」と、あたしの二つ名を呼んだ。
どんなものでも盗み出すから、仲間に手が三本あるんじゃねーの?って言われた事から、ついた二つ名だけど、いまとなっちゃ、あたしの名刺代わりさ。
「そのミアを見込んで頼みたい仕事があるんだが……」と、ヘイルトが切り出した。
「やめておくれよ。ちょうど今、仕事が終わったところだよ、しばらくはのんびりと暮したいところさ。それに暇な奴なら、いくらでもいるだろう? 盗みだったら鍵抜けのヨナフにでも頼みなよ」
「そのヨナフが帰ってこねぇんだよ……」
「え? なんだいそりゃ……危ない仕事かい?」
「仕事自体は簡単なもんさ、今は誰も住んじゃいねぇ廃墟となった貴族の別荘から、土地の権利書を取ってこいって話なんだけどな……」
「そんなヨナフ向きの仕事だったら、奴はどうしたんだい?」
「喰われちまったんだろうなぁ……」
「喰われた?」
「ファーモイ男爵家を知ってるか?」
「ファーモイ家といえば、ドラコニス王国とシュヴァンツブルグ王国の国境にある名家だろ? ただ数年前、ドラコニス王国のアエトス上級王暗殺を企てた咎でお取り潰しになったよね?」
得意げに語るつもり満々だったヘイルトは、あたしが知っていたことで、ちょっとつまらなそうな顔をした。
「あぁ、その名家廃絶の目的は、その領内にみつかったミスリル鉱山利権が目的だったと言われている……つまり、暗殺計画なんてでっち上げ、とにかく土地を奪うことが目的だったわけさ……」
「噂はあったけど……本当だったんだね……」
「だが、アエトス上級王の計画は、うまくいかなかった。その鉱山の権利書が見つからなかったのさ……まぁ、それもそのはず。権利書は、男爵がお忍びで愛人とこもるためにシュヴァンツブルグ王国の森の中に作った、別荘に置いてあったからさ……男爵は前々からアエトスに権利書を渡すように迫られていたみたいだな……だからこそ上級王の手の届かない場所に移したってわけさ」
「どこからそんな情報を?」
「愛人だよ……男爵のね。男爵が処刑され、ドラコニス王国から追われていたのを、俺たちが匿って保護してやったのさ……何もかもしゃべってくれたよ。聞きたくもねぇ男爵との夜伽話までな」
「で、お忍びで作られた別荘にギルドのメンバーを派遣した……だが、一人も帰ってこねぇんだ……」
「ヨナフだけじゃないの?」
「あぁ、ヨナフで8人目だ」
「8人も!?」
「何かモンスターでもいるのかもしれねぇって思って、冒険者ギルドにも依頼してみたが、4人パーティが入って行ったきり……つまり全部で12人が喰われちまったってことだ」
「えぇ……」
「お陰で、ついたあだ名は人喰い屋敷……」
「まさか、そこに行けっていうんじゃないでしょうね?」
「ま、そのまさかなんだけど」
「無理っ!」
「ちょっと待てって……まだ屋敷に入れとは言ってねぇ……今回、お前を見込んで頼みたいのは、屋敷がどうなってるのかを確かめて欲しいんだよ」
「外からでもいいってこと?」
「ま、それで何が起こってるのかわかるなら、それでもかまわねぇ……」
「何も分からなくても、前金の2割はくれてやる。どうだ?」
「……」
危ない仕事だってのはわかっている。
だけどヘイルトは、あたしがこの仕事に興味を示すことをわかって言ってきている。
止められないのよね。好奇心が……。
入りたくは無いけど、あたしがこの話を聞いたら、何が起こっているのか知らずにはいられなくなるのを、この男はわかっているのよ。
「わかったわ! 前金を頂戴」
私はヘイルトから、前金と、廃墟の場所を示した地図を受け取った。
----------
ミアはニコニコしながら僕に、その地図を開いて見せている。
「これであなたも共犯者ね……」
「え?」
「これが盗賊ギルドの中でもトップシークレットの情報。それを知ったあなたは、遅かれ早かれ盗賊ギルドに目をつけられ消されることになるわね……」
「ちょっ、それは困ります」
「でしょ? だから、あなたは私に協力すればいいの。つまりあなたは私が雇った協力者ってわけ。二人でこの事件を解決すれば、あなたはギルドに目をつけられることはないってこと……」
「えーっと……僕雇われたんですか?」
「えぇ……そこの料理でね」
僕の目の前には空になった皿とジョッキが並んでいた。
「まさか、この料理と酒で命をかけろっていうんですか?」
「契約だからねぇ。いいんだよ逃げても。これからの人生を蛇の目に追われても構わないって言うならね」
「……」
「出発は明日の早朝。日の出にはこの店の前にきておくれよ」
盗賊というのは、信用ならない生き物だ。
僕の人生まで奪うつもりらしい……。
選択肢は無いようだ、明日は早い。
僕は早々に部屋に戻り、早寝することにした。
広大な穀倉地帯を持つのどかなイメージがあるシュヴァンツブルグ王国ではあるが、ここには、盗賊ギルドである蛇の目の本部が存在すると言われている。
これから始める話を聞いてもらう前に盗賊ギルドについて、説明する必要があるかもしれない。
盗賊ギルドとは、その言葉の通り盗賊たちによる秘密結社である。
所属している盗賊達にとってギルドの存在は、盗賊である自分たちの保護と支援、管理が主となる。
非合法な仕事をするための盗賊に情報を提供や、必要な道具や頭数の手配、官憲に追われたときには匿ってもらえる。
さらに盗品の鑑定、買い取りなど、盗賊活動に欠かせない存在なのである。
盗賊ギルドは、国家や都市毎に存在し、それらの勢力範囲の中で仕事をする盗賊は、必ず加入しなくてはならない掟がある。
つまり勝手な仕事をすれば命を取られて文句を言えないのである。
それら各々の盗賊ギルドを統括し情報を集約しているのが、このシュヴァンツブルグに本部を持つ蛇の目である。
シュヴァンツブルグ王国に本部があると言っても、どこにあるかは定かではなく、そもそも本当にあるのかすらわからない秘密のベールの中にある存在でもあった。
もちろん、盗賊と名乗る以上、物や情報を盗むことを生業としているので、その存在は非合法であり、各国共に取り締まりの対象としている半面、どの王国でも裏では通じていて集められた情報を盗賊ギルドから得ているという側面もあるという。
中でも本部があるとされる、このシュヴァンツブルグ王国は、盗賊ギルドを支援していると言われている。
酒場ハト麦亭で僕に接触してきた女は、ミアと名乗った。
彼女は盗賊だという。
「僕に聞きたい事というのは何ですか?」
正直、美しい女性であったが、盗賊である以上、気を許すことはできない。
きっと緊張した面持ちで、僕は聞いたのだろう。
「そんな緊張しなさんなってーの。別にアンタの財布を盗もうなんて思っちゃいないよ」
僕の事を見透かしたように、ミアは笑った。
「アンタさ、ドラコニスの怪異って奴を集めてるんだろう?」
「えぇ、まぁ……怪異収集家を名乗っていますので……」
「それじゃあさ、今まで集めた、その怪異の中で【人喰い屋敷】みたいな話……なかったかい?」
「人喰い屋敷ですか?」
「そう……」
「まぁ、入ったら呪われるとか、何かにとり憑かれるとか……その手の話は、よく耳にしますけど」
「そういうんじゃないんだ……言葉の通り、入ったが最後、二度と出て来られない……人を喰っちまう屋敷だよ」
「二度と出られない屋敷……」
少し考えてみたが、そこまで強烈な屋敷は見たことも聞いたこともない。
そもそも、そんな屋敷が実在したら、すぐに騒ぎになり、憲兵隊なり軍隊なりが調査することになるだろう。
「すみません。僕の知る限り、そのような屋敷は聞いたことないですね……お役にたてず申し訳ないです」
「そうか……」
ミアは寂しげな表情を浮かべたうつむいた。
「あの……よかったら、話を聞かせてもらえないですか? 秘密は厳守。守秘義務は守りますから」
そう言うと、ミアは顔をあげた。
「そうだね……誰かに知ってもらうのも大事なことかもしれないね」
「どういうことですか?」
ミアは儚げに笑うと、
「あたしがね、今度、その人喰いの屋敷に入る事になったのさ」
「えぇ!?」
「せっかくだから、奢っておくれよ。あんた、怪異の話をしたら奢ってくれるんだろう?」
「わかりました! ミアさんの好きなモノ、なんでも頼んでください」
「あ、やっぱり私が奢るよ。最後の晩餐くらい、自分で払うわ! ついでにあなたの分もね」
そう言うと、ミアは笑顔になって注文を始めた。
「ラムシチュー2つとエール2杯、あとラムローストのミントソースかけも二人前ね」
ラムは羊肉である。
冬の厳しいドラコニス大陸において、羊毛の需要は高く、そのため穀倉地帯のシュヴァンツブルグ王国では、羊の酪農も盛んなため、比較的、安定的に流通しているのである。
「いいんですか、こんなに奢ってもらっちゃって……」
「明日死ぬかもしれないんだから、今食べとかなくちゃねぇ。あなたも遠慮せずに食べて」
そう言って、ミアは語りだした。
---------
ことの始まりは、ギルドからの依頼を終え、依頼された盗品を換金していた時のことだった。
「ミア、後ろが留守だぞ」
「!!」
背後に立っていたのは、蛇の目の幹部の一人・ヘイルトだった。
隠密能力が問われる盗賊にとって、背後を取られるというのは屈辱に値する。
それが自分よりガタイの大きな屈強な男ならなおさらだ。
「さすがは霞のヘイルトの名は伊達じゃないねぇ」
苦し紛れのおべっかを使うと、ヘイルトは、
「なーに、三つ手のミアには敵わんよ」と、あたしの二つ名を呼んだ。
どんなものでも盗み出すから、仲間に手が三本あるんじゃねーの?って言われた事から、ついた二つ名だけど、いまとなっちゃ、あたしの名刺代わりさ。
「そのミアを見込んで頼みたい仕事があるんだが……」と、ヘイルトが切り出した。
「やめておくれよ。ちょうど今、仕事が終わったところだよ、しばらくはのんびりと暮したいところさ。それに暇な奴なら、いくらでもいるだろう? 盗みだったら鍵抜けのヨナフにでも頼みなよ」
「そのヨナフが帰ってこねぇんだよ……」
「え? なんだいそりゃ……危ない仕事かい?」
「仕事自体は簡単なもんさ、今は誰も住んじゃいねぇ廃墟となった貴族の別荘から、土地の権利書を取ってこいって話なんだけどな……」
「そんなヨナフ向きの仕事だったら、奴はどうしたんだい?」
「喰われちまったんだろうなぁ……」
「喰われた?」
「ファーモイ男爵家を知ってるか?」
「ファーモイ家といえば、ドラコニス王国とシュヴァンツブルグ王国の国境にある名家だろ? ただ数年前、ドラコニス王国のアエトス上級王暗殺を企てた咎でお取り潰しになったよね?」
得意げに語るつもり満々だったヘイルトは、あたしが知っていたことで、ちょっとつまらなそうな顔をした。
「あぁ、その名家廃絶の目的は、その領内にみつかったミスリル鉱山利権が目的だったと言われている……つまり、暗殺計画なんてでっち上げ、とにかく土地を奪うことが目的だったわけさ……」
「噂はあったけど……本当だったんだね……」
「だが、アエトス上級王の計画は、うまくいかなかった。その鉱山の権利書が見つからなかったのさ……まぁ、それもそのはず。権利書は、男爵がお忍びで愛人とこもるためにシュヴァンツブルグ王国の森の中に作った、別荘に置いてあったからさ……男爵は前々からアエトスに権利書を渡すように迫られていたみたいだな……だからこそ上級王の手の届かない場所に移したってわけさ」
「どこからそんな情報を?」
「愛人だよ……男爵のね。男爵が処刑され、ドラコニス王国から追われていたのを、俺たちが匿って保護してやったのさ……何もかもしゃべってくれたよ。聞きたくもねぇ男爵との夜伽話までな」
「で、お忍びで作られた別荘にギルドのメンバーを派遣した……だが、一人も帰ってこねぇんだ……」
「ヨナフだけじゃないの?」
「あぁ、ヨナフで8人目だ」
「8人も!?」
「何かモンスターでもいるのかもしれねぇって思って、冒険者ギルドにも依頼してみたが、4人パーティが入って行ったきり……つまり全部で12人が喰われちまったってことだ」
「えぇ……」
「お陰で、ついたあだ名は人喰い屋敷……」
「まさか、そこに行けっていうんじゃないでしょうね?」
「ま、そのまさかなんだけど」
「無理っ!」
「ちょっと待てって……まだ屋敷に入れとは言ってねぇ……今回、お前を見込んで頼みたいのは、屋敷がどうなってるのかを確かめて欲しいんだよ」
「外からでもいいってこと?」
「ま、それで何が起こってるのかわかるなら、それでもかまわねぇ……」
「何も分からなくても、前金の2割はくれてやる。どうだ?」
「……」
危ない仕事だってのはわかっている。
だけどヘイルトは、あたしがこの仕事に興味を示すことをわかって言ってきている。
止められないのよね。好奇心が……。
入りたくは無いけど、あたしがこの話を聞いたら、何が起こっているのか知らずにはいられなくなるのを、この男はわかっているのよ。
「わかったわ! 前金を頂戴」
私はヘイルトから、前金と、廃墟の場所を示した地図を受け取った。
----------
ミアはニコニコしながら僕に、その地図を開いて見せている。
「これであなたも共犯者ね……」
「え?」
「これが盗賊ギルドの中でもトップシークレットの情報。それを知ったあなたは、遅かれ早かれ盗賊ギルドに目をつけられ消されることになるわね……」
「ちょっ、それは困ります」
「でしょ? だから、あなたは私に協力すればいいの。つまりあなたは私が雇った協力者ってわけ。二人でこの事件を解決すれば、あなたはギルドに目をつけられることはないってこと……」
「えーっと……僕雇われたんですか?」
「えぇ……そこの料理でね」
僕の目の前には空になった皿とジョッキが並んでいた。
「まさか、この料理と酒で命をかけろっていうんですか?」
「契約だからねぇ。いいんだよ逃げても。これからの人生を蛇の目に追われても構わないって言うならね」
「……」
「出発は明日の早朝。日の出にはこの店の前にきておくれよ」
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僕の人生まで奪うつもりらしい……。
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