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17 荒れた河
③
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「いいか? 扉を潜って宅配便出張所へ帰ったら、すぐに家へ帰れ。絶対に鳥居の向こうへは行くなよ」
完全に陽が沈みかけ、私がいつものように壁に出来た扉を通って出張所へ帰る時、クロは何度も念を押した。
「気をつけろよ」
「……うん、わかった」
真剣に頷いて帰ろうとする私に、シロが心配そうな顔を向ける。
「やっぱり俺たちがここを締め終わるまで、出張所で待ってたほうが……」
「それじゃ完全に夜になる。俺たちが間にあわなかったらどうなる?」
「……そうだよね」
クロと話しあって、シロは私に向けて拝むように顔の前で手を合わせた。
「ごめんね、瑞穂ちゃん」
「ううん、大丈夫! すぐに走って帰るから!」
シロが気にしないように、明るく答えたが、本当は私も不安に思っていた。
「瑞穂……帰ったら今日は、ちらし寿司と鰹のたたきだ」
クロが謎の励まし方をしてくれる。
「へ? ……っは、何それ」
一瞬呆気に取られ、それから私は笑ってしまった。
「ははっ……楽しみに帰ります」
「ああ」
笑う私を見つめるクロの顔つきが、昨日寺院で頭を撫でてくれた時のように優しくなる。
あの後の複雑な感情まで思い出してしまいそうで、私は慌てて二人へ背中を向けた。
「じゃあ、帰ります」
「お疲れ様でしたー」
シロの声を背中で聞きながら扉を通り、すぐに宅配便出張所の戸締りをした。
外は完全に暗くなる前のわずかな陽光で茜色に染まっており、それがなくならないうちにと、私は急いでガラス扉を出る。
扉を施錠して、なるべく神社の鳥居に遠いほうから建物をまわりこもうと、ふり返った時には目の前に河太郎さんが立っていた。
「―――――!!」
悲鳴を上げかけた私の口を手で塞いで、そのまま私をひきずりながらどこかへ向かう。
それはもの凄い力で、まったく逃げられそうにないし、そもそも恐くて体が動かない。
(助けて! シロくん! クロ!)
それは、彼らが今閉店準備をしている狭間の時間の宅配便屋ではないのに、電気の消えた出張所へ向かって、私は祈るように心の中で叫ぶしかなかった。
完全に陽が沈みかけ、私がいつものように壁に出来た扉を通って出張所へ帰る時、クロは何度も念を押した。
「気をつけろよ」
「……うん、わかった」
真剣に頷いて帰ろうとする私に、シロが心配そうな顔を向ける。
「やっぱり俺たちがここを締め終わるまで、出張所で待ってたほうが……」
「それじゃ完全に夜になる。俺たちが間にあわなかったらどうなる?」
「……そうだよね」
クロと話しあって、シロは私に向けて拝むように顔の前で手を合わせた。
「ごめんね、瑞穂ちゃん」
「ううん、大丈夫! すぐに走って帰るから!」
シロが気にしないように、明るく答えたが、本当は私も不安に思っていた。
「瑞穂……帰ったら今日は、ちらし寿司と鰹のたたきだ」
クロが謎の励まし方をしてくれる。
「へ? ……っは、何それ」
一瞬呆気に取られ、それから私は笑ってしまった。
「ははっ……楽しみに帰ります」
「ああ」
笑う私を見つめるクロの顔つきが、昨日寺院で頭を撫でてくれた時のように優しくなる。
あの後の複雑な感情まで思い出してしまいそうで、私は慌てて二人へ背中を向けた。
「じゃあ、帰ります」
「お疲れ様でしたー」
シロの声を背中で聞きながら扉を通り、すぐに宅配便出張所の戸締りをした。
外は完全に暗くなる前のわずかな陽光で茜色に染まっており、それがなくならないうちにと、私は急いでガラス扉を出る。
扉を施錠して、なるべく神社の鳥居に遠いほうから建物をまわりこもうと、ふり返った時には目の前に河太郎さんが立っていた。
「―――――!!」
悲鳴を上げかけた私の口を手で塞いで、そのまま私をひきずりながらどこかへ向かう。
それはもの凄い力で、まったく逃げられそうにないし、そもそも恐くて体が動かない。
(助けて! シロくん! クロ!)
それは、彼らが今閉店準備をしている狭間の時間の宅配便屋ではないのに、電気の消えた出張所へ向かって、私は祈るように心の中で叫ぶしかなかった。
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